〜君恋〜(きみこい) 心から君へ送る詩
小学校からの幼馴染で高校3年の時から付き合っている君が大学を卒業し今日から就職で東京から沖縄へ行くことになった。
(ゴォォォォォッ)
空港内に飛行機の飛び立つエンジン音が響いた。
一機、また一機と窓から見える飛び立つ飛行機の姿は、まるで君との別れのカウントダウンをされているかのように感じる
それを見て我慢していた悲しみが込み上がる。
もうすぐで搭乗時間になる。
彼氏ならここで元気づける所だと思うけど
遠距離恋愛という不安感が頭によぎり言葉が出てこない。
ただただ哀愁漂う君の姿を見ているだけだった。
「ねぇみつる??将来の夢は??」
後ろ姿の君からの言葉が第一声となった。
男なのに情け無い...!!!そう思い寂しさを押し殺し
いつものような素振りで君を元気づけて見送る事にした
「ん?決まってんじゃん?!俺は、音楽で食ってく!!」
「みつるなら絶対いけるよ!?あっ!!先にサインもらっとくかな??みつるが売れたらそれ売ってお金にする」
「ふっ!お前なーっ!!!」
「あははっ!!なんてねっ!?遠くからでも応援してるからね?」
しばらく会えなくなるのに…
いつも辛い時君は、辛い顔をいっさい見せず
笑顔で冗談を言って場を和ませてくれる
そんな優しい君に俺は惚れたんだ。
「あっ?!もう時間………じゃあ行ってきます!!着いたらメールする...!!手紙も書くからね?!」
「お、おう!!待ってる!!がんばれよ?!」
「あ、ありがとう………充も音楽頑張ってね!!? 音楽番組毎日チェックするから!!!じゃ...行ってきます!!」
くしゃくしゃで今でも泣き出しそうな君の顔
俺も辛いけど笑顔で君を送りたい。
笑顔で旅立ってほしいんだ。
「お互い頑張ろなぁぁぁっ!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あれから3年だ。
君と音信不通になり"行ってきます"の君の言葉が最後となった…………。
今どこにいる??
元気でやってるのか??
君の事は何一つ何もわからない状態だ。
俺の名前は、佐伯充
弾き語りに憧れ中学からギターを始めて
高校卒業後、シンガーソングライターの夢を抱き東京へ上京!!
有名になるために月に何回かライブに出演し活動を続けている。
今ではファンも増えてきた。
普通なら喜ぶべき所だが...
君の事で、今でも憂鬱な気持ちになる。
...........
「佐伯さーんまもなく出番です!!」
いつものようにスタッフが楽屋へ呼びに来る。
その言葉が俺がアーティストに変わるスイッチとなる。
「はーい」
楽屋を出ると仄暗い廊下でその先にはステージから明かりが漏れていて微かに光が見える。
「きゃー!!」「みつるー!!!」
ステージに立つ前なのにファンの熱気がすごい。
よし行こう!!
ステージへ出るとガラッと世界が変わる。
まるで日中のトンネルを抜けた時のようにライトアップが眩しい
目の前には50人入る規模の会場で満席になるほどのファンがいた。
「きゃーーーっ!!」
姿を見せるとさらに応援の熱が激しくなる
この声を聞くたびに強く慣れる気がする……。
「今日はみんな来てくれてありがとう!」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「では一曲目!聞いてください!!虹色の羽」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「かんぱーい」
「みつるさん今日もすごかったですね?」
そう言うのは年下のヨシト
ライブ後、対バンだったバンドのボーカルヨシトと打ち上げをすることになった。
ヨシトはミステリアスとゆうロックバンドのギターボーカル
声は高めで髪は金髪でツンツンと立ち上げていて派手目
化粧なしで肌は白く透き通っていて目は大きくパッチリ二重!!
芸能人にいてもおかしくないほど顔が整っている。
「みつるさんもうすぐデビューなんじゃないっすか?!!」
「おいおい調子に乗らすなよ!!ミステリアスの方がファンも多いしもうすぐデビューなんじゃないか?」
「あははははっ!!」
こんな感じでいつも二人で笑い合いながら話してる
ヨシトは見た目はチャラチャラしているけど話が合うしお互いに尊敬している。
社会人でできた唯一のライバルであり友人だ!!
「あっ!そういえば!!みつるさん彼女作らないんですか??」
「.......俺は女は作らないんだよ」
ヨシトは、君の存在を知らない。
付き合っていると言える関係なのかわからないし
話しても複雑だし重い話になるからだ。
「えー!?たしかしばらくいないっすよね??みつるさんなら彼女何人もいてもおかしくないのに??」
「俺はヨシトと違ってファンを狙うとかそうゆう事したくないの!!今は音楽しか興味ないの!!」
「みつるさん!!?さすがに怒りますよ!!」
「あははっ!冗談だってば!?」
二人楽しく談話している時。
席へ向かってくる見知らぬ人影が視線に映った。
「お話の途中失礼します。佐伯充さんですよね??」
低めな声、茶髪で髪はオールバックで縁なしメガネ!!そしてスーツでいかにもインテリ?とゆう雰囲気を漂わせた見た目の男が立っていた。
「えっ?!はいそうですけど…?」
「私ですね、アーバンレコードプロデューサー兼社長の野口といいます。」
「アーバンレコード??」
「あ、あ、アーバンレコード???み、みつるさんアーバンレコードって相当大きい会社っすよ!!!浜田亜美とかトリップCの会社です!!」
「えっ?ま、まじで??」
「佐伯充さん!今日のライブ見させてもらいました。」
「あ、は、はい??」
「佐伯充さん!ウチでデビューしませんか??」
「え、?えぇ〜??え??」
「えぇーっ!?すごいっすよ!!みつるさーんやりましたね!!」
声を震わせ涙ぐんだ表情のヨシトが視界に映った。
「ちなみになぜ僕が???」
「抜き打ちでスカウト業務をしてまして、アマチュアのアーティストのライブなど拝見させてもらってますが……
佐伯充さん、あなたは誰よりも声質、歌詞、曲全てにおいてパーフェクトだ!!あなたなら長年この業界を見てきたが、絶対売れる!!是非ともうちでデビューをしていただきたいのです。」
「えっ?あ、あ、ありがとうございます!!でも本当に俺が?」
喜ぶべきところだが
急すぎて新手の詐欺なのかと疑ってしまっている自分がいる。
「まぁ、そう思われても仕方ないですよね?じゃあ一旦明日うちの会社へ来てもらえませんか?そこで詳しく話しましょう。名刺渡しますので」
「わ、わかりました!!」
「では、よろしくお願いします。」
そういいながらプロデューサーの男は笑顔で礼をして去っていった。
「みつるさーん やりましたね!!ミツルさんのデビューの祝ってカンパイもういっかいしましょう」
「いや、まだ正式に決まってないんだからさ?」
「いやあの言い方は決まったと言ってもいいでしょ!?
