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俺はこの世界の人族に逆襲をする  作者: 「たか:たか子」
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転移から始まる逆襲劇1

さて、この俺のいや俺たちの話をする前にこの言葉を覚えておいて欲しい。

すべての物語はこの言葉で始まりこの言葉で終幕を迎える。

その言葉こそがこれだ。

―コード0000―


時代は2021年。俺は丁度高校一年の夏を迎えていた。山に囲まれたまだ新しい住宅街は朝日できらきらと輝いている。

―ピピピピピー

七時を指した時計がアラームを鳴らす。

俺は光のように速くアラーム音を消すとまた毛布の中へと姿を消した。

「お兄ちゃーん‼」

どたばたと何かが音を立て俺の部屋へと近づいてくる。そして、俺の部屋のドアが開いた瞬間、先までしていたどたばた音が消えた。

グヘ―――――――――‼

俺の腹に何かが落ちてきた。慌てて飛びあがると俺の前にはセーラ服をすでに着た赤紙の少女がニコニコと笑ってこちらを見ている。

「ゴホッゴホッ! お前なーいちいち起こすためにわざわざ膝蹴りを腹に入れなくてもいいだろう。」

朝からこんな起こされ方をした俺の起源は最悪に等しい。

「えー、でもお兄ちゃんそこまでしないと起きないでしょ。あ、凍りかけの水の方が良かったかな?」

ニコニコ笑う我が妹の可愛い姿に俺の起源は最悪から最高へといつの間にか変っていた。

「朝ごはん。作った!下で待ってるからお兄ちゃんも着替えて下りてきてね!」

妹はそう言うと俺の腹に食い込んだ膝をどかしてベッドから飛び降り、そのまま一階のリビングまでまたどたばた音を立て戻って行く。

「やれやれ」

俺はタンスの中にある制服を取り出しそれに着替える。

今日は紘一の一学期最後の日。今日は終業式と大掃除を終わらせば、学校から解放される日だ。

明日から夏休み。それを思い出した俺はウキウキしながら階段を下り妹の待つリビングへと向かった。

「おはよう。」

俺は戸を開け中学二年生の少女に声をかける。

「おはよう!」

二つの声が混じって聞こえた。

「お、起きてたのか。母さん。」

珍しく俺の母がいた。

彼女は基本この時間帯寝ている。

基本、家で働いているので昼夜逆転し彼女は夜行性になってしまったのだ。


白いパーカに身を包んだ彼女は先月でもう四十六のはずなのに我が妹、空閑真奈美よりも若く、まるで小学四年生をそのまま冷凍保存したのかというような体をしていた。

「さ、二人ともご飯ですよ!」

声も小学四年生の母はテーブルに朝食を三人分並べ席に着く。

父親はいない。彼は真奈美が生まれれる一月前、事故で死んだ。

俺達三人は席に着くと朝食を食べ始めた。

「相変わらずママはその椅子が似合ってるね!」

「もう!真奈美ちゃん。ママにそんなことを言ってはいけません!」

「はいはい、そうだね。ママ!」

ムッとし妹の反対を向いている母は本当に小学生だ。

「渚君も今日で学校おしまい?」

トーストをパクパクと食べる見た目が小学四年生の人物が聞く。

「まぁ、そうだよ。俺は明日から夏休みだ。母さん。」

「じゃあ‼」

少女?は眼をきらきらと輝かせる。

「明後日から、旅行に行きましょう!」

「唐突だな。」

「いいじゃない、別にないか減るわけでもないんだし。」

いや、減るだろ金が・・・まあ、我が最愛の妹が良いと言うのならそれでいいのだが・・・

「それにしても、なぜ急に旅行?」

「だって~‼去年は渚君、受験だったじゃない。ママ達どこにも行ってないじゃない‼」

半べその母はいつものことだが本当に四十六歳なのか俺に疑問を抱かせる。

泣きかけた少女?に俺はテーブルの真ん中にあったティッシュを渡した。

「まあ、俺は、真奈美がいいなら賛成だ。」

「ほ、ほんとに~‼」

「ああ、ほんとだ。」

「真奈美ちゃん‼」

目を輝かせた少女?はさっきまで拗ねていたことも忘れ真奈美にいいかと聞いた。

「さっき言った通り、私は別にいいわよ。」

「だったら‼」

「でも、どこに行くんだ?急に言い出したのにまさか行先も決めてないとかはまさかないだろうな?」

「それなら大丈夫。私、九州に行きたい‼」

「九州のどこに行きたいの?」

「それなら、決めてあるわ。ここよ‼」

少女?の見せてきたスマホの画面には別府の温泉が移っていた。

「なるほど、温泉‼いいわね。私も行きたい‼」

「なら決まりだ。俺は宿諸々その他の準備を済ましておく。出発は明後日でいいのか?母さん。」

「うん‼」

彼女は首を大きく縦に振った。


「よし‼じゃあ俺は学校行ってくるわ。」

朝食を丁度食べ終わった俺は席を立ち流しに皿を持ってゆく。

「待って!私も一緒に行く。」

急いで残りの朝食を口に葬った真奈美は流しに皿を出すと鞄を持ち玄関に俺が来るのを待った。

「ママ、行ってきまーす。」

この年でもお見送りとは。

少女?は玄関まで俺たちを見送るため俺についてきた。

「今日は学校十時くらいには終わるから。母さん。」

「ママ、私も‼」

玄関の戸を開け俺ら兄妹はそれぞれの学校に向かった。まあ中高一貫だから目的地は一緒なんだが。

