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明日は檜になろう  作者: 夜空雷流
第一章
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ハメ無双(リュウside)


 街のある一定の場所が異次元に繋がっており、そこからモンスターが無限に湧いていた。

 冒険者や街の人達は不安そうな顔でその異次元の穴を見つめている。


「恐れていた事が、遂に起きてしまった……」


 俺はガチの占い師で先を見通す力がある為、薄々こうなる事には気付いていた。俄には信じがたい事だったが。

 今までも、ゲーム世界の事なのに、まるで現実で起こっている様な感覚になる事があった。

 現実世界とゲーム世界のつじつまがあわなくなり、そこからバグの様な物が発生してしまうのだろう。


「リュウ、チムメンの皆には伝えて来たぞ」


「ありがとう、ぽたん!」


 それにしても凄い数のモンスターだ。戦っても、戦っても、キリがない……。無限に湧いているんだから当たり前か。


「ふふふ……。はははははっ……」


 隣で戦っているぽたんが急に笑い出した。なんだか少し楽しそうにも見える。彼女はキリッとした目で俺を見ると言った。


「おいっ! リュウ! これはまさに私達、ガチ勢の出番だぞ!!」


「あぁ……。そうだな」


 こんな状況でもぽたんは笑っている。男の俺が負けてはいられないな。


「この世界がバグで武力行使するなら……。我々はハメで対抗するしかない!!」


 ぽたんと二人で無言でうなずく。

 ぽたんは自分が仲間にしているモンスターを呼んだ。


「お前達、いい子だ。ここにはお前達の友達が沢山いる。沢山仲間にして、仲間にした子にも勧誘して貰え。友達が沢山沢山出来るぞ。一番友達が出来た奴には褒美をやる」


 褒美という言葉にモンスター達はやる気を出した様で、一目散に走り出した。現実世界でやったら警察からおしおきされると思うが、この世界なら大丈夫だろう。


 ぽたんは順調に戦っているが、俺は正直苦戦をしていた。タロットカードのモンスターを召喚して戦う俺のスタイルは、後衛寄りだからだ。


 

「なんだ? ゴボウみたいな奴がいるぞ??」


 ここのエリアBOSSの様だ。大きい悪魔系のモンスターでとても強そうだった。


「ゴボウではない! 偉大なる占い師のリュウだ!!」


「占い師ぃ〜?」


 BOSSモンスターは鼻で笑った。


「占い師ってアレだろ? 『あなたは寂しがりやですぅ』とか当たり障りない事言って金儲けする詐欺師だろ?」


「……な、んだと?」


 俺の中で怒りの感情がすくすくと育っていった。占い師を馬鹿にする奴は……許さない。


「ふざけるな!! そんなのはただの霊感商法だ!! 占い師は人を幸せに導く職業だ!! ガチの占い師を馬鹿にするな!!」


 モンスターをブン殴ろうと向かっていったが、見事にかわされてしまった!!そのまま敵の攻撃をモロにくらう。


「うわぁあああぁーー!!」


「……口程にもない奴だな」


 俺の叫び声を聞いてぽたんが叫ぶ。


「リュウ! 召喚術を使うお前にとって接近戦は不利だ! 一旦、退いて私の後ろにまわれ!!」


「大丈夫だ! ぽたん! 案ずるな」


 俺は占い師なのだ。最初は苦戦する事も想定済みだ。俺を幸運に導く鳥が……きっと現れる!!


「もうそろそろ終わりにするか」


 モンスターが俺に攻撃を仕掛けようとしている時、空に大きい飛竜が現れた。……来た!!幸運の鳥だ!!


「そこの飛竜!! 俺を乗せてくれ!!」


 飛竜が急降下して来た!!敵の攻撃をかわしつつ、全力で飛竜に乗り込む!!


「……ちっ、運のいい奴め」

 

 俺は占い師なのだ。運を味方につけて戦うのは当たり前だ!!


