辺境の孤児院の院長
夜更けとなり、院長室のベットに眠る子供たちはまだ起きない。
マリアも他子供たちも寝静まっている。 そんな静寂の中、ひとり起きている院長。
「そろそろかと思いましたよ」と、独り言のようにいう院長。
ただ、院長がむいている方向には、黒の帽子に黒の戦闘服、そして黒のコート着た男がタバコをくわえて立っていた。
「久しぶりだな。 カール」という男。
カールと呼ばれた院長は、「ええ、あれからここの世界でいうと約400年振りですかね、シュンさん」と苦笑していう。
俺シュンは、タバコをふかしながら、苦笑するしかない。
「え! まじ。 あれから400年かよ! となるとよ、俺としては、おめぇーが生きているほうがびっくりしてんだけどな」
「寿命は、魔族の時間軸ですからね。 てか、定期的に手紙送ってましたよ。 それに、私はまだ約800歳で、折り返してませんよ」と口をとがらせながらいうカールだ。
「ははは、そういや手紙はもらってたな。 寿命って、魔族は魔族時間軸になんだな。」と俺は、魔族の生態を初めて知ったのでついつい突っ込んでしまった。
「んで、まぁ、本題だ。 そこのガキ2人か?」って俺が、ベットで眠るガキ2人をみながらいう。
「ええ、そうです。 が、もの凄く精霊に嫌われてますね。」
俺はタバコをふかしつつ、ガキ2人を観察しながら、カールの話を聞いていた。
「何の因果なんだろうな。 こいつらには、魔術しこむか。 質は悪くねぇーしな。 やっぱり、あいつらの子孫ってことか?」
「ええ、たぶん。 シュンさんのいう通り、魔法か魔術を教えるしかないですね」
確かに、カールがいう通りだな。 ここの世界の状態を、聞いているかぎりでは。
でも俺、ガキの面倒みたくねぇーし。
俺は、タバコをふかしていう。
「カール、お前が基礎を仕込め。 体術、剣術、魔力コントロール、身体強化、部分強化だ。 あと、勉強もな。 できんだろ?」
「ええ、出来ますよ。 ただ、例の場所使わせてもらいますよ」
「ああ、もちろんだ。 教材も置いてあんしな。 お前らが入れるようにしとく」
俺は、一度タバコを消して、ちょっくらガキどもに魔術をかけた。 そして、俺はまたタバコに火をつけて一服する。
「ガキどもに封印をした。 ある程度、魔力量が増えば勝手に封印がとける。 封印が解ける頃、俺がくるわ。 3~4年だな。 甘ちゃんに育てんじゃねーぞ」といって、俺はカールの返事も聞かずに転移した。
返事を待たずに消えたシュンのいた場所を見て、「私に丸投げですか、シュンさん。 まぁ、いいですよ、いつもの事ですし。」と少し愚痴をこぼすカール。
ただ、子供たちをみながらニヤリと笑い「面白くなりそうですね。」と独り言をいうのであった。