ほらカンパイ〜」
「あ、ははっ!そうだな!カンパイ」
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翌日名刺に書かれた住所のビルの前で俺は、呆然と立っていた。
首を目一杯あげてようやくてっぺんが見えるビルで
まさに今からラスボスと戦いに行くそんな雰囲気を感じさせる。
ビルの中心にはurban Record の文字が大きく描かれていて
遠くから見てもアーバンレコードのビルとわかるほど主張が強い。
これがアーバンレコードのビル??
相当稼いでんな??
そんなとこで俺がデビューって??本当なのか??
とりあえず中に入るか...
緊張し少し震えぎこちない足取りで前へ進む
今ならお化け屋敷の中で脅かされ恐怖で前へ進めない気持ちがわかる。
そう思いながら凄まじく長く感じた距離の入り口までようやくたどり着くと大きな自動ドアが見えた。
この先がアーバンレコードの内部か??
よし入るか!!
緊張をほぐそうと"ふぅー"深い深呼吸をし自動ドアの前へ立つ。そしてウィーンと扉が開いた。
目の前には受付デスクがあり綺麗めで清楚で賢そうな女性が立っていた。
「ようこそアーバンレコードへ!!お約束ですか??」
「す、すいません野口さんに来るように言われてまして?」
「あっ!!お待ちしておりました!佐伯充様ですね??
最上階の30階で野口がお待ちしております!!右手のエレベーターをお使いください。」
「は、はい」
平然を装って指示されたエレベーターに乗りこむと
そこには違う世界が待ち受けていた。
中はガラス張りの空間で景色が見渡せる。
30階のボタンを押し起動させると
上に上がるごとにアーバンレコードから見える街一面が広がる
チーン(30階です)
アナウンス音と共に扉が開くと30階のフロアが見える。
30階のフロアはとても広く長い渡り廊下があり左右にはドアがいくつも並んでいて相当な数の部屋があるのがわかる。
「佐伯さん お待ちしてました。」
度重なる別世界な風景に驚きすぎて視界に入らなかったが
野口さんがエレベーター横で笑顔で立っていた。
「す、すいませんお待たせしまして」
緊張で声が裏返ってしまった……
昨日、見た時の印象と違いこのビルのオーナーだと思うと野口さんの凄さが際立つ...
「いえいえ、ではご案内します」
そう言った野口さんは突き当たりの会議室と書かれてある部屋のドアを開いた。
「どうぞお入りください」
「は、は、はい」
「ではそちらにお座りください」
「し、失礼します…」
会議室は広く円形を描くようにテーブルが置いてあり
俺が座ると真向かいに野口さんも座った。
「さっそく本題だけどデビューという方向で進めたいんだけどいいかな??」
「はい もちろんです」
「ありがとう!!じゃあ早速話をするが、デビューまでの流れだが一か月後アーバンレコードのアーティスト数組でドームを借りてうちのフェスをするんだけど…佐伯くんにはそのライブをデビューとして参加してもらう。」
「ど、ドームですか??!」
ドームのライブといえば5万人以上入れる施設だ。
今までの箱と言われる会場でやっていたのと訳が違いすぎる。
「うん!普通はそんなデビューの仕方はしないのだが、佐伯くん!君は人々を感動させる歌声と歌詞がある!だからその歌声でうちのフェスを盛り上げたい!」
嬉しい言葉だ。
大手会社の人にそんな言葉をもらえるなんて。
「ただ一つ条件を聞いてもらいたい!!一組のアーティストの待ち時間は30分ほどだ。MCを入れても曲は最低でも5曲は必要になる!!
で、昨日ライブで聴いた曲最初の4曲は良いんだが他の曲は何も感じられなかった。」
「は、はい」
この社長!!本物だ...
最初の4曲は君がいたときに作った曲だ。
だから思いを込めて歌えるし妥協がなく作れた曲だ
ただ他の曲に関しては…
君の存在が無くなり喪失感で詞と曲が浮かばなくなってしまって
無理矢理に詞と曲をくっつけて作った
まるでジグソーパズルのピースが合わず絵が完成しないかのような未完成な曲だ。
「そこで、一カ月後のデビューまでに新しい曲をつくってほしい…!!!」
「えっ?い、一か月ですか??」
「あぁ...ジャンルはなんでもいいが...一ヶ月後、ここで新曲を聴かせてもらう。それで、他の4曲のようにグッと来るものがなければ違うアーティストに差し替えて今回、悪いが佐伯君にはデビューの話を降りてもらう!!」
「は、はい」
「どうかな?改めて内容を説明したんだが」
じ、自信がない……
今の状態で歌を作れるわけが……
(みつる!?私就職して忙しくても、デビュー決まったら最初のライブは絶対行くからね??この目でみつるのかっこいい姿の初舞台見届けたいの!)
そうだ!!
あの時君はそんな事言ってくれたね…
見てくれるかわからない…でも君との夢を叶えたい!!
よしっ!やるぞ!!やってみせる!!!
「……佐伯くん??」
「あ、すいません!!」
「急にボーッとしてどうしたんだい??」
「いえ!!やります!!やらせてください!」
「そうか!!じゃあ期待してるからな!?頼んだぞ!!」
と、笑顔で野口さんは、言ってくれた。
正直、期待というプレッシャーに負けそうだが
大手会社の社長に言われるのはすごい自信になる
絶対に完璧な曲を作ってやる
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ビルを出た俺は高ぶる感情の中
ヨシトに電話をかけた。
(プルルルル)
(ガチャッ)
「みつるさん!!!!!待ってました!!どうでした??」
ヨシトの電話の声が
すごく声のトーンが高く興奮が伝わってくる。
喜んでくれてるんだな。
「とりあえず条件付きで一ヶ月後のドームのライブでデビューって言われた」
「ドーム???一か月後?とゆうのはあっ!?あぁー!!もしかしてアーバンフェスですか??」
「よく知ってんな??アーバンのアーティストがいっぱい出るらしい...」
「す、すごい!!!すごいっすよ!!あの大物アーティスト達と肩並べられるなんて??でも条件ってなんすか??」
「野口さんが納得できる曲を一曲作るとゆう条件だ」
「みつるさんならできますよ!!みつるさんのが書く曲俺、ほんとうに感動できてすごい歌だと思ってるし俺にはあんな良い歌書けないので、尊敬してるくらいすよ!!自信持ってください!!」
アマチュアだけど俺より人気のミステリアスのヨシトに言われるのはすごく泣きそうになるくらい嬉しい言葉だ…。
「あ、ありがとうっっ!!……………そこでヨシト??相談なんだけどな……?」
「えっ??みつるさんが相談なんて珍しいですね……なんか嬉しいです!全然聞きます!話してみてください。」
そう、俺は昔から人に相談はあまりしない性格でいつも自己解決するタイプの性格だ…
だからあいつとの事は俺とあいつ以外誰も知らない話だ……!!
