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明日は檜になろう  作者: 夜空雷流
第四章
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プリンセスコンテスト開始2


 ローズさんは薔薇の模様がついている袋から何かを取り出す。あの袋は!?まさかエコバッグ!?

 ローズさんはエコバッグから何かのパックを取り出すとごそごそと茶色の塊を取り出した。


「ふんっ!!」


 ローズさんは風の魔法を使って茶色の塊を空に向かって投げると、美しい剣捌きで茶色の塊を斬りつけた。


「うわぁ……綺麗!!」


 茶色の塊はローズさんによって華麗に切り刻まれ、そしてピンク色のヒラヒラしたものが会場に降り注ぐ。


「なんだこれ? いい匂いがするけど」


「もしかしてこれ、そのまま食べられる!?」


 観客の一人がピンク色の薄い物体をかじる。そして、笑顔になってつぶやいた。


「なにこれ! 凄く美味しいボンレスハムだ!!」


 そう、ローズさんはボンレスハムを切り刻んで会場の客席に届けたのだ。でも、会場の前列ちょっとしかハムが届かない。


「ローズさん! ボンレスハム引き続き私が用意するから、後の事はまかせて切り刻んでくれない?」


「んっ? わかった」


 私は長いテーブルを6個ぐらい出した後、お皿をテーブルに並べていった。もちろん、黒マントの性能を使って映えのある演出をしながらだ。空中から綺麗な円をえがきながらテーブルに置かれるお皿を観客が呆然とした表情で見ている。


「ローズさん! いくよ!!」


「うむ! いつでも良いぞ!!」


 さっきよりも分厚くて重いボンレスハムを空中になげると、ローズさんが再び美しい演出をしながら切り刻む。私は一枚一枚のお皿に、薔薇の形に盛り付ける形で会場の観客分の料理を完成させた。


『地雷さん! これは俺からのプレゼントだ!!』


 チートさんの声が響いたと思ったら、会場に何かボールのようなものが投げ込まれた。しばらくすると、ボールから煙の様なものが出てきた。


『これはサクラチップの煙だ。薔薇科のものなんだけどこの煙にハムが触れると美味しい燻製ハムが出来る!!』


 チートさんが投げ込んだボールの様なもので、更に美味しくなる燻製ハムが出来上がった。多分、錬金をして作ったのだろう……さすがチートさんだ。


「凄い美味しそうな匂いがする!!」


「なんだかお腹がすいてきた〜」


 テーブル6席分出来上がった所で、会場から観客の催促があったため急いでステージにいる観客全員に燻製ハムを配る事にした。


「凄い!! お皿が空中から飛んできた!!」


「この薔薇の盛り付け凄い綺麗!!」


 どうやら燻製ハムの味も良かったらしい。みんな笑顔で燻製ハムを食べている。


「……くっ」


「ローズさん!! 大丈夫??」


 全てのお皿を配り終えた後、ローズさんを見て見るとすっかりおばあちゃんになってしまっていた。


「皆の者!! よく聞くのだ!! 若さだけが女の美しさではない!! 生き様……それこそが女の美しさだ!!」

 

 おばあちゃんになってしまったローズさんを抱き抱える形で退場した後、イベントの係員が私達に声をかけてきた。


「申し訳ありません……プリンセスコンテストは原則、女性一人でのアピールタイムになるので失格扱いになります」


「……えっ!? 失格!?」


 どうやら私が助太刀した関係で、ローズさんは対象外になってしまった。


「ローズさん……ごめんなさい。失格になるなんて……」


「いや、大丈夫だ。全然問題ない」


 舞台裏にきて数分するとローズさんはおばあちゃんから、いつもの綺麗な女性に戻っていた。


「でも、せっかく綺麗な剣捌きだったのに」


「いいんだ。私は参加賞のティッシュが貰えればそれで」


「……」


 どうやらローズさんは、参加賞のティッシュが貰えれば良かったみたいだ。なんていうか……さすが節約主婦って感じ。



 ◇



 ローズさんとおしゃべりをしていると、舞台裏から飛び出していった三人が戻ってきた。


「なんだか……あなた達を見ていたら、美しさって若さだけじゃないかもって思ってきた」


「えぇ……おばさんになっても、おばあちゃんになっても、女の美しさってあるんだなって」


「私も逃げ出しちゃったけど……ローズさんを見て、勇気を貰った」


 三人は口々にそういうと、三人揃って司会のお姉さんの所に向かった。


「もう一度、私達を出して下さい! お願いします!!」


 こうして三人はおばあちゃんになりながらも、舞台に出て立派に観客にアピールをする事が出来た。私は黒マントの性能を使い、彼女達が目立てる様な演出を追加する。

 この三人も、舞台裏に来て数分後には元の姿に戻ったようだった。


「あぁ……無事にアピールタイムを終えて良かったわ!」


「でも、なんでおばあちゃんになってしまったのかしら??」


 その後、舞台参加者はおばあちゃんになりながらも立派にアピールタイムを果たしていった。そしていよいよ、私の番がまわってきた。


「そろそろ出番かな?? アピールタイム頑張ってきてくれ!!」


「はいっ!! ローズさんの分も頑張りますっ!!」


 アピールタイムっていうか……ライルン召喚の儀式って感じなんだけど。まぁ、私も頑張ってこよっと!!

 それにしても……不思議なんだけど、私の他にも舞台のお姉さんを魅力的に演出してくれている存在がいるような気がする。



 


 


 


 



 

 


 

 




 

読んで頂いてありがとうございます!!楽しい作品になるよう頑張っています!!良かったら、評価とブックマークよろしくお願いします!

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