難易度レベルSSクラス隠しダンジョン樹海
今日は一人でヒスイの塔に行った。ヒスイの塔には戦士のお守りを落とすモンスターがいて、それをゲットしようと思ったからだ。
今ヒスイの塔の中を徘徊してるけど、やっぱりモンスター以外は誰もいないみたい。そりゃそうだよね!戦士くらいしかここに来るメリットはあまりないし。
「ふぅ……。じゃあやりますかね……」
敵と戦おうと思ったら何かの気配を感じる……。後ろを向いてみたら……なんと人がいた。
「うわぁあああぁ〜!!!」
びっくりしすぎて叫んじゃったよ!!呆然とただそこに立っていただけだから幽霊かと思ったよ。
「ごっ、ごめんなさい! ちょっとびっくりして……」
「いえいえ。大丈夫です」
「あの……ここで何をしているんですか?」
「私は……ここに来る人が寂しくないように、ここに立っています」
「はぁ……」
うん……こいつはアレだ。きっとヤバイ奴だ。関わらないようにしよう。
「あっ、じゃあ地雷はこれで失礼しまーす」
明るい感じで言って幽霊から離れた。その後、お守りをゲットすべく敵と戦っていたのだが……。
幽霊が仲間になりたそうにこちらを見ている
幽霊が仲間になりたそうにこちらを見ている
幽霊が仲間になりたそうにこちらを見ている
……駄目だ。視線が気になって集中出来ない。お守りが出るモンスター、このエリアしかいないし……。はぁ。
仕方なく地雷は幽霊に話しかけた。暇そうだし。
「あの……お守り狙ってるんですケド。一緒にやりますか?」
「やります!!!」
幽霊……元気だな、オイ!!幽霊はパーティーに参加すると戦うでもなく、アイテムを使うでもなく、地雷のストーカーみたいになって後ろについてきた。
本当に幽霊プレイをされるとは思わなかった。
「あの……。戦うとかアイテム使うとかしてくれませんか?」
「私、賢者になりたいんです!」
「はぁ……」
「だから遊び人を極めないといけないんです!! 遊び人を極めたら賢者になれるらしくて!! だから戦えないんです!!」
いやいや!!戦えよ!!お前がしているのはただの寄生だよ!!だいたい、なんのゲームの話をしているんだ!!
……よしよし、落ち着け地雷!!彼女はきっと初心者なんだ。きっとそうだ。
「えっと……。まず、賢者って漢字でどう書きますか?」
「賢い者って書きます」
「えっと……適性あると思われますか?」
「はい!!!」
はい!!!……じゃねーよ!!やばい、なんか疲れてきた……。もう深く問いかけるのはやめよう……。
幽霊を連れたまま、地雷は考える事をやめて敵を倒し続けた。倒してる最中、彼女が言った。
「すみません、少し待って貰って良いですか?」
仕方ないので待っていると彼女は沢山のお守りを取り出してワタワタし始めた。
「どうしたの?」
「……どれが必要かわからなくて」
どうやら持っているお守りが一杯で新しいお守りを持てないらしい。やっぱり初心者かな?仕方ない見てあげよう。
「ちょっと見せて〜」
一つ一つ見て断捨離するとカバンにスペースが出来た。
「……あの。私の家に来てくれませんか?」
「……はっ?」
「お守り沢山あるんです」
「……」
地雷、戦士のお守り出てないんだけどなぁ。でも普段みんなに優しくして貰ってる分、わからない子には優しくしないと……。
走馬灯みたいに普段の行動を振り返る。
そるとちゃんに寄生する地雷。魔法使いに棺桶を運ばせる地雷。チムリの家を消滅させる地雷。
……人の事、言えないわ。
「いいよ! お家に行って見てあげるよ」
「ありがとう!」
移動魔法で彼女のお家に行く。小さいサイズの家で、中に入ると可愛いメイドさんが出迎えてくれた。
だいたいこの世界ではお家を建てるとメイドさんも一緒に雇う冒険者が多い。冒険中に簡単にお掃除して貰ったり、おつかいを頼んだり出来るからだ。
それにしても彼女の家の中は凄まじかった。本!本!本!本が積み上げられ……。なんだかよくわからないフィギュア!なんだかよくわからない防具!誰が推しなんだかよくわからないぐらいの数のポスターが壁に貼られていた。
「おかえりなさいませ。ミコト様」
壁に向かってメイドさんが言う。……うん。24時間ずっとこの家にいるもんな。壁見てた方がいいよな……。現実見たくないよね……。
「私はこの部屋を樹海と呼んでいます」
……なにドヤ顔で言ってんだコイツ。
「……さてと。お守りってどこだっけ?」
おいおいおい!!お守りを探す所からかよ!!
フィギュアとか本とかよくわからない物達をかきわけて前に進む幽霊……。地雷、初めてだよ……物をかき分けて進む家。
一向にお守りが出てくる気配がミジンコもなく、仕方なく地雷は覚悟を決めた……。
「ねぇ……まずは部屋の掃除をしよう」
「わかりました! 賢者になるために掃除します!」
……賢者関係ないよね?
とりあえず分別から始める。いらないゴミはゴミ袋へ!
フィギュアと本と防具を分ける。あきらかにいらないものはそのままゴミ袋に捨てる!!
「あっ、それはいつか使うかもしれないから……」
「大丈夫、1000%使わない」
埒が開かないので強制的に処分だ!!それにしてもフィギュアのねーちゃん乳でかいキャラばっかだな!!なんか腹立つ〜……。
「そのフィギュアは限定商品で手に入れるの大変だったんだ!!生産数が凄く少なくて……」
なんか話し始めたけど気が散るので話半分で聞く。だんだんイライラしてきた。
「ごめん、悪いんだけど。これをバザーか何かで売って来てくれない??」
「わかった!」
彼女をおつかいに出した。これで集中出来る!!
……どれくらい時間がたっていたのだろう。ゴミ袋が7、8袋ぐらいになった時にふと思った。
……地雷、何やってるんだろ。お守りドロップよりも、ある意味BOSS討伐よりも……疲れる!!
「やっと出てきました!! お守り!! 沢山沢山沢山ありまーす!!」
嬉しそうに笑顔で言う幽霊に地雷は言った。
「頼む、もう勘弁してくれ……」
地雷は気付いた。こいつはヒスイの塔にいるもう一人のラスボスだ。出会うと難易度レベルSSクラス隠しダンジョン樹海に連れて逝かれる。地雷のHPはもう0だ……。
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