玄関の戸が閉まるまで元気よく少女?に手を振った真奈美と共に俺は学校へと向かった。

「お兄ちゃんも中学生から今の学校に通えばよかったのにね。」

「まあ、引っ越してきたのが去年の夏だからな。」

そんな雑談をしていると俺たち兄妹はいつもあっという間に学校へと着く。

「じゃあねまた後でね‼」

彼女はそう言うと中等部がある南校舎に向かって歩いて行った。

高等部は北校舎だ。

時刻は朝の八時十二分。俺は教室に入ると俺の席に着いた。

窓からは駐車場しか見えない少し寂しげな風景しか見えないが俺は今日でお別れのこの席の事を割と気に入っていた。

まあ、なんだって教室の特等席なんだからな。窓側の前から四列目。個人の意見だが多分ここに座りたくない生徒はあまりいないと俺は思う。

そんな特等席から駐車場を眺めていると誰かが俺を後ろから呼んだ。

「渚。おい、渚‼」

振り向くと俺の目には茶髪の少年が後ろの席に荷物を置いている姿が映った。

「今日もまた兄妹で登校かい?」

「まあな。」

「相変わらずお前は重度のシスコンだな!」

今年に入って俺は何度この言葉をコイツから聞いたことか。

「ああ、そうだよ。俺は重度のシスコンだよ。」

窓の外を再度眺めながら俺は開き直る。

彼は成田京一。

俺の古くからの友人だ。少し変な奴だが割と良いやつだ。俺をシスコン呼ばわりする以外は•••

「お前は夏休みどこか行くのか?」

ニヤニヤ笑いながら京一は俺に聞いてくる。

「母さんが、急に九州に行きたいと言い出したから明後日から九州だ。」

「あの、母さんか~。お前は良いよな~あんなかわいい母さんを持て。ほんと良いよな~」

ネチネチと背中を触ってくる京一を引き離した俺はポケットに入っていたスマホが通知のバイブを鳴らしたことに気づいた。

まあ、後でもいい。どうせ母さんが泊まりたいホテルでも見つけたのだろう。

「それで、お前はどうなんだ?」

「俺?・・・俺はな・・・部活だ‼帰宅部にはできない、夏の試合でいいとこ見せてマネージャの一人や二人簡単に落として見せるぜ‼」

「飛んだ、自信だな。お前サッカー部だろ練習試合でも出させてもらえるのか?」

この学校のサッカー部はとても人気があり毎年大量の人が部に入部するため、いくら練習

試合でも出ることができたならそれはとてもラッキーなことだと皆知っている。

「そこは俺の運を発揮するところだ‼」

結局、運試しだということは俺にもわかっていた。

まあ、彼の運勢はなかなか強いもしかしたら本当に夏休み中にリア充化してしまうかもしれないな。どっちでもいいが。

「みんなーホームルームだ。席に着け―」

チャイムはまだ鳴っていないのにジャージ姿のメガネをかけた男が教室に入ってきた。

「すまない。校内が夏休み使用になっているため今日はチャイムが鳴らない。」

教室に入ってきた男は俺たちの担任山口だ。

「珍しいな。いつもは綾ちゃんなのに。」

後ろの席で京一がつぶやく。

綾ちゃんとは俺たちのクラスの副担任でありとても美人でやさしい人なので男女を問わず大人気ないわゆるクラスのアイドルだ。

「せんせー綾風先生は?」

クラスの女子が山口に聞く。

「えー、綾風先生は今日から有休をとっている。」

「一学期最後の日に綾ちゃんの顔を拝めないなんて・・・なんと無念!」

クラスがざわつくと共に京一が嘆く。

「静かに!綾風先生から伝言を預かっている。えー、『みんな、ごめんね!一学期最後の日なのに会えなくてみんなよい夏休みを!追記宿題は計画的にやるように!』だそうだ。」

「それではホームルームを始める。」

数秒前までざわざわしていた教室が静まり返った。

プリントを数枚配られ、山口は俺達を終業式の会場であるホールに向かわせる。

階段を上がり三階のホールに着くとそこはいつも既に生徒でいっぱいになっている。

もちろん指定席だがそれでも全員が着席するのに約十分はいつもかかった。

いよいよ朝礼が始まり辺りが静まり返る。

珍しいことに、この学校の校長先生の話はどこかの漫画やラノベの中と同じく、とてつもなく長いし上につまらない。

校長の長話はかれこれ三十分続き終わったころには大半の生徒が眠りに落ちていた。

俺もその中の一人だ。

長―い朝礼が終わり大掃除も終わった。

後は、最後にホームルームをして解散だ。

みんな早く帰りたいのだからだろうか?なぜか皆、以上に着席するのが早かった。

ホームルームが始まり山口が一分ほど夏休みの注意事項などを確認したのち、口から解散という言葉が発せられた。

解放だ。

俺は数日後この時の嬉しさの何千倍の恐怖を味わうことをまだ知らなかった。

「あ、メール。」

妹をいつも道理、校門で待っていると俺は朝学校に登校して間もなくスマホの通知バイブが鳴ったのを思い出し、まだ読んでいないことを思い出した。


空閑渚

            正しき時間、それぞれの場所を。



俺はこのメールを開いてしまったことにあとで後悔する。

この物語はここから始まりここで終わる。

これは、この話はこの時空の時間ではゼロ秒つまり無かったお話だ。

でも、本当にあった話。それだけは信じて欲しい。


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