だが、今回はそうもいかない...
そう思いながら俺は、少し緊張しながら語った。
「曲作りなんだけど…最近納得いく歌詞と曲が作れなくて…ヨシトにはそうゆう時ないか?」
「もちろんありますよ!!?悩んだりした時とかは特に...」
「だよなぁ...そうゆう時はどうしてる??」
「んーーっ?まず、その悩みを解決してそれでもできない時もありますけど…自分が納得いくまで解決するようにしますね?そしたら結構気持ち楽になって自然と作れるようになったりします!!」
「悩みを解決か………。」
君と連絡取れなくなり何度も解決しようと思った。
電話番号は変わってるしメールも送信エラーで返ってくる…
新しい家の住所も後から送るとゆう話だったから知らない…
あいつの実家にも行ったが何故か引っ越していてどうすることもできなかった。
「みつるさん!?なに悩んでるんですか??こんないいチャンスもらってるのに……うらやましいくらいなんすよ??」
「ご、ごめん……」
「みつるさんあまり悩みとか言わないの知ってるから深くは聞かないですが…もし悩みがあって曲書けないのなら解決するよう動いて
早く良い曲作って絶対デビューしてくださいよ!!ほんとに応援してるんですよ?」
お前はほんとに……
良い奴だ…。
「そ、そうだな!ありがとう!」
「またなんかあれば聞くんで教えてくださいね?」
「わかったありがとう………また連絡する」
(ガチャッ ツーっツーっツーっ)
よし!!今のままでは曲は作れないでもなにをしたらいい??
このまま動かないのは……そうだ!!
あいつがいる沖縄に行ってよう!!
俺はすぐに沖縄までのチケットを取り
ハードケースに入れたギターを担ぎ
飛行機に乗り君のいる沖縄へと飛び立ち到着した。
着いたっっ!!
さすが沖縄!!暑いな??
君がいる場所だと思うと余計に心も暖かくなる…。
また君と一緒になれるのならもちろん幸せだ!
でも一番は何故連絡が途絶えたのか?最悪の結末の可能性もあるが…。
今までそれをはっきりしたかったが結末を知りたくなくてできなかった。
でも今回で決着をつける!!!
ただ、来たのはいいけど………
なんの情報もないしどうしたらいいんだ…?
とりあえず歌詞も書かないといけないし
おっあそこに喫茶店がある!!
行ってみよう...
と、空港から見渡せる場所にある
喫茶店へ入った。
(カランカラン)
喫茶店ドアは開けるとベルが鳴った。
中はモダンな木目調で昭和なレトロ感を感じさせるゆったりできそうな喫茶店だった。
「いらっしゃいませー!!こちらの席へどうぞ」
明るくハキハキした若い女性の店員さんがすぐに出来て来て
席へと案内された
なんだかいい感じのクラッシックの音楽も流れてて
すごいスイーツの甘い匂いが漂っている!!来て正解だったな…!
「え〜っとアイスミルクティーを一つ!!」
「はいかしこまりました、お待ち下さいませ。」
よし!とりあえず時間もないし歌詞を書きながら君と会える方法も考えてみよう
そしてノートとペンをギターケースのカバンから取り出し
歌詞を書き始めた。
今回は恋愛をテーマにしよう。
【ねえ??君は今どこでなにをしていますか??.........元気に.....】
"ピタッ"とペンが止まり無意識に頭を抑えた。
あ〜...これじゃ手紙だよ...!!
だめだ……やっぱ出てこない………
今の俺に本当に書けるのか?
と頭が真っ白になっていた時
氷がコップに当たる"カラカラ"という音と足音が近づいて来た。
「お待たせしましたーアイスミルクティーです」
「あ、ありがとうございます。」
とりあえず落ち着かせるためにも飲もう…
(ゴクッゴクッゴクッ)
ん??なんだ??この味?!すごく懐かしい……
どっかで飲んだ覚えが…………
…………………………………………………………………………………………
あれは数年前...
「アイスミルクティーを、一つ」
「えっ!?またみつるアイスミルクティー??」
「なんだよ?だめかよ???」
「いやほんとに好きなんだなーって!」
「しょうがないだろ!?ミルクティー好きなんだからさ??」
「お隣のお客様ご注文は??」
「えっと………………あ、アイスミルクティーで!!」
「あははっ!!結局同じじゃん??」
「私も好きなんだもーん!!」
……………………………………………………………………………………………
ほっぺを膨らまし好きなんだもんって言いながら照れてた君の顔可愛いかったな………
そうかあの時のミルクティーの味に似てるんだ…………
すごく懐かしい………
【あの時の情景が目に写る アイスミルクティーのように君との甘い日々。 】
よしとりあえずなんとか書けそうだ
「あれ?お兄さんもしかしてバンドマン??」
隣の席から聞き覚えのない女性の声がした。
振り向くと黒髪のショートで
清純な見た目で物腰柔らかい声で高校生くらいの女の子がいた。
「えっ?は、はい!よくわかりましたね?」
誰に似てるな??
芸能人の………誰だっけ??
「だってそこにギターがあるしノートに歌詞みたいの書いてるから」
「あっ確かに!!はははっ」
「どこかで活動されてるんですか!?」
「まぁ、ライブとか出てますけど全然たいした事ないですよ?」
「あっそうなんですね?私の友達もバンドマンと付き合ってて色々話聞いてたんですよ!!」
「へぇーそうなんですね?バンドマンの彼女なら大変だったんじゃないですか?」
君を音楽で傷付けたことあったしな...
「あ〜っ!!楽器やライブにお金掛けるからお金があまりなくて旅行の約束してたけど出来なかったって言ってましたね!」
(グサっ!!)