「さぁ! いくぜ! そろそろ俺のラッキーターンだっ!!」


 俺はこの戦いの為に作った『幸運の鳥』デッキを用意すると、運命が導くままにカードを引き、タロットカードのモンスターを召喚した。

 飛竜に乗っているので敵の攻撃は一切当たらず、モンスター召喚し放題だった。召喚したモンスターは飛行系モンスターが多く、BOSSモンスターは苦戦していた。


「おまっ……卑怯だぞ!! 降りて戦え!!」


「勝負に卑怯もくそもない!! 残念だったな」


 どんなに強い攻撃をしてくる敵でも、当たらなければどうという事もない!!


「ずっとずっと俺のラッキーターンだっ!!」


 BOSSモンスターはなす術もなく、一方的にハメられて倒れた。俺の完全勝利だった。

 飛竜には、飛竜を操っている飛竜使いが乗っていた。彼にお礼を言う。


「ありがとう! おかげでBOSSを倒す事が出来た。俺はリュウ! 君は?」


「役に立てて良かったです。ハセフォと言います」


 ハセフォは何故か腰にメガホンを差しており、俺にとってもの凄く好都合だった。……さすが幸運の青い鳥だ。


「重ね重ねすまないがそのメガホンを貸してくれないか?後、このビラを空から撒いて欲しい。礼は後でする」


「……はぁ。いいですけど。何ですか?この『ドッキリ大成功』って」


「いいから、いいから〜! ただ撒いて貰えれば」


 ハセフォがビラを撒くのを確認した後、メガホンを受け取ると話し始めた。


「あー、あー、マイクのテスト中! あー、あー!」


 なんとこのメガホンは街の高台に立ってる機械に五台位繋がっており、街全体に声が届く様になっていた。


「冒険者の皆様! いつもありがとうございます! 運営警察です! この度はドッキリイベントに参加して頂いてありがとうございます!」


 街から冒険者の野次が聞こえて来た。やはり冒険者の皆は手強い……。


「運営め! 実は不具合だろっ!!」


「どうせ人件費なくてプレイヤーにテストプレイさせてたくせに!!」

 

「きっとそのうちいつものマタメンテさ!」


 辛辣なブーイングが飛んでくる。冒険者が嫌な気持ちにならない様に更に言葉を続ける。


「なぉ、こちらはバーチャルバージョンとなっておりまして月額一万円を予定しております。皆様を騙してしまったお詫びと言ってはなんですがしばらくバーチャルな世界観をお楽しみください」


 冒険者の反応が変わる。


「なんだとっ!! 運営神っ!!」


「確かにこの感覚はリアルだっ! 三ヶ月に一回位なら課金してもいい……」


「実際に現実世界かと思ったぜ!! やるな運営!!」


 月額一万円を体験出来ていると知ると、運営を持ち上げ始めた。……現金な奴らだ。

 でもまぁ、幸せそうだからいいや。



 ◇


 

 BOSSを倒してもまだモンスターは無限に湧いていた。

 俺は『ずっとずっと俺のラッキーターン』で敵をハメながら攻撃を続け、ハセフォにビラを撒いて貰っていた。


――俺は待っているのだ。彼女を……。

 神の加護を受けている彼女が、この戦いを終わらせる鍵なのだ。実際、我々冒険者の中に『神』が混じっているのを直感で感じる。……誰が『神』かはわからないが。

 そして俺は初めて予知夢を見た。導け……という事なのかも知れない。


 彼女は神社に一人でいた。ゲームのアバターとそっくりだったのですぐわかった。あれは地雷戦士だ。

 地雷戦士は神と出会い、神の力を授かった。いつも持ち歩いているあの聖剣がそうだ。なぜか現実世界ではなく、ゲーム世界に影響を及ぼしている様だった。



 

 

 


 


 


 

読んで頂いてありがとうございます!!楽しい作品になるよう頑張っています!!良かったら、評価とブックマークよろしくお願いします!

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