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明日は檜になろう  作者: 夜空雷流
第一章
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降り止まぬ雨


 確かにあの魔法のデカさは一人だと大変かもしれない。

大きすぎてちょっとでもズレたら違う所に飛んでいきそうだ……。


「わかった!! 地雷が一緒に支える!!」


 魔法使いの所に走って行こうとしたら、全力でそるとちゃんに止められた。


「馬鹿っ!! あんた前にチムリの家、消滅させて失敗したでしょ!? 二次災害起こす気!?」


 確かにコレを失敗したら世界が消滅するかも知れない。

 そるとちゃんはそのまま話し続ける。


「呪文職なら呪文職の人がサポートするべきよ!! 物理職は感覚が掴み辛いわ!! ましてやこんな威力ある魔法なら尚更!!」


 でも、よく考えたら……呪文職の人、いなくない?

 地雷も、そるとちゃんも、サブリも、リウルさんも、多分フロストさんも、物理……。


「あっ、じゃあ、俺、行こうか……?」


 チムリが立候補したけど、何かあったとき回復出来る人いないとまずくない??

 ……てか、呪文職でも、回復職と魔法職は違う分類になるんじゃない??


 

 みんなでわちゃわちゃしてたら、遠くから威勢のいい声が聞こえて来た。……どこかで聞いた事ある声だ。


「うぉおおおおーーー!! 誰かが、誰かが俺を呼んでいる気がするっ!!」


 魔法使いがその声を合図につぶやいた。


「あっ、応援呼びました」


 発言もテンポズレぎみかよっ!!しかもどうやって呼んだんだ!?ミステリアスを通り越して、もう……ミステリーだよ!!


 疾風の如く走る少年を見つけた。あれはNow loadingだ!!少年は魔法使いを見つけると、彼を指差して叫んだ。


「あっ、ライバル!!」


「すみません、僕はライルです……」


 頼む!!自己紹介は後にしてくれ!!バグの根源が漫才でも見ている様な表情で二人を見つめている。 


「申し訳ないんですが、力を貸していただけますか?」


「あんたが俺にか!?」


「……はい」


「しょ……しょうがないなぁ〜」


 少年は満更でもない様子で魔法使いの手伝いを開始した。魔法使いの魔法に手を添える。


「うぉっ!? うぉおおおぉお!!」


 どうやら喋る事が出来ないくらい大変らしい。やっぱり魔法使い、凄いんだなぁ……。


「……大丈夫ですか? 無理にしゃべらなくていいですからね」


「ひゅ〜……ひゅー……」


 もはや少年の息遣いしか聞こえない……。大丈夫か!?少年!!頑張れ!!少年!!


「loading!  loading! loading!」


「loading!  loading! loading!」


「ライル! ライル! ライル!」


 みんなで少年を応援した!!チムリは魔法使いを応援している。そういえば少年の名前ってloadingだっけ??


「あっ、じゃあ、行きますよ? 1、2の3〜〜〜!!」


 なんとも間の抜けた魔法使いの掛け声で、凄い魔法が放たれた。いつのまにかバグの根源は縄でぐるぐる巻きに縛られて放置されていた。


「うわぁあああーー!! 来るなっ!! 来るなっ!! うわぁああぁあぁぁぁ〜〜〜!!」


 ドーーーン!!!


 凄い音がしてバグの根源に魔法が命中した。凄い風圧の後に、命中した所を確認するとバグの根源は消滅したようで何もいなかった。


「倒した……のかな??」


「あれだけの威力ですもの。消滅しない方がおかしいわ!!」


 そるとちゃんが言うと、なんだか説得力がある。みんなで無事にバグの根源を倒せてよかった。




 

「うっ……」


 気絶していた先生が起き上がる。だが、心と身体のダメージは結構大きいみたいで、まだ少しヨロヨロしているみたいだ。急いで駆け寄って声をかけた。


「大丈夫……?」


「僕は一体、何を……??」


 呆然としながら地雷の方を見て、嬉しそうな顔をした。


「あぁ……。元気そうで良かった」


「うんうん! 先生も元気そうで良かったよ」


 つい言っちゃったけど、先生きっと元気じゃないよね。むしろめっちゃ疲労してそう……。


「僕はどうしてこんな暗い所に……?」


「先生は操られていたんだよ!」


「操られて……いた??」


 少しずつ記憶が戻ってきたみたいで、だんだん険しい表情になって頭を抱え始めてしまった。


「あぁ……僕はなんて事を……」


「先生は操られていたんだよ!! 何も悪くないよ!!」


 地雷が励ましたけど、先生の心には響かなかった。他の仲間達も集まって先生を慰めたけど……やっぱり先生の心には届かない。

 そのうち一旦治っていた雨が再び降り始めた。まるで泣いているみたいな悲しい悲しい雨だった。おそらく……このバグの世界は先生の意識と直結していたはずだから、先生は辛くて悲しいのだと思う……。


「あっ……」


 何て言えばいいのかわからない。地雷はちっぽけすぎる人間だ。助けたいけど、元気になって欲しいけど、地雷に出来る事なんて……。

 

 ……いや、一つだけあるかも知れない。うまくいくかどうかはわからないし、殆どカケみたいなものだ。でも、やる価値はある!!


 

――地雷が覚悟を決めた瞬間!!持っている剣が話しかけてきたような感覚がした。


『しを……使っ……』


 えっ??何??何??


『わたしを……使って……』


 ふと見ると……剣が虹色の傘に変わっていた。



読んで頂いてありがとうございます!!楽しい作品になるよう頑張っています!!良かったら、評価とブックマークよろしくお願いします!

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