保護者として、学園へ呼ばれた 後編
ダグラスに案内された訓練場。
俺は訓練場をみながら、設備も以前学園にきた時と変わらないため、「あんま、かわんねぇーな」とぼそっとついつい声に出していってしまった。
「ダグラスは精霊魔法を使えるのか?」
「ええ、水の精霊です。 お見せしましょうか?」というと、「ああ、頼んむ」と答えた。
精霊魔法を見た事がないから、ちょうど良いかなと思い、ダグラスに聞いてみただけだが、見せてくれるとの事だ。
一方、ついてきた教師もリオン、レイモンドは、ダグラスとシュンとの会話を制止することも口をはさむこともできないでいる。
ダグラスが、一歩前にでて、実演する。
≪アクアランス≫と演唱すると、無数の水が槍となり的にあたり、的が破壊されるのだった。
「おお、さすが学園長。 素晴らしい精霊魔法です」と絶賛している教師達。
俺は、そんなのを無視しつつ、ダグラスに小声で話す。 まぁ、あんまりいい話じゃないしな。
「なるほどな。 精霊が空気中のマナを取り込み、人間の魔力はあまり使わずに発動させてんのか。 んで、氷帝の家系なのに、氷は使えねぇーってわけね。 あってるだろ?」
「お恥ずかしい話ですが、その通りです。 火と水の精霊がいても、火であり熱じゃない。 水であって、飲めるわけではありません。 雷も氷も今や使えるものはおりません」と小声で返すダグラスだった。
「リオン、レイ、お前らの番だ。 見せてやれ、お前らの魔術。 面倒だから合成までみせてやれ、どーせこいつら使えねぇーから」と俺が大声でいう。
「はい、師匠」といいまずリオンが風、闇、雷、黒雷を中級で、的に放つ。
「いきます、師匠」といって、火、水、氷を中級でみせる。 全てが無演唱で、的も破壊される。
__それを見て、呆けている教師達。 ダグラスも、目を見開いて驚いている。
「これが、演唱魔法より前に廃れた魔術。 おのれの魔力だけで、自然の断りを理解し組み、発動。 それが魔術だ」と俺がダグラスに説明する。
・・未だに、呆けている教師達
俺はタバコをふかしす。
「こいつら、魔法使えるだろ?」と俺が大声でそいつらにいうと、コクコク頷く。
すると我に返った、男性教師が「我々にも彼らのような魔法がつかえるようになりますか?」と質問され、「無理だ。 まず、魔力量がお前らの倍あって、並行思考になって初めて初級の魔術が使えるようになる。 ようは、幼少期から魔力量を増やして、かつ、相当勉強しないといけねぇーんだ。 これがある意味、魔術が廃れた理由だ。」と、俺は面倒だが仕方なく説明しておいた。 それ以上の質問は受け付けないぞと少し威圧しておく。 一応、納得はしたのか、な。。
「んで、こいつら、実技に参加してもいいだな?」
「いえ、魔法実技試験は合格です。 今年度は中級レベルまでなので。 つまり、彼らは満点合格です。 ですよね、学園長」といい、ダグラスも苦笑いしながらいう。「はい、魔法実技は合格とし、授業参加免除となります。」
「良かったじゃねぇーか。 お前ら。 じゃぁ、俺ら帰るな」といって、俺はリオンとレイモンドを連れて食堂へ転移した。
◇◇◇
シュンが転移していなくなった訓練場。
「え? 消えた? 集団転移? いや、誰も使えたものはいない。 単独転移でさえ、今は希少。。。。。 学園長、彼はいったい?」という男性教師。
「ははは、君が言ったではないか、学のない平民と。 ただの彼らの保護者ですよ。 但し、今後彼に接触したり、干渉したりすることは禁止します。 学園長命令です。 もし、今回のように彼を保護者としてお呼び立てする必要性などありましたら、必ず事前に私に相談すること。 いいですね! 教師全員に通達です。 わかりましたね!」と、ダグラスは教師達がまだ何かききたがっているが、そんなのは無視してその場から立ち去った。
まったく、私の知らないうちにシュン殿をお呼びするとは。。 しかも、念話で呼び出された時は、念話なのに、シュン殿が機嫌が悪いのが分かって、焦りましたよ。 殺しはしないでしょうが。。 まったく何事かと思って、行けば最悪でした。。 とりあえず、解決してよかった。。 など、愚痴るダグラスだった。
◇◇◇
食堂に戻った3人、「リオンもレイも、発動とコントロールがあめぇーぞ。 着替えて、訓練場」と俺は不機嫌な声でいう。 「「は、はい」」とダッシュでこれからの地獄の訓練を覚悟する リオンとレイモンド。
それから数時間後、訓練場ではボロボロのガキ共がいた。
「飯の準備しにいくから、それまで自分らで回復しとけ。 飯抜きにすんぞ」といって、一応口調はいつも通りになったシュンが去っていく。
「「俺ら、まだまだだな」」といいながらなんとか起き上がるリオンとレイモンドであった。。。
シュン的には、学園で女が居たという軽い仕置きレベルなのであった。




