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俺はこの世界の人族に逆襲をする  作者: 「たか:たか子」
2/2

転移から始まる逆襲劇2

あれから数時間が経った。

俺は今夏休み初日、いや、前日を堪能している。

エアコンの効いた部屋のベッドでゴロゴロしたり、漫画を読んだり、去年は余りできなかったことだ。

しかし、思い出そうともしていないのになぜか脳裏に数時間前とどいたメールが浮かび上がる。

はぁ、俺はため息をつくとスマホのメールボックスを見た。その時は迷惑メールにしか見えなかったがあれは迷惑メールにしては俺の名をフルネームで書いてあった。

俺のメールのニックネームはひらがなで、なぎさ、本名だが名字までは入れていない。漢字もだ。

俺の予測だとこれは誰か俺を知っているやつがいたずら半分でしたことか、新しい機能を有した迷惑メールくらいの所だろう。

俺は数時間前開けたメールをもう一度開ける。

すると内容が少し変わっていた。

数時間前までは無かった白紙の場所にスタートボタンが付いている。

これは触ってはいけないと思った瞬間・・・

「お兄ちゃん!お昼ご飯!」

急にドアが開き部屋に真奈美が入ってきた。

「真奈美、頼むから部屋に入るとき俺をどかさないでくれ!心臓に悪い。」

「うん!わかった。次からは気を付けるね!」

彼女は駆け足で昼ご飯が用意されたリビングへと階段を下りて行った。

やれ、もうそんな時間か。

俺は妹を追いかけリビングへと向かった。

「来たぞー。」

俺はドアを開けるとそこはお好み焼きの匂いが充満していた。

「お、お好み焼きか?」

お好み焼き。俺の大好物だ。人生で初めて食べた時からきっとそうだろう。

「そう、今日のお昼ご飯は渚君の好きなお好み焼き!私が作ったのよ!」

「本当か?」

俺は机の上に載ったホットプレートの中へ顔を覗き込む。そこには少女?の作った美しいお好み焼きが三枚焼かれていた。

少女?は料理ができない。いつも朝食は妹が昼食は当番制、夕食は帰宅部の俺がいつも作っている。だが、少女?の作ったお好み焼きだけはなぜだか今まで行ったお好み焼き店全てより遥かに、味が格別なのだ。が、しかし母は夜行性。なので少女?の作ったお好み焼きはめったに食べれないのだった。

「さ、食べましょ!」

少女?は自分専用の子供椅子に腰を掛けると二人の着席を待つ。

「うん!」

妹も席に着いた。

「いただきます!」

少女?はホットプレートからお好み焼きを真っ先に取ると細かく裂き口の中に入れる。

「うーん‼我ながらに美味しい!」

「そういえば、母さん。泊まる所はどこがいいか決まったか?」

俺は少女?の作ったお好み焼きを口にしながら聞いた。

「うん!」

少女?はそう言うとテーブルの上に置いてあるスマホを手に取った。

口をモグモグと動かせながら少女は自分の手に会わないスマホを両手で操作する。

「ここよ!ここ。」

彼女が突き付けてきたスマホの画面にはなんだか高そうな宿が移っている。

思った通りだ。一部屋一日八千円。こんな高額な宿に数日泊まるとなれば宿代だけで数万円は超えるだろう。そこに交通量三人分、食費、観光費、お見上げ代、その他諸々となると完全に十万円は超えてしまう。

