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明日は檜になろう  作者: 夜空雷流
第一章
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壊れかけのRadio


 運営のドッキリイベントという事がわかり、地雷も他の冒険者もリラックスしながら敵と戦う事が出来た。

 だが、ゲームと一緒でちょっと流れ作業的な感じだ。そんな事を思ってたら、街の五ヶ所位の高台から楽しそうなバックミュージックのBGMが流れ、それと同時に淡々とした男性の声が聞こえて来た。


「さぁ、皆様、いかがお過ごしでしょうか? 突然ですが!! ハセフォの『壊れかけのRadio』始めていきましょう!!」


「はぁああぁああ〜〜??」


 二人構成のラジオらしい。一人がリュウさんみたいな声をしている。もしかしてさっきの運営警察の人??


「今日もいい天気ですね! 平和で穏やかな一日になりそうです! それではお便り紹介にいってみましょう!!」


「どこが平和なんだよ!! この状況のどこが平和なんだよ!! 戦場だぞ!! 壊れてんのはradioじゃなくてお前の頭だっ!!」


 このラジオは漫才スタイルのラジオらしい。


「なお、今回は特別ゲスト! 占い師のリュウさんに来て頂いてます。リュウさーん!! マイク入ってますよ!」


「……えっ、ちょっ……マジっ!? 聞いてな……。コホン……。始めまして! みんなのヒーロー占い師のリュウです!!」


 リュウさんはみんなのヒーローだったのか!!ガチ勢は漫才も出来るらしい!!ラジオ番組に呼ばれるなんて凄いなぁ〜。

 さりげなく近くに来ていたぽたんちゃんが眉間に皺を寄せてつぶやく。


「あいつ……。一体何してんだ??」


「ぽたんちゃん、心配して来てくれてありがとう!! リュウさんラジオ番組出るとか聞いてたの!?」


「知らん」


 軽快にお便り紹介が始まった。流れ作業にはちょうどいいラジオだ。ナイス!運営警察!!


「それではまず始めのお便りは、ペンネーム『変態は褒め言葉』さん!! 最近、出番が少なくて存在が消されそうです!! ……ふぅーむ!!」


「変態は褒め言葉というペンネームですから、きわどい発言が多いと思われます。名前みたいに存在がバンされないように気をつけて頂きたいものです。まぁ、アキさんに飽きられない様にして下さいね! 4ねは愛情の裏返し!」


「さて、次のお便りはリュウさんがズバッと解決してくれるそうでーす!! リュウさーん!! お願いしまぁーす!!」


「……はっ!? ちょ……っ、俺に振るなよっ!!何々、えっと……」


「ペンネーム『ギャル強い』さん! 最近、彼女が俺より強いんじゃないかと恐怖を覚える。些細な事で喧嘩をすると流血祭りだ。引っ掻かれて取れたつけ爪が俺の身体に刺さると、まるでサボテンみたいで笑える」


「ふむふむ! 『吊るされた男』が出たぞ!! 今は忍耐の時だ!! まず、第一に強さというのは単純に力だけではない!! 心の強さも強さに入る!! 周りや相手を見て焦る気持ちはわかるが、自分自身と向き合うべきだ。君が力的には弱かったとしても、君の心に、彼女は勇気づけられているんじゃないのか?? これからも幸せに!!」


「ハセフォ!! バトンタッチだ!! アドリブは苦手だからもう俺に振るなよ!?」


「……あらっ? そうですかぁ? 残念ですねぇ〜」


「続いてのお便りは『彼ピ、愛してる』さん! 彼ピを愛してるけど、何故か彼ピが苦しそうに悶えている姿にキュンとしてしまう! こんな私っていけない子??」


「……ふぅーむ!! それはドSって事で大丈夫なんじゃないでしょうか?? 相手も忍耐力ありそうですし、きっとそんなパワフルなあなたが好きなはずですよ」


「……ちょっ、おまっ!! 今時の若いカップルにドSとか言うんじゃねーよ!!」


 さりげなくリュウさんが合いの手でツッコミを入れてるのがちょっと笑える。少しおじさん臭いのがまたいい。


「それでは残念ながら最後のお便りになります! ペンネーム『もう棺桶運びたくない』さん!! 聖女が花に囲まれて笑う様な……美しい情景を見たい」


「ふぅーむ。リュウさん、どうですか?」


「何故、俺に振る??」


「彼の望みを叶えて差し上げたらどうですか?」


「俺に女装しろってか!? ふざけんな!! 聖女って柄じゃねーわ!! 俺の人生がアンラッキーターンエンドするわっ!!」


 チムリは人生が、アンラッキーターンエンドしている事になるのだろうか?


「『もう棺桶運びたくない』さんの願いが叶う時が来るといいですね!! その願い!! ハセフォもお手伝いしたいです!!」


「さて、お便り紹介はこれにて終了ですがリュウさん!!

この『壊れかけのRadio』の未来を占って頂いてもいいでしょうか?」


「……仕方ない。占ってやろう!!」


 しばし沈黙の後、リュウさんの叫びが聞こえた。


「うぉおおおー!!『塔』が出たっ!!『塔』がっ!! すぐ、このラジオを終了しろっ!! 災難が降りかかってくるぞっ!!」


「……なぁに慌てているんですか? リュウさん? こちらを占って貰って終了ですよ。 残念ながら……」


「そうか! ならいい……」


「では、残念ながらお別れの時間になってしまいました。リュウさんの美声と共にお別れいたしましょう!! さぁ、リュウさん!! 歌って〜!!」


「ちょ……!! また俺に無茶振りしゃがって……。仕方ないなぁ〜……」


 

 最初のイントロに入った瞬間、ぽたんちゃんが叫んだ。


「嫌な予感がするっ!! 急いで耳を塞げ!!」


 地雷とそるとちゃんは急いで耳を塞いだ。三人が耳を塞いだ次の瞬間!!なんとも言えない騒音がまわりを包んだ。耳を塞いでも不快感な音が流れてくる……。

 どうやらリュウさんが『壊れかけのRadio』にふさわしい壊れた歌声を披露しているらしい。そんな所までガチで再現しなくても……うぅ。三半規管にダメージがくる!!


「ぐぁああぁああ〜!!」


「ぎゃあああ〜!! 助けてぇええー!!」


 冒険者と敵モンスターの悲鳴も薄ら聞こえてくる……。

だんだん、敵味方関係なく、みんな地面に倒れて逝った。

 リュウさんの壊れかけのRadioな歌声は約五分位続いたけど耳を塞いでても地獄だった。


 リュウさんのDeath songが終わったら、ブラックホールみたいな穴からモンスターが出て来なくなった。どうやら穴の中まで歌声が届いたらしい。

 ブラックホールの中で逝ったのか、恐怖で出て来ないのかわからないが……一匹も出て来ない。


「やっぱり、ガチ勢は凄いね!! 壊れかけのRadioだから壊れた歌声を披露するなんて……」


 地雷が関心してたら、ぽたんちゃんがサラッと言った。


「昔あいつが『俺の歌声は美しすぎて、聴く人が感動して倒れてしまう!』とか言ってたから絶対、音痴だと思っていた」


 どうやらただの音痴だったみたい。ガチ勢も完璧ではないらしい。ちょっと親近感が出た。

 空を見上げたら一匹の飛竜がゆっくり墜落していた。乗ってる人大丈夫かなぁ〜??

  

読んで頂いてありがとうございます!!楽しい作品になるよう頑張っています!!良かったら、評価とブックマークよろしくお願いします!

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