あやかし探録記

５ 正義の味方

「……もしもし」

「よぉ二世。初日はどうだったん？」

「……別に、普通です」

「普通ってなんだよ。分かんねぇよ」

「普通は普通です。私のことなどお気になさらず、渚先輩は自分の任務にだけ集中してください」

「冷たいなぁ。自分の弟子の心配して悪いのかよ」

「……先輩、よっぽど暇なんですね」

「アホ言え、クッソ忙しいわ。お前を心配してんねん」

「……嘘も方便、ですね」

「はぁ？　本当に心配しとるわ」

「……そうでしたね。先輩にとって新宮家の損失は好ましくないですもんね」

「ああ、そうやで？」

「はぁ……言いたいことはそれだけですか？」

「まぁな。なんかあったらすぐ俺を呼べ。お前まで死なれると困るからな」

「あ。でも一つだけいいですか？」

「なんや？」

「探録隊未登録の妖力者がいました。恐らく、後天性です」

「はぁーあ……そりゃ初めて聞く話やな。報告書にはなかったで？」

「だから今報告してるんです。……妖力者となると、話はまた変わりますよね？」

「まぁな。後天性だろうが『梅』だろうが妖力のある人間は貴重な存在や。上に報告すれば、間違いなく保護されるな」

「その言い方、ずるいです」

「お互いさまやろ」

「……上には私が報告します。忘れなければ、の話しですが」

「そうか、そうか。んじゃ、俺もこれ以上口出しせんわ。またな」

　ブチ。

「ふぅ……さてと。今夜も正義の味方になりますか」