「お金は大丈夫!私がいつかみんなと旅行するために貯金していたから!」

少女は?ニコニコと笑う。

「まあ、ならいいか。わかった宿はここしよう。後は・・・」

「準備だけね!明日、みんなで買い物に行かない?」

そう言ったのは少女?ではなく妹だった。


翌日、俺たちは旅行の買い物に出かけた。

スマホの迷惑メールは夕食を終えた後、スマホ内から完全に消した。それで完全に消えたかどうだかは知らないが俺ができることは全てしたつもりだ。

宿と新幹線の予約をしていた俺は昨夜、あまり寝れずに現在は朝の十時。

家族には車の運転免許証を持っている人物が一人もいない。俺と妹は未成年。俺の母は・・・まあわかるだろう身長の問題だ。だから俺達の交通手段は全て公共の乗り物だった。

今日も電車でこのショッピングモールまで来ている。

なので買って帰る荷物は出来るだけ少なめにしたいのだが、まあそれは俺以外の二人が許さないだろう。

時間が経つにつれ俺の両腕には色とりどりの紙袋が徐々にぶら下がって行った。

これで最後だからという言葉を何度聞いたかももう覚えてはいない。

「おい、この荷物一体どうやって持って帰るんだ?」

数時間後二人が満足した時には既に俺の両腕から両手までがいっぱいになるほどの量の紙袋が俺にはぶら下がっていた。

まるで、十人家族の洗濯物をすべて一本の物干し竿にかけたみたいになっている。

「まあ、少し持つからさ・・・」

少しやりすぎたかなと自覚した二人は同時に苦笑した。

三人で担いでやっとの量の紙袋は俺の予想だと三十個は超えているだろう。

辺りの人からの視線が痛かったが、それを通り抜けやっとの思いで家に着いたのは夜の十一時半だった。

お弁当は駅弁でいいとして朝の九時発の新幹線に乗らなければならない。

俺たちは三人でスーツケースの中身を用意したり・・・少女?と妹の買った物の整をしていた。ほぼほぼが昼に買った旅に不要な服などの整理だったが・・・

俺が床に就いたのは夜中の三時だった。少女と妹はもう眠りについていて起きていたのは俺だけだった。

用意が終わった俺はベッドにバサッと倒れるとそのまま三秒で気が遠くなっていくのがはっきり分かった。

よほど疲れていたのだろう。眠りは深く長い夢に感じた。

妹が死に母が死に俺が何処かの国に宣戦布告する夢だった。

辺りは燃え熱い。妹らしき人物が血を流して死んでいる。その数メートル離れた場所には少女?に似た人物が胸に矢を射抜かれ吐血していた。

「ご、ごめんね・・・お兄ちゃん・・・」

その彼女の赤い命の雫が俺の手から零れ落ちて行きやがて魂が体内から抜けていくのがわかった。

「し、死ぬな‼真奈美‼」

時刻は午前五時ニ十分だった。

辺りは既に明るく鳥のさえずりか窓の外から聞こえる。

ピピピピピピピピピピ・・・

昨夜、いや数時間前セットしたアラームの音が鳥のさえずりをかき消した。

嫌な夢だ。家族が俺以外全員死ぬ?

ふざけた話だ。

どこかの国への宣戦布告。

現実にこんなことが起これば俺は俺ではいられなくなるだろう。

冷や汗と過呼吸が収まらない。

アラームの音が急になったせいか俺の心臓は今までにない以上に激しく鳴り響いていた。

「お兄ちゃん!おはよー!」

急に部屋の戸が開き妹が入ってきた。

「どうしたの?朝から私の名前を大声で呼んで?」

不思議そうに俺を見る真奈美を見ると俺のさっきまでの異常な心拍と過呼吸が収まった。

「何でもない。」

額に滲んだ汗を袖で拭きとると俺はベッドから出た。

あれはあくまで夢だ。あんなことは起こらない。俺は自分にそう言い聞かせると立ち上がり旅行のための最後の準備をした。


少女?を起こした俺は呼んで置いたタクシーに荷物を載せた。

「眠~いよ~」

寝ぼけた少女?とその元気はどこから出て来るのか不明な妹をタクシーに乗せ、最後に俺が乗り込んだ。ドアがパタンと音を立て閉まった。

「どちらまで。」

運転手が頭を掻きながら聞く。

「京都駅よ!」

妹がそう答えると運転手はヘイと答え車を動かした。

京都駅に着いたのは八時だ。タクシーの中で眠気が覚めた少女?は妹と一緒に俺を引っ張って行く。

「早く駅弁とお菓子買わないと電車間に合わないよ(わよ)」

こんな長文が意気投合するのを初めて見た俺はそれにビックさせられる暇もなくあちこちの駅構内の弁当屋さんを連れまわされた。

やっとの思いで新幹線のホームに着いた俺は二人の楽し気な顔を見て少し笑ってしまった。

「まもなくー、一番線に電車が参ります~・・・」

アナウンスがなり俺達がいるホーム一番線に鹿児島行きの新幹線が入ってきた。

プシューと音を立て止まるとホームの扉と新幹線の扉が同時に開く。

「さあ、行くよ!」

真奈美はそう言うと母と一緒に薄暗い車内へと入って行った。

何か嫌な予感がする。怖くて危険な何かが。

「何してるの?新幹線出発しちゃうよ。」

真奈美が頭だけを電車の外にヒョコと出す。

「ああ、すまん。」

ホームから新幹線の車内へと足を踏み入れ俺は車内へと入った。

席に着き暫くするとアナウンスが鳴りドアが知る音がした。

やがて、新幹線は走り出した。

加速して行き京都を出る。

村、町、畑、山、街。

トンネルに入るたびに景色が変わった。

村、山、街、村、

「え?」

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