うっ胸にナイフ突き刺さったぐらいの痛みが………
そうだあの時
……………………………………………………………………………………………
「ねえみつる?ラブホで泊まるんじゃなくてたまにはどっか遠くに旅行でも行こうよ?!」
「旅行かぁ〜っ?行きたいよなー!?でもさ?ライブにも金かかるからな?今はスタートしたばかりだし別な物に金掛けてられないからさ?いつか必ず行こうな??」
「もーう!!いつもそれじゃん??私がいつかって言葉嫌いなの知ってるじゃん??もう知らない!!」
…………………………………………………………………………………………
あの時君は拗ねてしまって大変だったんだよなぁ...
たしかに俺もあの時は若かったし配慮ないこと言ってしまったのはあるが…
「そ、そうなんですねーっ?!はははっ」
「はい!!でもすごく優しくていい人だったって言ってました」
「はははっ…………」
「あっいっけない!?待ち合わせあるんだった!!急に話してすいませんでした。」
「いえいえ」
「それじゃあ……」
そう言い急ぎ足で喫茶店を出て行く女性
なんか色々思い出してしまった……
今思えば本当に酷いこと言ってしまったなあの時…
【傷つけた君に何度も言ったごめんね...】
歌詞の繋がり方微妙だな...
まぁ後から書き直し入れよう
とりあえず一番はできた!!
(ブー、ブー、ブー)
ポケット入ったマナーモードのスマホが作動した。
見ると野口さんからの着信だった。
「はいもしもし」
「あっ佐伯くん??どうだい曲作りは??」
「え〜と、い、今のとこは順調です」
ほんとは順調じゃないが…
曲もできてないし...
「そうかそうか!!はははっ!期待してるからね?」
「は、はい」
「とりあえずそれだけ!じゃあまた!」
「は、はいお疲れ様です。」
(ツーツーツー)
自分でハードル上げてしまった...
めちゃくちゃプレッシャーだよ!!
なんとかして進めないと………。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あれから沖縄に来て10日経った
ライブまで残り20日
日にちが経つ度に焦ってゆく………
納得できる歌詞や曲もできないし……
君の事も何一つわからないままだ…
そうだ!!?またあの喫茶店行ってみよう!!
あの場所は落ち着いて書けるし
色々浮んできそうだし
……………………………………………………………………………………………
(カランカラン)
「いらっしゃいませーあちらの席へどうぞ!!」
「アイスミルクティー一つで!!」
「はいかしこまりましたぁ!!」
はぁ〜やっぱりここは居心地良いな〜っ!!
かかっている音楽といい
雰囲気といいすごい落ち着ける……
そういえば腹減ったな…
朝から何も食べてなかったんだ!!
「お待たせいたしました!!アイスミルクティーです」
「あっすいません…なんか食べるものってありますか?」
「はい!ございますよーっ」
「おすすめはありますか??」
「うちのオリジナルナポリタンはいかがですか??」
「あっそれでお願いします。」
「はーいかしこまりましたぁ」
ナポリタンか...懐かしいなぁそういえばあの時…
…………………………………………………………………………………………
(ピンポーン)
だれだ!?こんな朝早くに??
「はーい」
(ガチャッ)
ドアを開けると君が笑顔で立っていた。
「みつるーっ誕生日おめでとう!来ちゃった!!」
「あれ??今日夕方、駅で待ち合わせじゃなかった??」
「予定へんこーう!!今日はみつるの家で私が料理作りまーす」
な、なんだ?!!すごい可愛い……
抱きしめたくなっ……
あの時俺はあまりのときめきに無意識に君を抱きしめた。
そしたら君は顔赤く染めて....
「ちょ、ちょっとー!?こんな玄関でしなくても??人に見られたらどうすんの??」
「あ、ご、ごめん身体が勝手に...」
「ふふふっ...とりあえず部屋入れて?」
照れてるのにニコッと笑ってたっけ??
「あ、あぁ入って」
部屋に入りソファーに腰掛けるととなりに君も座ったんだよな。
「よっし!!じゃあなにしよっか??」
「えっ?いや、急だからなにも考えてないよ??」
「じゃあ私の事を抱いて???」
「はい??急にどうしたんだよ??そんなキャラじゃないだろう??」
「なーんてね?」
冗談を言って舌を少しだしてテヘッとする顔
ほんと好きだった。
「DVD借りてきたの!!」
「なんのDVD??」
「みつるが見たいって言ってたポカットモンモンの新作」
「あっ今日からレンタル開始かぁ!?ありがとう!!」
「ううん!じゃあみよっか!!」
君は甘えん坊だから
DVD見るときはいつもくっついてきたっけ?
「あーっ面白かったねー?」
「やっぱポカモンは最高だよ!」
「あっ!!もうこんな時間!!お昼にしよーう
今日はなーんとみつるが好きなナポリタンです!」
「やったー!!」
君は料理に自信ないとゆうが
君の料理はなに食べても美味しかったがその中でもナポリタンは一番好きだった…
「できましたーっっ!!」
オレンジ色に染まるパスタ麺で色とりどりの野菜があり甘酸っぱいケチャップのいい香りしてよだれが出るほど食欲がそそったな!!
「おいしそう!!いただきまーす」
「どうかな?!」
「おいしーーい」
「よかったぁ〜っっ」
…………………………………………………………………………………………
あれは今まで食べたどのナポリタンよりも美味しかった……
「お待たせいたしましたぁ。ナポリタンでーす。」
「お!うまそーっ」
(パクッ)
うまい!!
そうだ歌詞に作ってくれた料理を例えて書くのもありだな
(パクッパクッもぐもぐ)
うまかったーー!!
よし忘れないうちに歌詞を書こう!
【夕焼け色に染まる君とつながる長い糸...】
んー??まぁとりあえず入れてあとは曲作った後だな
とりあえずだけど二番もできた!!
よしなかなか早いぞ!!
「あ!!あれ?あの時の!!お兄さん!」
振り向くと10日前に喫茶店で会った女の子だった。
「あぁーどうも!!」
「よく会いますね!また曲作りですか??」
「そうなんですよ…次のライブまでに仕上げないといけないなくて……」
「大変ですねー...でも曲作りって難しいんじゃないですか??」
「そうなんですよーっっ焦るとなおさらね...」
...なんだろー??
「やっぱなんでもそうですよね 私も焦ったらダメなタイプです。」
「はははっ!僕も同じですよ」
なんだろー?この気持ち??
なんか懐かしい感じ
久々にこんなに女の人と喋ったからか??
