7.役立たず
「すみませんでした」
「なんで謝ってんの」
会議を終えた昼過ぎ、私達は昼ご飯を食べるべく近くのレストランに来ていた。
全くの役立たずであったことをベルシュタイン室長に謝罪すると
「ウサギちゃんにそんなの要求してないでしょ」
とあっけらかんと答えた。
「じゃあ、私は今日なんのために連れてこられたのでしょうか」
「一人でごはん食べるの嫌だから」
「······は?」
「ごはん食べるのに連れてきた」
モグモグと目の前のトマトハンバーグとパンを食べながら何てことなく喋る。
「えっと、それなら先輩方のほうが良かったのでは?」
「ヤだよ!なんで男の顔見ながらごはん食べなきゃいけないの」
じゃあ、別に良かったのかな······と余り腑に落ちない顔をしてると、室長は人差し指でおでこを突っついてきた。
「そんな顔しないの」
「そんなってどんな······」
「泣きそうな顔してる」
泣きはしないが、そんな顔してたのか、私。
今度は手のひらを広げて頭を撫でられた。
口にフォークを突っ込んだまま、ひたすらナデナデしてくる室長になんとなく笑えてきて私は「えへへ」と声を出して笑った。
「ん。そう。君は笑ってたほうがいい」
未だフォークを口に入れたままの行儀の悪い室長に、何故か私は顔を赤らめた。
「やっぱりパンは君んちのやつのほうがうまいなあ」
「明日またお持ちしますよ」
「ん。楽しみにしてる」
二人で他愛もない話をしながらランチのハンバーグを食べ続けた。