辺境の孤児院にて。。
カールは、真剣な顔になり、優しい口調から、少し厳しめの口調に返る。
「リオン君に、レイモンド君、あなた達は特殊です。 はっきり、言います。 あなた達は、精霊に嫌われています。 なので、いくら魔力があろうとも、どんな精霊とも契約できません。」
その言葉に、青ざめているが悔しい表情をする子供達。 そんな彼らに追い打ちをかける。
「精霊に嫌われているという事は、精霊と契約している人間にも嫌われるのです。 なので、あなた達が、この世界で生きる為には、自分で自分の身を守れるほど心身共に強くならなくてはいけないのです。」
「自分達の境遇は理解できましたか?」
「はい。 でもなんで精霊に嫌われるんですか? それに、俺は弱い。 何もありません。」と拳を握るリオン。「僕もです。 何もない。 僕は、僕は」と涙を流し、下を俯く。
「精霊に嫌われている理由は分かりません。 でも、お2人とも何もなくありませんよ。 ちゃんと有りますよ。 ほら、リオン君には腕輪が、レイモンド君には指輪がね。」
優しい口調と優しい笑みでカールがはまっている腕輪と指輪それぞれを指すのである。
リオンがぴったりはまった腕輪をみながら「母上が、先祖代々伝わっている腕輪で、ライナス様のみがいままで使えたってって」といい涙をながし、レイモンドも自分の指にはまる腕輪を見ながら「母さんが、先祖代々伝わるっていって渡してくれたやつ」といい更に涙を流すのであった。
「そして、それらのサイズがぴったりでしょ。 つまりですね、あなた達は正当な後継者として認められたっていう証拠です。」
それを聞いた子供達は少し生きる希望をもった目をして、カールのほうを見るのだった。
どうやら、生きる希望をもってくれたようですね。
「では、これから、どれだけ嫌われているか現実を知ってもらいます。 辛いですが耐えてくださいね」
そう言って、カールは孤児院の食堂に2人を連れていき、既に食堂で食事を食べている子供達に紹介する。
「みんな、今日からここで生活する、リオン君とレイモンド君です。 仲良くしてくださいね」
「リオンです。」「レイモンドです。」と挨拶をする2人。
しかし、子供たちからの返事はない。 2人を見る目は、嫌悪の目だ。 それを気にせず、カールはリオンとレイモンドを席に座らせ、マリアを呼ぶのだった。
「リオン君、レイモンド君、こちらがシスターマリアです。」
「マリア、すみませんが、私これから1か月ほど急用で出かけなくてはいけなくなりました。 なので、今日からこの子達の面倒もお願いしますね。」
そう言われたマリアの表情は、怪訝な顔になり、2人を見る目は、冷たい。
「っち、わかりました」と嫌々返事をするのだった。
救いを求める目を向けるリオンとレイモンドをよそに、カールは出かけるのだった。。。