「嫌になっちゃいますよね……」
「ほんとですよ!!ちなみに??悩んだりした時はどうやっで解決するんですか??」
「えー??う〜ん私は映画みたり誰かに話しを聞いてもらって発散するタイプですね」
「え??」
あの時……君が……
.............………
「ねえみつる??」
「なに??」
「悩んでる時どうする?」
「悩んでる時??んー俺は歌を大声で歌うのがストレス発散かな??」
「そっか...」
「どうした??なんか悩んでるの??」
「就職でね、行き詰っててね」
「ちなみに逆に悩んでる時はどうするの??」
「私は……映画観に行ったり、人に話して愚痴ると発散できるかな??」
「じゃあ今から映画観に行ってそのあとドライブしながら話をしようよ」
「え?!やったぁ〜ほんとみつるのそうゆうとこ好きだな!!」
…………................
君が言った言葉と同じだ……………
なんだか切ない気持ちになる……
「はい!!映画はいいですよ??
集中できるしあの大音量で考える暇もなく辛い事なんて忘れられます」
「それはいいですね?!!ありがとうございます参考になりました。」
「いえいえ あっ!!私いきますね??
私よくここに来るんでまた会った時はよろしくです。」
「あっ!!こちらこそ!!」
なんだかあの子と話すと落ち着くなぁ
好きとかじゃないんだけど
居心地の良い感じ?
そうだ!!久々に映画観に行ってみるかな??
あっ!!ポカットモンモンの新作やってるんだ!!
「すいません会計お願いします」
「はーい 1280円になりまーす」
「はい!!ちなみにこの辺映画館ってありますかね??」
「映画館ですか??えーっとここから車で15分くらい行ったところのショッピングモールの中の一番上の階にありますね」
「ありがとうございます」
「いえいえ では720円のお返しになります
ありがとうございました」
(カランカラン)
喫茶店を後にした俺は
タクシーに乗り込み言われたショッピングモールへ向かった。
すごい混んでるな……
あっ今日日曜日か!!?
「すいませんポカットモンモン大人一枚で」
「はい1500円になります」
「はい1500円」
「ちょうどお預かりいたします 今日混み合ってるので指定席になりますcー3番です」
よし!!久々だ!
館内に入りキョロキョロと席を探すと
ちょうど前から三列目の真ん中の席だった。
席に座ると両隣には家族連れの親子で
全体的に見るとカップルも多く懐かしさを感じていた。
よく君と見に来たな...
ポカットモンモンは君と離れてから三回目の新作になる
思い出してしまうから見なかったが
なんでもかんでも君に繋げるのはダメだな!
そういえば君はポカットモンモンの豚の姿のキャラのビーブーが好きだったな!
いつかの君の誕生日もビーブーのでかい人形プレゼントしたっけ?
……………………………………………………
「誕生日おめでとう!!」
「え??」
「ほら?0時!!」
「ほんとだ!!!」
「ほらプレゼント!」
「え??なーに??大きい袋!!あけていい??」
「いいよ開けてみて」
「きゃぁーーー!!ビーブの人形だぁ!!嬉しいーっっ」
「毎回ビーブビーブ言ってるからな?身に付けるものがいいかな??って思ったんだけど、今回はビーブ人形にしてみた」
「みつるーっありがとう」
(ぎゅーーーーーっ)
目をウルウルしながら抱きしめてくる君
すごい喜んでるのが伝わって来た
感情豊かな君の嬉しそうな喜ぶ姿を見るのが好きだった。
できれば新作も映画館で君と一緒にみたかったよ……
おっ始まった!!
ほんと懐かしい…
三年間ポカモンから離れてたが
やはり面白い!!!
確かに集中できるし
その間は忘れられそうだ………………
(本日は誠にありがとうございました 忘れ物などないよう おかえりください)
場内アナウンス流れゾロゾロと出てゆく人混みの流れに沿い映画館を離れた。
あっとゆうまだった
楽しかったな……
(ブー、ブー、ブー)
ポケットに入ってるスマホのバイブレーションが鳴った
取り出すとヨシトから電話だった。
「はい!」
「みつるさん??どこにいるんすか???家行ってもずっといないから心配しましたよ??」
「あっごめん??今沖縄にいるんだ!!」
「えー??急にどうしてまた??」
「発散だよ!?歌詞書くために!!」
「おっやる気満々すね!!その調子です」
「ヨシトに励まされた分がんばらなきゃな!!」
「みつるさんその勢いです じゃあ沖縄楽しんでください」
「ありがとうね!」
(ツーツーツー)
よし!ホテルに戻るか!!!!
今日はすごい充実した1日だった
あれから仕事やライブ以外は憂鬱だったからな
休日の過ごし方忘れてたな...
久々に良い休みだった。
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今日で沖縄滞在20日になる!!あとライブ残り10日。
詞と曲も大分できてきた。
ここに入れるのも戻って野口さんに曲を聞いてもらうのと用意含めてるとタイムリミットは後8日だ。
あれから君の居そうな場所を回ったが
情報もわからないまま探すなんて無茶だった。
やっぱなにもわからないで行くのは厳しかったと思う。
だが、君がいる場所へ来て色々思い出させてくれた。
今までは君が、君を、と言い訳づけて俺の中の時間は止まっていた。
それを理由に夢も中途半端になっていた。
それは君にも悪いしこんな俺を見せたくない。
最初に決着をつけようと思ってここに来たんだ。
だから俺は......君を........
(プルルル)
その時着信音が鳴った。
野口さんからだった。
「はいもしもし」
「佐伯くんどうだい??曲の方は??」
「もうすぐ完成できそうです!!」
「いいね!じゃあ10日後は本番だからその前日に聴かせてくれ!」
「はい!わかりました」
「じゃあ曲楽しみにしてるからな!」
(ツーツーツー)
曲はできてきているのは間違えない。
でも何かが足りない...
やはり今の俺ではうまく作れないのか…??
いやだめだ!!
なんとしてもデビューするんだ!!
さ、さいごに君と思い描いた夢を叶えるために!!
でも8日か...
できるのか?今の俺に……?
くそ……っ
そうだ!!あの喫茶店にでもいくか…
…………………………………………………………………………………………
俺は三度目となる喫茶店へ足を運んだ。
(カランカラン)
「いらっしゃいませー!!あ!お久しぶりです!!あちらの席へどうぞ」
お!店員さんおぼえてくれてる?!
まぁ確かにいつも頭抱えながら居座ってるからな...
