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明日は檜になろう  作者: 夜空雷流
第一章
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チーム加入!1


 ある日いつものようにそるとちゃんとぶらぶらしていたら気の強そうな色黒ギャルの女の子に声をかけられた。

 腕につけてる沢山の腕輪がシャラシャラと音を立てる。


「ねぇ、あなた達!! 一緒にパーリィしない??」


 特にやる事もなく暇だった私達はお誘いにのる事にした。


 この近くは小さい桃色の悪魔がいて、倒すと経験値が沢山もらえるらしい。

 なのでレベル上げをする冒険者も多く、ナンパされる確率も高かった。


「私はそるとと言います。こっちはちょっと問題児の地雷です。悪い子ではありません。よろしくお願いします。」


「地雷です! よろしくね!!」


「私はヒトミ! よろ〜ん! もう一人チムメン呼ぶね!」


 しばらくすると優しそうな感じの男性がやって来た。


「あっ、はじめまして。チームリーダーをやっているレストと言います。でもだいたいみんなチムリって呼んでます。よろしくお願いします」


 女子三人がみんな前衛だったのでチムリさんが回復役をやる事になった。


「ヒトミさんは何の武器で闘うの??」


「私??」


 何の武器も持ち合わせていなかったから聞いてみた。すると彼女は自分の手の甲を見せてきた。


「私の武器はコレよ!!」

 

「……素手??」


「違うわ!! 今、流行りの爪よ!!」


「……爪!?」


 そこには綺麗に研ぎ澄まされた爪があった。いや綺麗だけど……。あれ……つけ爪だよね。武器の爪はそれじゃないよね!?地雷は諭すように話はじめた。


「爪っていうのは鉤爪って武器があって……」


「あぁ、あたしの爪って今日も強くて美しいわ!!」


 自らの手を見つめながら惚れ惚れとつぶやく。地雷の声は聞こえてないようだ。なんとなくそるとちゃんを見たらゆっくりと首を横に振っていた。

 戦場に出たら彼女は本当に自分の爪でモンスターを狩っていた。なんだかその姿がシュールで戦いに集中出来ない。

 だって拳ならグーで殴るだろうけど、彼女はパーだ。


「私の爪は凄く鍛えてあるから負けないわよ!!」


 爪を鍛えるってどうやるんだろう……。つけ爪に鉄を塗るとか??鋭い形に整えるとか??普通はつけ爪が割れるよね……。


「私の爪痕を残していくわっ!! 光栄に思うのね!!」


 彼女が倒れたモンスターに捨てセリフを吐く。……うん、刺さってるね。取れたつけ爪が。モンスターめっちゃ痛そうだよ。流血祭りだよ……。

 

 さりげなくミニスカのポケットからつけ爪を取り出すと、凄いスピードで装着した。

 何アレ凄い!!手先が器用そうだから職人やった方がいいんじゃないだろうか。

 それにいくつつけ爪を常備してるんだろう……。


 淡々とモンスターを爪で倒す彼女。余裕たっぷりの様子だったが後方から敵が迫っていた。この感じだと爪の攻撃が間に合わない。


「あっ、危ない!!」

 

 地雷が叫ぶとヒトミちゃんは後ろを振り返り、飛び上がりながら回転して蹴りで敵を攻撃した。


「てぇいやぁあああー!!」 


 パンツがっ!!乙女のパンツが見え……なかった。よかったよかった。ちゃんと見せパンをはいていた。

 敵が思いっきり凹みながら空中を舞った。……なんだアレ??蹴りだけであんなに凹むのか??


「あれはムーンサルトね」


そるとちゃんが解説してくれた。


「そるとちゃん……。人間の蹴り技であそこまでモンスターが凹むものなの?」


「いや……。あんなのは見た事ない」


 二人で不思議がっていると、横からチムリさんがこっそり教えてくれた。

 

「びっくりしますよね? 彼女の靴、鉄板が入ってるそうです……」


「ぇええぇえー!!?」


 鉄板入りの靴でジャンプしながら蹴りを入れるって……彼女、どんな脚力しているんだ!?

 きっと爪は攻撃面でも飾りで、本当の攻撃は蹴り技って事なのか〜。隠し技みたいでちょっとかっこいいかも!?


 だんだん彼女の中で遊び心が出てきたらしい。モンスターを蹴飛ばしてボールみたいにしはじめた。モンスターは小さくて、凄くよく飛んでいった。

 

「やったぁ!! クリーンヒットォ!!」


 凹みながら飛んで逝くモンスター……。ちょっと可哀想かも。まだ、つけ爪刺さってる方がいいよね……。


「……あっ」


 蹴る方向を少しミスってしまったらしい。モンスターが凄いスピードで近くにあった小屋の窓に当たった。


 ガッシャーン!!

 凄い音がした。


「コラーーー!! 窓を壊したのは誰だー!?」


 中から凄い剣幕で怒るおじさんが出てきた。


「あたしですケドォ〜」


 ヒトミちゃんが仁王立ちしながらおじさんに言った。悪びれる様子はない。


「小娘っ!! それが人に謝る態度かっ!?」


「だいたい、こんなモンスターうじゃうじゃいる近くに建物がある方がいけなくない??」


「なっ、なんだとー!?!?」


 空気を読んでチムリさんが間に入った。


「ごめんなさい。ちょっと反抗期みたいで素直になれないんです! 俺が弁償するんで許して貰えますか?」


「あんた! 保護者ならしっかり躾なさいな!」


「はい! すみません! よく言って聞かせます!」


 お金を貰って、おじさんは小屋に引っ込んだ。バツが悪くなるヒトミちゃん。


「建物がある所と、人がいる所ではモンスター蹴りはいけないって言ったよね?」


「……めんご」


 ヒトミちゃんは泣きながらチムリに謝った。


「もう、いいから。次はしないんだよ?」


「あい」


 ひと段落した所で、彼女のミニスカのポケットから着信音が聞こえてきた。急いで着信に出るヒトミちゃん。


「あっ!! もしもし彼ピ!!」


 さっき泣いてたのが嘘みたいに元気になった。電話が終わるとウキウキしながら私達に言った。


「めんご! めんご! これからデートだからパーリィ抜けるねーん!!」


 そう言ってパーティーを抜けて、スキップで去って行った。


「……はぁ」


 チムリさんがため息をついた。


「お互い苦労しますね……」


 そるとちゃんが地雷を見ながら言った。



 



 


読んで頂いてありがとうございます!!楽しい作品になるよう頑張っています!!良かったら、評価とブックマークよろしくお願いします!

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