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【白銀の黒帝:4】精霊と無能者  作者: 八木恵
1章:プロローグ
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プロローグ:精霊の儀②

ここは、副都にある教会。

時は少し遡り、リオンがちょうど応接室に案内された時とほぼ同時刻。


ここにはリオンと同じく先月7歳になったばかりのレイモンド・ポーターが両親に連れられて教会を訪れていた。 ポーター家は次元ボックスの使い手が多く、商人として共和国に多くの商会をもつとても裕福な家系だ。 しかし、かなり裕福だが、身分は平民であるため、教会の講堂に両親と着席している。


司祭が講堂の檀上いる。

「本日はお集りいただきありがとうございます。 これより、精霊の儀を始めますが、女神様のご機嫌を悪くしないため、お名前を呼ばれたお子様は私と一緒に精霊の儀の間へ、そして、その間ご両親は別の待合室でお子様のおかえりをお待ちください。 精霊の儀の後、待合室にてステータスとご加護の説明をいたします。」

最初に名前の呼ばれ子供が、両親とともに司祭とどこかへ向かうのであった。


精霊の儀は、契約精霊によって本人の将来が決まるので、講堂に来ている子供は緊張しているか、どんな精霊に出会えるのか楽しみに興奮している子供のどちらかだ。


講堂で名前を呼ばれるのを待っているレイモンドは、前者のほうだった。

そのため、レイモンドの母親が、緊張をほぐすため優しくレイモンドの頭を撫でるのだった。

「大丈夫よ。 きっと可愛らしい精霊さんが会いにきてくれるわ」

「そうだよね。 僕、がんばる」と緊張が少しほぐれたレイモンドが笑顔になり母親にいう。 「そうそう、うちは商人なんだから、下級でもいいんだ。 心配するな。」といって商売の時だけ厳しい父親だが普段は温厚な父の大きくて優しい手がレイモンドの肩をやさしくポンポンと叩くのであった。


「レイモンド・ポーター君」と名前を呼ばれ、レイモンドと両親は立ち上がり、司祭と一緒に移動をするのだった。


 ―精霊の儀の間で、水晶に手をふれ魔力を流すが、水晶は光るが色は変わらずで精霊はでてこない。 そして、ステータスカードがポトリと落ちる。 


「え?」

その現象の意味がわからないレイモンドは、振り向いて同じ部屋にいる司祭をみる。 しかし、その顔は、怪訝な表情だった。 そして、司祭が、レイモンドのステータスカードを拾い、無言でレイモンドの両親のまつ待合室へつれていくのだった。


待合室で待つレイモンドの両親に、レイモンドが精霊と契約できなかった事が報告される。 その報告を受け、みるみる青ざめる両親であったが、司祭が、ステータスカードと今後について説明をするのであった。


「レイモンド君のステータスカードは、体力:F、知力:D 魔力:-です。7歳にしては賢く、体力は普通です。 しかしながら、魔力量が計測できないほど少ないです。 精霊との契約には、魔力量が関係いたします。 過去に魔力がGで、精霊様と契約できなかったお子さんがおりますが、辺境にある特別な孤児院にあずけて、10歳の初等教育までには初級精霊と契約して戻ってきた例もあります。 もし、よろしければ、我々のほうで、レイモンド君を辺境の孤児院までお送りいたしますので、ご家族でお話あってみてはいかがでしょうか。 1時間後に戻ります。」


そう言い残して、司祭は待合室から退出してしまう。


司祭が退出すると、レイモンドの父親は、いままでみた事のない表情となる。 そこにあるのは汚い者でも見る目で、儀式前までのまで見せてくれていた優しい表情はいっさいなかった。

「と、とうさん。」


「この無能者が!! 我が家には無能者はいらん!」と怒鳴る。 そしてレイモンドが怒鳴られて怯えているのは関係なく、殴る、蹴るの暴行を加える。 


レイモンドが抵抗できないのを見計らい、レイモンドの父親は、信じられない言葉をは吐き捨てる。

「いいか! この無能者は、病気で死んだ事にする! もう決定だ!」

そして、激しい剣幕でレイモンドを蹴る。

「ぐはっ。。」と激痛の走る腹部を抱えて、無抵抗のレイモンドが床に転がっていく。


「2度と、お前の顔など見たくない。 どこか行け!」とって母親と共に待合室から退室しようとする。

「ま、まって。 なんで、なんで」と涙を流しながら、必死に助けを求めている。 


「私だって、この無能者にいいたい事があります。 すぐ退室しますから、あなたは外でまっていてください!」と、レイモンドには信じられない、信じたくない母親の言葉だ。 そして、父親は、最後の最後までレイモンドを汚物のような者を見るような嫌悪した顔をして退室していった。


レイモンドに近づいた母親はさっきの言葉とは裏腹に軽くそして優しく抱きしめながら、涙声でいう。

「時間がないの。 良く聞いて。 この指輪は、ポーター家に伝わる指輪で、正当な後継者には素晴らしい力をくれるといわれている。 きっと、この指輪があなたを守ってくれる。」といって、指輪のついたネックレスをレイモンドにかけるのだった。 


「司祭さんのいった孤児院にいきなさい。 そして、強くなるのよ。 生きるのよ、レイモンド」といって、今度は優しく強く抱きしめ、待合室の床で横たわるレイモンドを見る事なく退室していくのであった。


「やっぱり、1時間もしないうちに、子供おきざりか」と司祭は待合室に入ってきて、先ほどとは違う乱暴な声でいいう。 そして、床に転がっているレイモンドの腹部を蹴るのだった。 あまりの激痛で顔をゆがめ、徐々に意識がとんでいく。 そして、最後にレイモンドが聞こえた声は司祭の声だった。

「お前のような無能者の行き先だ。 せいぜい、生きれるといいな。 ステータスはこっちで破棄する」


司祭は、気絶したレイモンドを確認して、転移魔法陣を起動させてると、教会の待合室からレイモンドが消えるのであった。


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