「アイスミルクティーで」
「はいかしこまりました。」
やっぱここ居心地いいよなぁ〜!!
そう思いながら辺り全体を見渡すと奥の席に視線を向けると
いつものあの子がいた。
ん??
俯きながら悲しそうな表情をしているのが目に入った。
俺は、居ても立っても居られず女の子がいる席に近づき声をかけた。
「なんかあったんですか??」
「あっ、お兄さん……………」
声は力がなく顔を見ると
どんよりとしていて暗くいつものように笑顔がなかった。
「あっ、話しかけてごめんなさい。」
「いえ……………あっ!お兄さん!!頼みがあるんですけど」
「ん??頼みですか?!」
「実は…………姉、ギターの音色好きで姉の前でギターを弾いて欲しいんです!!」
「え??お姉さん??」
「はい、急ですごい失礼だと思うんですが…」
この子には色々助けてもらったしな
この子のおかげで書けた歌詞もあるからな。
「いや……俺で良ければ全然いいですよ??」
「ほんとですか!!?」
「はい!!」
「ありがとうございます………じゃあついてきてください…」
…………………………………………………
二人タクシーに乗り込み女の子は住所を言った。
タクシー内では女の子は俯き無言が続き
声をかけようにもかけられず気まずい時間が流れたまま
やがて住宅街に入っていくのが見えた。
もうすぐこの子の家かな?
勢いで受け入れたが...
なにがあったんだろう??
いつも笑顔の子があんなに辛そうな顔するなんて。
様々な感情の中タクシーは住宅街を抜け
やがて大きな建物が近づいているのがわかった。
「ここなんですが……」
住宅街を通り抜け着いた場所は病院だった。
「びょ、病院??」
「はい...実は....姉入院してるんです」
「あっ、そ、そうなんですね??……」
「すいません 病院になんて来てもらって不謹慎ですよね??」
入院中に初対面の変な男が入るのって...
でもこの子がこんな辛い顔しているし...
よし!!
「いや大丈夫だよ!」
「ありがとうございます。ではすみませんけど病室まで着いてきてください。」
病院に入るとすぐそばの階段を女の子に続いて2階まで上る
二階長い廊下をしばらく歩くと奥に210号室と書かれた部屋が見えた。
「ここです。」
「あ、あの??俺なんかが行ってほんと大丈夫なんですか??」
「私たちの家族や周りはギター弾けないですし
姉は本当にギターの音が好きなんですお兄さんなら優しいしきっと姉も悪い気しないですよ」
「そ、そっか……そう言ってくれるなら」
「じゃあ入ってください」
(ガラーッ)
病室を開けると
一人部屋でカーテンが閉まっていてその奥に微かにベッドで人が横になっているのが見える。
「お姉ちゃん来たよ!!」
(シャーーーーッ)
女の子がカーテンを開けると女性が横たわっているのがはっきりと見えた
「お姉ちゃんギター弾ける人連れてきたよ?お姉ちゃんギター好きでしょ??」
「…………………」
女の子が問いかけるも反応がない。
「お姉ちゃんギター好きなの知ってるからいつもCDで聴かせてたけど生演奏の方がいいと思ってね??」
「……………………………」
「ごめんなさい実は、うちのお姉ちゃんずっと意識不明な状態で……」
「うっ………………」
「え?………あっごめんなさいやっぱりこんな状態なのにギター弾けなんて失礼ですよね?」
「っ…………」
「え?なんていいました??」
病室出て210号室の部屋番号の下の名前の欄を見ると
それは……………………
俺が探していた
君の名前だった…………。
「どうしたんですか??」
「うそだ!!うそだ!うそだぁ〜!!!、、、う、、、うっうぅ〜」
まさかの真実を知り
今まで我慢していた涙がボロボロとこぼれ落ちた。
正直、他の男が出来てて
もし奇跡的に出会えても……
振られるんだろうと思ってた
悲しいけどそれをはっきりしたくて俺はこの場所に来た……
なのに俺は....俺は...
「えっ??大丈夫ですか??落ち着いてください」
「うっうっうぅ〜...ご、、ごめ……っん」
困った顔をする女の子の前で止まらずボロボロとこぼれ落ちる涙と涙声が病室内に響いた時病室に入る人影が現れた。
「あらぁ〜ミミ来てたの???えっ???!みつる?!!!」
見覚えがある顔だった。
そう小さい時から知る君のお母さんだ。
「お、お、おばさん、、、??お、ひっっ、ざしぶりです」
「えっ??えっ??えっ??どうゆうこと?」
「みつる落ち着きなさい」
そう言いながら君のお母さんは俺の背中を指すってくれた。
そうだ昔から面倒見の良いおばさんだったよね。
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少し時間が経ち落ち着いたのを見て君のおばさんは話し始めた。
「大分落ち着いたわね?」
「す、すいません」
「ねえ??みつるさん??とお姉ちゃんって??」
女の子は君の妹で名前はみみというのがわかった。
みみちゃんはまだ何が起きたかわからない様子だ
「みつるはね……この子の彼氏なの!!」
「えっ!?えぇー!?」
みみちゃんは驚き漫画のように口を隠していた。
「じゃあみつる?とりあえず何があったか話すね」
そう言い君のお母さんは笑顔が消え真剣な表情をし口を開いた。
「んーっとね?三年前……あの子はほらっ就職したじゃない??」
「はい……」
「就職した一ヶ月後くらいにね??会社行く途中にひき逃げにあったの…」
「………」
就職で頑張っていた君を知っている俺は
真相を知りとっさに俯いていた。
「でね??病院に運ばれたんだけど意識不明の状態でね?結局今も意識戻らないままなの…」
「…………………そうだったんですね」
「あのあと私も病院から電話が入ってすぐに沖縄に来てあの子のそばに居たいと思ったからねそのまま沖縄に住むことにしたの…」
「………………」
そうゆうことだったのか…
「一応みつると付き合ってるの知ってたから事故の事手紙で送ったのよ??だけど返ってきたの…!!だから引っ越したのかなってね??」
「……あ!そうでした!引っ越しました。」
そうだあの部屋にいたら君との思い出が強いから
辛いからそこを離れようと思って引っ越したんだ。
「やっぱり!?電話できればよかったんだけど事故の時にあの子の携帯も壊れちゃってね私はみつるの番号知らなかったからね、ごめんなさいね」
「………いえいえ謝らないでくださいよ?お母さんも辛かったでしょうから」
「ほんとみつるは昔から優しい子だな....!!そういえばみみのこと知らなかったでしょ?」
「は、はい…」
「家ね、早くに離婚してるんだけど私はあの子で主人はミミの事を引き取る事になったのよ!!でも主人にあの子の事伝えたら主人もこっちに来てくれてね一緒にあの子の事見てるのよ」
だからか!!
