辺境の孤児院から別の場所へ
2階建てのログハウスの前に到着した、リオンとレイモンド、そしてカール。
つい数分前まで、孤児院から離れた森にいたはずが、まったく景色の異なる場所にいて、目の前には2階建てのログハウス。 そんな状況に追い付いていない、子供達は口をあんぐり開けている。
そんな子供達の事は無視したカール。
「着きました。 ここが、当面私たちが住む家です。 この家は、私の知り合いの人の家ですが、今は不在なので自由に使っていいと。 詳しくは中に入って、説明します」といい、玄関の扉を開くカール。
自分達が今どこにいるのかさえ理解においつけないが、とりあえずカールに言われるがまま、子供達は後を追い、玄関から室内に入るのだった。
室内に入ると、すぐそこにあるのは広々としたダインイングだ。
そして、大人10人は余裕で座れるベンチ型ダイニングテーブルとかなり広いキッチンがある。
奥には廊下が見え、部屋が幾つかあり、リビングやら、2階に続く階段もある。 一見、質素にも見えるが、木材を使っているので自然でかつ細部にわたり無駄がなくセンスのいいしかも広い家だった。 そして、掃除が行き届いており、誇りひとつもなく綺麗であった。
そんな家の中で、唖然としている子供達。 カールは3人分の冷えたジュースをもってきて、2人にジュースを渡し、ダイニングの席に座らせる。 そして、2人の前に座るカールだった。
一息ついく。 ジュースを飲んで、ようやく我に返る、子供達。
「ここまで連れてきて、何ですが、リオンとレイモンドは強くなりたいですか?」
「はい、俺、強くなりたいです。 いまのままでは悔しい」「はい、僕も強くなりたいです」
「よろしい。 では、どんなに辛い修行でも弱音は吐きませんか?」
「俺は、強くなれるなら、かまわない。」「僕もです。 弱いままは悔しい。」と、彼らの目には力強く決意した意志がやどっている。
「よろしい。 と言っても、お二人共強くならないと、この世界では生きられませんので。 何せ、嫌われ者ですからね。」と皮肉をいいながらも苦笑する。 ジュースを一口のんだカールは一息ついてから口を開く。
「質問は後にしてください。 まず、ここは『魔の森』の最深部です。 なので、私が許可するまで絶対に、森の中に入らないようにしてください。 そして、この家の2階は、立ち入り禁止です。 家主のプライベート領域ですので、絶対です。
そして、これから、私が当面の間、あなたたちに、体術、剣術、魔術の基礎を教えます。 あと、勉強もです。 こう見えても私は結構強いんですよ。 3年または4年みっちり鍛えます。 いいですか?」
「「はい、わかりました。 指導の程、お願いします」」と素直に返事をするのであった。
その後、『魔の森』の危険性に気づくリオンとレイモンドだったが、時すでに遅しであった。
こうして、カールとリオン、レイモンドの3人での、『魔の森』の生活が始まるのであった。