ガチ勢とサブリ兄弟
うちのチームにはガチ勢と呼ばれるコンビがいる。地雷よりもずっとずっと後にこの世界に来たのに、もう地雷よりも強くてカッコ良かった。
日々、彼らはレベル上げ、ダンジョン攻略、金策、装備調達などが忙しく、なかなか地雷と一緒に遊ぶ機会がなかった。つい最近、それらが一通り片付いた様で一緒に遊べるようになったのだ!!
「ぽたんちゃーん! リュウさーん! あーそーぼー!」
地雷が隣同士で建っているお家の真ん中で叫ぶと、それぞれのお家からガチ勢が出て来た。
「うぃ」
「よく来たな! 今日は超絶重要ミッションがあるぞ!」
超絶重要ミッション??よくわからないなぁって思ってたらいきなり大金をリュウさんが渡してきた。
「ちょ……ちょっと!? 地雷を買収する気!?」
買収しても得になる事は少ないと思うが……。
「違う、違う! サブリーダー家のハウジングをするから壁とかを買って来て欲しいんだ」
「壁?」
「詳しくはぽたんから聞くといい! 俺は家の風水を調べて運のいい配置と色を調べる!!」
リュウさんは占い師だ。風水とかタロットカードが好きらしい。ぽたんちゃんは淡々と設計図を見ながら壁の数を地雷に伝える。
「えっと……。青の壁B127枚、赤の壁D45枚、黄の壁E51枚……。とりあえずそれで」
「とりあえずでその枚数なの!?」
「うぃ」
ただのハウジングなのに……風水まで調べて、設計図まで作って……やっぱりガチだ!!
話を聞くとチーム集会所をサブリの家にするらしい。チムリのお家が消滅してしまったのでそうなったみたい。
チムリも新しいお家を建てるお金はあるみたいだけど、なんだかんだで魔法使いとのルームシェアが楽しいみたいで家を建てていない。
「じゃあ、サブリの家で落ち合おう!頼んだぞ!!」
街で大量の壁を買ってからサブリの家に向かったら、大きい城みたいな家が建ってた。多分、三階ぐらいまでありそうだ。
「……でっか」
サブリの家の前にいるぽたんちゃんに壁を渡したら、追加で注文を受けた。
「青の壁D45枚、赤の壁A34枚、黄の壁B62枚、赤の薄壁C5枚」
「ねぇ、壁ばっかりだけど他の家具はいらないの?ベッドとかタンスとか照明とか……」
地雷が聞いたらぽたんちゃんは設計図を見ながら表情を変えずに答えた。
「問題ない。他の家具はサブリがもともと持っていた物を使用する」
ぽたんちゃんは大量の壁を持って、城の中に消えてしまった。お城の中で壁ドン祭りでもするんだろうか……。何それ素敵!!ぜひ参加したい!!
こうして壁のおつかいマラソンが始まった。地雷は何日も何日も壁のおつかいマラソン係として頑張った。
今日も淡々と壁のおつかいマラソンをしていたら、家の持ち主のサブリに久しぶりに会った。
「うはは〜。今日、二時間しか寝てない」
「ゴチさん、大丈夫??」
サブリのゴチさんは『しゃちく』と呼ばれてる人で、いつも『かいしゃ』という組織から見えない鎖で繋がれていた。その為、このお家のエリアしか行動が出来ず、一緒に冒険する事が出来なかった。
「さぁ、家に入って。ハンバーガーをあげよう」
「わーい! ありがとう! ゴチさんゴチです!!」
「うはは!」
ガチ勢のハウジングは三階から始めているみたいで一階には誰もいなかった。大きいキッチンと、小さいテーブルとイスがあるだけだ。
キッチンで簡単に調理すると、美味しそうなハンバーガーを持ってきてくれた。
「さぁ、召し上がれ」
「いただきまーす!! 美味しい〜!!」
サブリはいつも地雷が来ると美味しいものをご馳走してくれた。そして地雷が美味しそうに食べると、凄く幸せそうな顔をした。
「俺は一緒に冒険に行ってやれないから、せめて腹一杯、美味しいものを食べて欲しい」
そう言っていつも笑ってた。一緒に冒険は出来ないけど、そんなサブリがみんな大好きだった。
サブリは少ない時間で料理職人としてお金を貯めて、チームの為にお金を使ってた。このお城のお金も頑張って貯めたんだと思う。
「サブリさん! 久しぶり〜! あらっ。寝ているわ」
ミユキさんもお家に遊びに来たみたいだけど、残念ながらサブリは椅子に座ったまま寝てしまった。
「こんにちは! ミユキさん! なんか二時間しか寝てないって言ってたから限界だったかも」
「そうなんだ……。それはお疲れだったと思うし、ゆっくり寝てもらわないと」
サブリはいつも座りながら寝てしまうか、立ちながら寝てしまう眠りのプロだった。正直、身体が心配なのでベッドでゆっくり休んで欲しいと思う。
「サブリのかわりにぽたんちゃんとリュウさんがハウジング頑張ってくれてるみたいで今三階にいるよ!」
「うんうん! 聞いているわ! 私も資金援助させていただいているから、様子を見に来たの!」
「そうだったんだ!!」
「私のチームの集会所だしね!」
なるほど……。ミユキさんのマネーパワーの助けがあれば資金の心配なくハウジング出来るもんね。
「やぁ、いつも弟がすまないね……。」
サブリのお兄さんのリウルさんがサブリを回収しに来たみたいだった。リウルさんのお家は隣にある。多分、心配で隣に建てたんだろうな。
座りながら寝ているサブリを引きずりながら自分の家に連れていった。
地雷は、倒れる様に寝ているサブリを見て、このままでいいのかなって思ったのだった。
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