みみちゃんの
誰かに似てる顔
懐かしいあの雰囲気
居心地の良い空間
姉妹なら似るわけだよな…!!
「ミミちゃん??がいてくれてよかったですよこっちにきた理由も会えるかな?って思って来たんですから!」
「みつる………もう他の子と付き合ってるのかと思ってたよ…」
「あいつを忘れられませんでした…」
「んーでも母としてはすごく嬉しいんだけど複雑だわ……あなたにも将来があるわけでしょ??」
「いえ...決めました……!!俺…意識戻るの待ちます!!」
「でもね…??いつ意識が戻るかわからないし、お医者さんの話では例え意識戻っても障害が残る可能性があるって話なのよ」
「俺は3年経った今も忘れられなかったですから!!あいつとずっと一緒にいるつもりです。」
「みつるはほんとに……涙でるわ...うぅ...うちの子と付き合ってくれてありがとうねあの子もきっとよろこぶわ!!
あっ!!そうだみみ!病室からあれもってきて」
「あれ??あっ!!あぁ〜!!取ってくるーっ」
一瞬みみちゃんはニヤっと笑顔見せた。
そして急ぎ足で病室に入って行った。
「ミミもねお姉ちゃんと離れ離れだったけど..すごいお姉ちゃん子でね……あの子があんな状態だから…時より悲しい顔をするのよ…
どうしたら意識戻るのか??ってね」
なるほど……
だから喫茶店で悲しそうな顔をして…
ギターを弾いてって言ってきたんだ…
「はぁはぁ...持って来たよー!!」
呼吸を乱しながら急ぎ足で戻って来てミミちゃんが持っていた物は
ギターのハードケースだ!
「みつる開けてごらんなさい!」
「は、はい」
(カチャっ)
中を見るとまるで天使のような真っ白なレスポールのギターだ
俺が昔から憧れていたギターだ。
「あの子ね就職して初めての給料であなたのためにギターを買ってたの!!誕生日近いからってね」
「……………っ」
再び我慢していた涙がこぼれ落ちた。
「みつる!!これで音楽がんばりなさい!」
「うぐっうっうぅ〜っは、はい!!あっ!そうだ!!これ渡してください ペンあります?」
「ごめん!!私持ってきてないわ...ミミは??」
「持ってるよぅ〜は〜い!!」
みみちゃんが差し出したペンを受け取り
カバンに入っていたアーバンフェス最前列チケットを取り出し
チケットに自分のサインを書く
「これあいつに渡してください!!」
「え???これって??アーバンフェスのチケットじゃない??まさか…みつる??でるの??」
まだ決まったわけじゃないが...
再開し目の前にいる君の夢を俺は叶える。
かならずデビューしてみせる
「はい!!デビューが決まりまして...まだ確定じゃないですが……あいつはいけないと思いますけど………約束だったので」
「えーー!みつるさん!!すごーい」
とみみちゃんは拍手をし嬉しそうな顔した。
ほんとこの子は仕草や言葉遣いあいつに似てるよ。
「みつるー!!あんた!!あの子との約束果たせたのね!?」
なんだか懐かしい感じだ
親元から離れて結構経つが
実母のように喜んでくれている
「あっ知ってたんですか??」
「あの子はみつるが大好きだからねなんでも私に話して来たわ」
ミミちゃん前にお姉ちゃんのバンドマンの彼氏がお金ないって言ってたが...それ俺かいっ!!
ははっ!あははっ!!
謎は全て解けた...
「そ、そうなんですね!はははっ」
「いけなくてもあの子絶対喜ぶわ!!」
ほんとによかった!!沖縄に来て!
そうして俺は君からもらったギターを受け継ぎ
看護婦さんに頼み少しだけならとの約束で病室でギターを弾いた。
その時君の顔は一瞬笑ったような気がした。
………………………………………………………………………………………
日にちが経ち今日で東京へ戻る日だ。
あれから毎日病院へ通い
君に話をしてる
ちょっとの間お別れだね??
「絶対デビューするからな…?遠いかもしれないが……思いは届けるから見ててくれよ??」
「………………」
もちろん返答はない
でも聞こえてるんじゃないかって俺は思っている。
どんな形だとしても聞いてくれるただそれだけで幸せだよ。
「じゃあ行ってくる!」
そう言い俺は君の手を握った。
ほんの少しだが握り返してくれたように感じた。
よし!!行くぞ!!!
君と再開してモヤモヤがなくなったせいか
納得のできる歌ができた!!
---------
東京へ帰って来た俺はすぐにアーバンビルの野口さんの元へ行き
出来た新曲を披露した。
「うん!!やはり俺の見る目には間違いはなかった!!さすがだよ!!佐伯くん」
「ありがとうございます!」
「佐伯くん明日のフェスでデビュー決定だ!」
「や、やった!!!」
やったよ...
君に届けられるよ。
「よしじゃあこれからアーバンのアーティストとしてよろしく頼むぞ!!」
「は、はい!!よろしくお願いします。」
夜になりヨシトやミミちゃん、あいつのお母さんに電話した。
ヨシトは泣いて喜んでくれた。
ミミちゃんやおばさん自分の家族の事かのように喜んでくれた。
そして野口さんに頼んでライブ中電話越しだけど君に聞かせてあげられるようにしてもらった。
どうせなら君には生で聞いてもらいたかった。
でも再度出会えた奇跡を感謝しないとね…
明日は久々に気持ちを込めて歌えそうだよ??電話越しかもしれないが…ちゃんと届いてくれたらいいな…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そしてライブ当日の日
「佐伯充さん楽屋入りまーす」
「お疲れ様でーす」
今までのところと比べられないほど数えきれないほどのスタッフがいて
スタッフが俺に気づく度に挨拶をしてくれる。
それだけでも実感が湧く…
そしてたまにすれ違うテレビに出ているアーティストを生で見て緊張感が増す。
大丈夫なのか?こんなすごい人たちに混ざって...
「佐伯さんこちらが楽屋です」
「は、はい!!ありがとうございます」
(ガチャ)
ドアを開け楽屋を見渡すとテレビでよく見るような楽屋で
端にはメイクできる鏡台があり
中心には畳で長テーブルと椅子が置かれている。
ライブハウスの時はこんなしっかりした楽屋なんてないし
相部屋だし倉庫みたいな楽屋で出番まで待機だったからな………
すごいなプロは...
