いよいよ出番だっ!
いよいよ地雷の順番がまわってきた。凄い練習してきたけど、こんなに大人数で主役になるのは初めてだ。緊張する……。
「エントリーナンバー14番! どうぞ〜!!」
黒マントに身を包み、たわわなおっぱいを強調させながらステージに登場した。谷間を強調させるために、黒マントの紐をゆるく結んである。
「こんにちは〜! 通りすがりのボインの美女です!!」
黒マントの性能を使って、ボインの美女になったというのに客席は目が点になっている。
『地雷さん! 品!! 品が大事っっ!!』
腕輪から声が聞こえてくるけど……地雷にはチートさんの言葉が聞こえない。
「このっ!! セクシーなダンスでぇぇっ!! みんなの心をっ、鷲掴みにしちゃうぞっ!!」
「…………」
「…………」
セクシーダンスをしてキメポーズで喋ったけど、なんだか会場が静まり返っている。きっとこの谷間に見惚れているのだろう。とりあえず魔法陣だ……ライルンを召喚する魔法陣を聖剣で描こう。
「あぁ〜……谷間が重くて重くて、うまく魔法陣を描けなぁ〜〜い!! どなたか手伝ってくれないかしら??」
「…………」
「…………」
反応が薄い。アバターだし、美女だし、ボインだし、結構いい線いってると思うんだけどなぁ〜。
観客が呆然としている中、私は胸の谷間を強調させながらクネクネして魔法陣を描きあげた。
しばらくセクシーダンスを踊った後、観客に背を向けて聖剣を掲げる。
「生と死を司る我らが神よ!! 聖剣……ライルンバーの名の元に……我に力を与えたまへ」
なんだか身体に力が入りずらい、もしかしたらおばさんになっているかもしれない。
魔法陣が光だし、いよいよライルンを呼び出す時がやってきた!!
「いでよ!! Death god Prince!!」
叫んだと同時に、魔法陣から突風が吹き荒れる。その風で、地雷の黒マントの紐がとれて地面に落ちる。
「……あっ」
地雷のたわわなおっぱいがしぼんでいく……。セクシーな水着姿から、派手な水着を着たおばあちゃんになっているのを感じる……。
「あっ、こんにちは。Death god Princeです」
なんと舞台裏から普通にライルンが登場してきた。私の理想では空中から降りてくる最高の手筈だったのに!!
「ちょっとちょっと! なんで空から降りて来ないのぉお!!」
「登場したからいいじゃないですか。僕、目立つのあまり得意ではないんで……」
「…………」
一体私はなんの為にセクシーダンスを踊ったのだろう。カニ歩きで黒マントを取りに行って、マントで身体を隠した。
「あっ、おばあちゃんになってる」
後ろを振り向くと、モニターに白髪のおばあちゃんになっている自分が映っていた。凄く……残念な感じだ。
「死神プリンスだ!!」
「本当だ!! サイン頂戴!!」
「凄いなぁ〜エキストラの演出だったのか!!」
そうさ、エキストラおばあちゃんの役目は終わったのだ。そんなもんだよ私の役目なんてさっ。後……私に出来る事は……。
そんな事を思いながら客席の方を見ると、同じ様な黒いマントを羽織ったパステルちゃんを見かけた。
「お姉ちゃん!! 任せて!! レッド応援団長補佐の力が火を吹くぜ!!」
「えっ、どういう……」
「みんな〜〜!! 世界に花を届けたいっ!!」
パステルちゃんはそう言うと、どこからか凄い人数の赤い服を着た人達が集まって着た。
「いでよっ! Death god Prince!!」
「我らの死神プリンスに……華をっ!!」
「この世界に花を届けたい!!」
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パステルちゃん、いつの間に『世界に花を届け隊』に入っていたのだろう。しかも……応援団長補佐って……。
もう、誰も地雷を見ていないし、死神プリンスにみんな釘付けになっているのでそそくさと舞台裏の方に移動する。
「あぁ……私の存在って……」
独り言をつぶやいてみたら、なんだか虚しくなってきたからそれ以上の独り言はやめておいた。
「どうして!? どうして?? 私の出番はっ??」
舞台裏の方で独り言をいいながら泣いている女性を見かけた。あっ……この人、私の後でアピールタイムをする予定の人だ。たしか一番最後だからこの人だけアピールタイムをする事が出来なかった形になる。
「あの……大丈夫?? ごめんね」
「許さない! 許さないわっ!! なんなのあれ!! 私、聞いてないわよっ!!」
プリンセスコンテストをぶち壊してしまった事をちょっと後悔してしまった。そんなにコンテストに出たかったなんて……私がラストとかにアピールタイムすれば良かった。
「ごめんなさい! コンテストを……ぶち壊してしまって」
「本当よ! 何考えてるの??」
「いやあの……色々、事情があって」
「……事情?」
そう、事情があるんだけど……なんて言えばいいんだろう。やっぱり、ちゃんと理由を話さないと。
「あのね……このコンテスト、実は悪い人が開催している催しなの」
「悪い人が開催している催し??」
「うん、そうなの。だから逆にコンテストを強制的に終わらせないといけなくて」
「……ふ〜ん」
さっきまで泣いていたけど、理由を説明したら泣き止んでくれた。良かった良かった……。
「その悪い人って、なんでプリンスコンテストをやろうと思ったのかしら??」
「う〜ん、なんでかなぁ??」
「…………」
そうなんだよねぇ。そこがよくわからないっていうか……。
「あなたって、行動が軽率だとか言われない??」
「えっ! あっ、よく言われる……」
「あなたはまんまと引っかかったのよ」
さっきまで泣いていた女性は不適な笑みを浮かべながら話し続けた。
「知っている事をすべて話してもらうわ」
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