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明日は檜になろう  作者: 夜空雷流
第三章
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地雷さんだけが使える聖剣1


 待ちに待った満月の夜がやってきた。でも、一体どうするつもりなんだろう。あれから何も連絡なかったし、こっちから地雷さんの部屋に行くべきか……。


「チート殿。地雷殿は何をするつもりなのだ?」


 部屋に来ていたチャカさんが俺に質問をしてきたけど、俺にもよくわからない。っていうか、チャカさんはなぜここにいるんだろう……。


「正直、俺もよくわかってないんだ。とにかく地雷さんの部屋に行ってみて……」


――コンコン!!


「チートさん……いる??」


 来た!!地雷さんの声だ。扉を開けてみると、黒いマントを身にまとった地雷さんの姿がそこにあった。顔色は良さそうみたいだな……良かった良かった。


「えっと……学院裏に来て欲しいの」


「わかった。学院裏だな」


 聖剣の力を使うから人気がない場所が良いのだろう。俺達は急いで学院裏に向かった。

 学院裏に着くと、地雷さんは聖剣を取り出して剣先で地面に何かを描き始める。


「ちょっと離れていて。この模様を消さない様に……」


「わかった」


 地雷さんは自分を中心に円の様なものを描くと、まわりにミミズみたいな文字を書き始めた。もしかしてこれは魔法陣か??


「なぁ……マタメンテエルフ。あの模様って何の模様なんだ?? 魔法陣みたいだけども」


「悪いけどよくわからないよ。初めて見る」


 マタメンテエルフでもわからないのか。つくづく不思議な魔法陣だ。

 

「これで良し!……っと」


 どうやら準備は整ったらしい。その後地雷さんは模様の中心で踊りを始めた。よくわからない踊りを黙って見守る俺達。

 だいぶ時間がたったけど、いつまで続くんだろう……。そう思っていたら突然、後ろ向きの状態で地雷さんの動きが止まった。聖剣を空に掲げて叫び始める。


「生と死を司る我らが神よ!! 聖剣……ライルンバーの名の元に……我に力を与えたまへ」


 地雷さんが叫び声を上げると、魔法陣が光出した。一体……何が始まるっていうんだ!?


「地雷さん!! これは何なの!? 大丈夫なの??」


「力を解放するから……伏せて!!」


「……えっ!?」


 そう言った瞬間!!光っている魔法陣から突風が吹き荒れて、後ろに倒れそうになる。


「いでよ!! Death god Prince!!」


 なになになに!?降霊術!?召喚魔法!?地雷さんの使う聖剣ってそういう類いな訳??聖剣ライルンバーとかDeath god Princeとか……よくわからない!!


「おい……チート、落ち着いて聞けよ? Death god Princeっていう事はだな……」


「まさか……死神!?」


 地雷さん!!まさか死神を召喚する気なのか!?死神って、死神って……大丈夫なのっ!?!?

 俺が焦っていると、魔法陣から出ていた光が消えて突風が止み……いきなり静かになった。


「…………なんだ??」


 目の前が真っ暗になってびっくりしたけど、段々時間がたって目が見える様になってきた。少しずつ落ち着いてきたぞ。地雷さんは後ろを向いたままだ。


「名は死神としておこう。君達の魂を管理している者だ。間違っても私の顔を見ようなどとは考えない方が良い。魂を吸い取ってしまうぞ? ハハハハ!!」


 今までに聞いた事のない男性の声が聞こえた。まさか地雷さん、本当に死神を……召喚したのか!?!?

 地雷さんはゆっくりと身体をこちらに向け始めた。あの顔についているのは……眼帯??


「駄目だ! 目を見るな!!」


 マタメンテエルフの叫び声が聞こえたけど……遅かった。地雷さんと目があった瞬間……意識が遠くなるのを感じる。


「あっ……」


 霞ゆく意識の中で……仲間達の声が聞こえる……。


「チート殿!? チート殿!? どうしたのだ??」


「おいっ!! チート!! 目を開けろ!!」


「いやぁああぁあ!! チートさん!! サンダーストーン!!」


――ゴッ!!


 凄い激痛が俺の中に走った。どうやら地雷さんのサンダーストーンがあたったらしい。


「…………いって!!」


「あっ! チート殿、起きた」


「ナイス! 地雷ちゃん!!」


「…………」


 地雷さんは何も喋らない。もしかして地雷さんの身体の中に……死神が宿っているというのか??


「今回は事故だったので魂を返してやろう。二度目はないぞ……」


 この声……死神だ!!間違えなく本物の死神だ!!地雷さんが石を投げてくれなかったら俺は……魂を抜かれていたんだ!!恐ろしい……。


「地雷さん! 大丈夫??」


「…………」


 やっぱり地雷さんは喋らない。恐る恐る地雷さんを確認すると下を向いたまま……眼帯の方の目を抑えている。

 どうしようか迷っていると再び魔法陣が光りだし、なんと今度は地面が揺れ始めた。


「……なんだ? 地震か!?」


「気をつけろ! 何が起こるかわからないぞ!」


 あたりを気をつけながら地雷さんを見守っていると、再び死神の声がした。


「今、隠された力が暴走している!! ぐぁああぁああ!!」


 隠された力ってなんだ!?大丈夫なのか!?ダメだ……もうよくわからない。


「……もう、ダメ」


 地雷さんの声が聞こえたと思ったら、地雷さんはバタッと倒れてしまった。


「地雷さんっ!!」


――ガラガラピシャーン!!


 俺達が地雷さんの元に駆け寄ろうとした瞬間……今度は落雷の音が聞こえた。思わず空を見上げると……黒い何かが満月に照らされて、ゆっくり降りて来ているのが見えた。


「……まさか、死神?」


読んで頂いてありがとうございます!!楽しい作品になるよう頑張っています!!良かったら、評価とブックマークよろしくお願いします!

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