ソラに祈りを(チムリside)
仲間を救う為に回復職になったというのに、俺は大事な仲間を救う事が出来ない。自分が情けない……。仲間が苦しんでいるのに、何も出来ないなんて……。
「ちくしょう……。どうしたらいいんだ……」
リウル達は、混乱状態と毒で、どんどん体力が減っていく。回復魔法で回復させるが、回復が追いつかずに状態異常を解く余裕もない……。
サブリは一生懸命、先生に張り付いて味方に危害がない様に頑張ってくれていた。しかし、それでも完璧にすべてをガードする事は難しい。
「いでよ!! 部下達!!」
先生がモンスターを召喚してしまった。これでは敵の数が多すぎる!!とても対応出来ない!!ライルもまだ少し詠唱に時間がかかりそうだ。
「すまない!! チムリ!!」
サブリが俺とライルの前で仁王立ちした。俺とライルの分のダメージも一緒にくらう。回復しても回復してもサブリの体力はどんどん減っていく。
リウル達は今にも力尽きそうだ……。
俺は、俺は……、一体どうしたらいい!?
……やっぱり俺に、回復職なんて無理だったんだ。
『……そんな事ない!』
誰だ!?
『あなたは素晴らしい人よ! あなたは強く仲間を救いたいという心がある!!』
……まさか、その声は……。
『自分を信じて!! 祈って!!』
……ソラさん??
『あなたなら出来る!! 仲間を救いたいと強く願って!! そして歌って……あなたの聖晴の歌を!!』
俺は目を閉じて、胸に手を当てた。綺麗な青空の真ん中にソラさんがいて、優しい笑顔を浮かべてる。
『一緒に歌おう!』
心のモヤとか、悩みとかが晴れていく……。暖かくて、優しくて、ちょっと寂しい……。
俺は歌詞なんかわからないけど、そのまま彼女と一緒に聖晴の歌を歌った。
◇
薄れゆく意識の中で、地雷はチムリを見ていた。チムリがピタッと動かなくなって、万事休すなんだと思った。
あぁ……死ぬかもって思ったら、そるとちゃんの顔が浮かんできた。
『成長した姿が見たい』
ごめんなさい。成長出来なかった。変われなかった。引きこもりのまま、人生が終わってしまった……。
目を閉じようとした瞬間、暖かい光が地雷を包んだ。死んだのかなって思ったら、背中から羽根の生えた天使が暖かい綺麗な歌を歌っていた。
あれは誰だろう……?目を凝らして見て見たら、チムリが立っていた。
あれっ……息苦しくない!!生きてる!!
呆然としていたら、リウルさんも同じ感覚だった様で少しぼーっとしていた。
「みんな!! 無事か!?」
チムリの叫び声で、チムリが助けてくれたのだと理解出来た。
「……なんだあの力は? こいつ以外にも、優れた回復役がいたというのか……!?」
先生もまったく予測していなかった様で明らかに動揺しているみたいだった。
「……よくもやってくれたわね」
地面で横になっていたそるとちゃんも回復した様で、ブチ切れながら立ち上がっていた。めっちゃ怖い!!
全員、全回復状態で先生の前に立ち塞がる。
「もう! 負ける気がしないよ!!」
「次は、モンスターは呼ばせない!!」
「お返しはたっぷりさせてもらうからな!!」
「……お待たせしました」
どうやら魔法使いも準備が出来た様だ。形勢逆転!舞台は整った。このまま先生を倒せる!!そう確信した。
「ちくしょう……。いまいましい奴らめ!! 覚えていろっ!!」
なんと先生は裏口を開けて逃げ出そうとしていた。
まずいまずい!!ここまで追い詰めたのが、無駄になってしまう!
先生が裏口から逃げ出そうとした瞬間!!
「……逃がさないわよっ!!」
先生は、地面にあった罠にかかり、行動不能になった。
「なっ! 何だこの罠は!? お前は一体……誰だ??」
先生が叫ぶ!!
彼女は不敵な笑みを浮かべながら答えた。
「私は、大怪盗フロスト。悪い奴をやっつけに来たわ!」
大怪盗フロストは真実をみやぶると、先生の持っているステックを盗んだ。
「みんな!! 騙されないで!! 悪いのはこの武器のスティックよ!!」
大怪盗フロストがスティックを地面にブン投げると、スティックから紫色の闇のモンスターみたいなのが現れた。
先生は地面に倒れて気を失った。
「あれが……本当の悪い奴の正体! バグの根源よ!!」
彼女はすかさずムチでバグの根源を縛り上げた。
「やめろ!! 離せ!!」
バグの根源が、喚き叫びまくっているが私達は容赦しない。コイツは油断すると何をしでかすかわからないからだ。
「みんな!! 行くわよ!!」
そるとちゃんの掛け声を合図に、みんなで攻撃を仕掛ける。そるとちゃんの補助魔法を受けながら、地雷はバグの根源の守備力と攻撃力を下げた。
サブリは敵の魔法耐性を下げながら攻撃を続けている!これなら魔法使いの攻撃を更に強める事が出来てナイスだ!!
リウルさんも、モンスターを呼ばせない様に気を付けながら攻撃を続けた。
後は……魔法使いが魔法をブッぱなせば勝てる!!みんなで魔法使いの方を見て合図を送った。
……だけど、魔法使いが動かない。
魔法使いの周りは凄い風圧だ!!あれなら威力が足りないって訳でもないと思うけど……。
みんなの気持ちを察して、魔法使いが話始めた。
「すみません。人型だったの忘れてました。魔法がデカくて、この身体じゃもたなくて。ちょっと動けません……」
な、な、な、なんだってぇええーーー!!!
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