辺境の孤児院にて。
翌朝、目を覚ましたリオンは、隣でまだ眠る茶髪の男の子を起こして、「ねぇ、ここどこ?」と聞くと、寝ぼけながらも起きた茶髪の子も周りを見渡し首を振りながら「僕もわからない。 教会で無能者って言われて。。。 孤児院に。。 へっぐ、へっぐ」と泣き始めた。
「え、お前も? お俺も、無能者っていわれたよ」といって思い出し、悔し涙を流し「へっぐへっぐ、お俺たち一緒だね」というのだった。 その言葉を聞いた茶髪の子レイモンドも、泣きながら「そ、そう、そうみたいだね」とお互い見あって「「わーん」」と大泣きするのだった。
2人が泣き止んだ頃に、部屋の扉が開き、濃紺でショートヘアの町人風の30代半ばの長身痩躯の男が入ってきた。 お盆には、スープとパンが2人分のっている。 4人が座れるテーブルに、スープとパンを並べると、男は、泣き止み目が真っ赤になっている子供たちのほうを向いて「起きたみたいですね。 お話は食べながらね。 お腹すいたでしょ」と優しくほほ笑むのであった。
スープとパンの匂いで、子供達のお腹が鳴る。
男は優しい声で「ほらね、こちらで食べましょう」と言われ、2人はお互い目をあわせて頷き、テーブルのほうへ行き席に座り食べ始める。
食べながら、少し落ち着いたレイモンドが、目の前で座り優しく微笑んででコーヒーを飲んでいる男のほうを向いて聞く。
「あの、ここは孤児院なんですか?」
「ええ、孤児院ですよ。」
それを聞いた、レイモンドがテーブルに両手をついて立ち上がって、目を輝かしていう。
「精霊と契約させてくれるっていうのは本当なんですか?」
すると、その言葉を聞いたリオンが、驚き、目を輝かしているレイモンドの腕を掴み、揺らしながら聞く。
「そうなのか! 俺、知らなかった。 じゃぁ、ここにいれば精霊と契約できるんのか? なぁ、本当なのかよ。」
「うん、僕を蹴った教会の人が言っていた。 でも、嘘かもしれない」
昨日の状況を思い出し、自信を無くしたレイモンドの表情は暗くなって、座るのであった。 それを見て、リオンも、レイモンドから掴んだ手を離して、同じく暗い表情になり、下を俯く。
「落ち着きましょうね。 私はカールといいます。 ここは、先程いいましたが、孤児院で、辺境にありまして、私はここの院長をしています。 で、あなたたちは?」
「俺は、リオン・マクレーンです。 精霊の儀で精霊と契約できないので、捨てられたので、リオンです。 気付いたらここにいました。」
隣で聞いていたレイモンドは、リオンの名字に驚くが何も言わずにいう。
「僕は、レイモンド・ポーターです。 僕も同じで、精霊と契約できなくて捨てられたので、レイモンド。 精霊と契約できるほど魔力がないからだって言われて、ここにたぶん送られました。」
カールは、シュンさん、やっぱり、ポーター君とライ君の子孫のようです。 と心の中でつぶやく。
「リオン君にレイモンド君ですね。」と名前を確かめる。 優しい声で説明する。
「ここは、確かに精霊の儀で契約ができなかった子供が送られてきます。 そういう場所ではなかったのですが、勝手に教会が送ってくるんですよね。」
そいうカールの顔は困った顔をしている。
「あ、でも私は教会の人間じゃありませんよ。」
教会で散々な目にあったリオンとレイモンドは、カールが教会の人ではないという言葉に反応する。
「「ここで頑張れば、精霊と契約できるんですか!」」と2人同時にハモって勢いよく立ち上がるのだった。
「落ち着いて! 座ってください。」
そう言って、子供たちを座らせる。 カールは、不思議な顔をしながら、必死になる子供達に聞く。
「なぜ、精霊との契約に必死なのですか?」
リオンが悔しそうな顔をしながら、「そうすれば、無能者って言われなくなります。 それに、俺はあいつらを見返せるかもしれない」といい拳を握る。 レイモンドは悲しそうな顔をしながら、「精霊と契約できなければ生きていけないって聞いたから」というのであった。
そして、話しを聞いたカールの顔は、うーんどうしましょうかと困った表情である。
「私は、精霊と契約していませんが、生きてますよ。」
「え! 俺、精霊と契約しないと魔法が使えないって、人間誰でも契約できるって聞いてたんですが!」
「僕もです。」
「ええ、確かに精霊と契約したほうが、簡単に魔法が使えるようになりますね。 しかも、演唱破棄で使えます。 でも、自分の魔力だけでも魔法は使う事ができますよ。」
だが、リオンとレイモンドは、理解できないのか、不思議な顔をするのであった。
カールもカールで、どう説明すればっと悩む。
「お話の順番がいろいろになったので、整理して説明します。 質問は後にしてくださいね。」
そういと、素直に頷く子供達だった。 それを見てカールは、心の中で、基礎教育は受けているようで安心しました と思い、2人に説明を始めるのであった。
「まず、ここにいる子供達は、7歳にしては魔力量が少なくて、教会で呼び出す精霊と契約できなかった子が、ここに来て魔力が少なくても契約できる精霊と契約します。 だいたい、1年半ここで簡単な読み書きや初等教育に間に合うぐらいまでの勉強と生活魔法、そして精霊魔法を学びます。 9歳になったら、元の家に戻るか、大きな街の孤児院にいって初等学校に通います。 ある程度、魔力が増えた子は、初級または中級の精霊と契約し直します。 契約のし直しができるのが、私だけで、私の特殊能力だと思ってください。 ほとんどのここに来る子供が、ごく一般の平民ですので、9歳になったら自宅へ戻っていく事が多いです。」
黙って聞いている2人。
「ここまでの説明で、自分達が他の子供たちと異なる境遇にいるというのは理解できましたか?」
頷く2人であった。 よし、ここからが本題です。 受けてめてくれるでしょうか。。。