(トントン ガチャ)
元気なノックをし誰かが楽屋に入ってきた。
「おはよう佐伯くん!!」
入って来たのはニコニコとした野口さんだった。
「おはようございます」
「どうだい??調子は?」
「だ、大分緊張してます」
「わはっはっは!!そうかそうか??期待の新人とのことで出してるからな??初の舞台しくじるなよ??」
と野口さんはわははと高笑いすし
いつものようにプレッシャーをかけてくる。
「が、がんばります!!」
(バシッ!!)
ド緊張している俺の姿を見て
野口さんは強めに背中を叩く。
「よし応援してるからな!!頼むぞ??」
「はい!!!」
(バタン)
そう言い野口さんは俺のいる楽屋を後にした。
背中を叩かれて少し痛かったが
少し気が楽になった!!
よしライブはもう始まってるみたいだし準備しないと
ワックスワックスっと
(ドクっドクっドクっドクっ)
出番が近づいているにつれ緊張し心臓が耳の近くにあるのかとゆうくらい聞こえる
「佐伯さーんまもなく本番です!!」
「は、は、は、はひ!」
緊張で声が裏返ってしまった。
気持ち入れ替えないと...
「では.ステージへ案内しまーす」
「は、ひ」
だめだ……このままじゃ
んーと緊張をほぐすのは
えーっと
ひっひっふーひっひっふー
ってちがーうそれ出産っ!!!
なにしてんだ俺は…
一人ツッコミしてる余裕はあるんだな…
よしいつもしてるライブのように考えればいいんだ!!
そうだよ!規模は違くても何回もやってきてるんだ
と、思いながら廊下を渡りステージ裏まで連れられる。
「佐伯さんここで待機でお願いします。アナウンスが流れるんで佐伯さんの名前を呼ばれたらステージに出るようにお願いします」
「は、はい!!」
とうとう来たか…この日が…
君がいなくなり
一時期憂鬱で何故音楽をやっているかわからなくなってた。
でも今は違う…
君にもまた巡り会えたし
音楽は昔からの俺と君の夢の為だったって今ならわかる!!
デビューで夢が終わるわけじゃないけど一つの目標として
君が喜べるライブにするんだ!!
「佐伯さーん本番はじまりまーす。」
「は、はい!!」
会場内にアナウンスが響き渡る
(アーバンレコード期待の新人!!佐伯充の出番だぁーーー!!)
アナウンスと同時にステージに出てステージ側から見える景色を目の当たりにする。
「きゃぁぁぁぁぁ!!」「うぉぉぉぉぉぉっ!!」
すごいっ!!やっぱりドームは全然ちがう……
お客さんの数も多いし迫力に飲み込まれそうだ……
マイクスタンドの前に立ち声を出す。
「皆さん初めまして佐伯充です!!」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
5万人規模のライブで歓声はあるけど本気じゃない...
きっと場に飲み込まれてるのもあるんだろう...
よしゃぁぁぁぁ!!だったら認めさせてやるよ!!
「本日アーバンレコードからデビューする事になりました!!
デビューして初めてがドームなんて贅沢すぎるかもしれませんが
絶対に皆さんに満足していただけるよう必死に歌います!!」
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
「では聞いてください虹色の羽!」
そして1、2、3、4曲が終わり
お客さん達の見る表情が変わっていった。
心に響きそれは新人としてではなくアーティスト佐伯充として
認めさせたようだった。
「では次が最後の曲です」
「えぇーー!!?」
すごい!!最初は目も向けてない人ばかりだったのに?
全員が一つになりもっと歌ってくれー!!って気持ちが伝わってくる......
なぁ...聞いてるか??
みんな俺を真剣に見ててくれている!!
いくぞ...最後の曲だ
君に伝えるよ??
この詩を通して...
「この曲は僕は恋愛とゆう道に迷ってましたが その道を正しく歩けるようになったときに書いた曲です 聞いてください」
「 〜LOVE〜 心から君へ送る詩」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
歌い終わりステージを後にした。
お客さん達は感動してくれたようで泣いていた人もいた。
嬉しい!!ほんとうに嬉しい!!
やったんだ俺は!!
.............
楽屋に戻ると
スマホを見るとミミちゃんからの着信が数十件来ていたのに気づいた……。
も、もしかして…君に...なんかあったのか???
と不安を感じ震えた手で通話ボタンを押した。
(プルルルプルルル)
「あっみつるさん??ちょっと会場の入り口来れる??」
「えっ!?みみちゃんきてくれたの??...わかった!今いくね」
不安を感じた俺は猛スピードで走り出した。
息を切れつつもスピードを緩める事なく会場の入り口まで走る…
限界を感じながらも入り口がやっと見えてきた。
入り口に近づくとそこには…………
ミミちゃんと………………
車椅子姿の君がいた。
「みつるーーーーーーー!!!」
懐かしい声
そう君の声だ…
君が俺に手を振ってくれている。
うそ!?……夢じゃないよな??
うっ、うっ、うっ、
ボロボロとこぼれ落ちる涙と共に
俺は無意識に君に向かって走り出した……。
そして君にたどり着いた
俺は強く抱きしめた…。
「い、い、意識戻ったんだな?」
「う、うん今朝戻ったの…先生に反対されたけどきちゃった」
抱きしめていると君の頬が当たり
君から流れ出た暖かい雫も伝わる。
君も泣いているんだね?
「そ、そ、そっかぁ よかった、、ううっ本当に…本当によかった…」
「ご、ごめんね ずっと心配させて」
「……いやいいんだ!!」
「ちゃ、ちゃんと見てたよ…… みつるの...みつるの...デビューライブ!!お、お互い…夢果たせたね?」
「あ、あぁ...」
「こ、これからはずっとい、一緒に...いるからね?みつるがfずっ、ずっと...ずっと...私の事を...待っててくれた.......ずーっと一緒だからね?」
「うぅ〜...ぜっ、…絶対だぞ…もうどこにも行かないでくれ…頼むから…」
「当たり前だよみつるが好きだもん」
君をいくら追いかけても届かず
三年の月日はやまない雨の嵐だった
今響く懐かしくてやわらかな声質。
その声から出る言葉はまるで幸せな気持ちになれるか魔法のような言葉だ。
好きって言葉が
すごく貴重な言葉だと今だとわかる。
もう絶対に離さない。
俺からも君へ届けるよ。
心から愛していると……。