百六十九話・百七十話
今回は恋愛の詩です
「幼稚すぎる愛」
僕は幸せだよ。
と、平気で言えていたから
今こんな結果になっていると
僕はやっとわかった。
「君のことを思っている」
「君のことは大事だよ」
そんなの全部自己満足だ。
僕はいつも大切な何かが抜けている。
「君は今幸せ?」と直接聞いたこともあった。
でも、その質問はひらりと本音を隠された。
僕は彼女のことをわかった気になっていた。
好きだから、一緒にいるから。
そんな表面的なもので
どうしてそんな思い上がれただろうか。
あの日、彼女が突然泣いた。
「本当に、私のこと好き?」
「もちろん、好きだよ」
「それなら不安にさせないでよ。
あなたの気持ちがわからない。
私のことをちゃんと見てよ」
ボロボロと流れる涙は、僕の心を何度も揺らした。
彼女の『好き』は、未来を見据えていた。
僕のがどれほど幼いものだったかわかった。
一度失った信頼は、簡単なことでは戻ってこない。
彼女にもう一度信じてもらえるようになるには
僕がどう変わったか見せるべきだと思った。
僕はそれから彼女のことを
第一優先で考えることにした。
愛情表現も前よりするように意識した。
僕が彼女の代わりにできることは
全てするように変えた。
あれから彼女は涙を流さなくなった。
僕はどうにか彼女を失わずにいられた。
今後も彼女のことを想い続ける。
「君は幸せでしたか?」と
聞く勇気はまだないけど
いつか聞いてみようかな。
「友達という安全圏」
まるで気の抜けた炭酸ジュースみたい。
最近何を、どうすればいいかわからないの。
突然こんなこと聞かされても
「何の話?」って思うよね。
でも、今はただ話を聞いて。
恥ずかしいぐらい切羽詰まっているから。
私が彼を好きなことについてよ。
普段通りに話していても
いつもはしない行動を突然してみても
彼の表情は変わることなく
いつも笑っている。
もちろん、私も楽しいよ。
でも同時に、虚しさが
どこからか静かに漏れてくる。
そして、楽しいからこそ欲ばってしまう。
私は、私と彼だけの世界を作りたい。
この感情はおかしいかな。
彼に気持ち悪がられるかな。
そう考えると一瞬で世界はまっ暗になる。
怖いけど、彼への気持ちが本気だからこそ
このままではいられない。
そう毎日思っているのに、まだ踏み出せていない。
「情けないな」って思う回数は日々増えていく。
嫌なことほど、数を数えてしまうのはなんでだろう。
彼に『告白』をすればこのもやもやはなくなる?
自信がメキメキとはがれていく。
完全になくなってしまう前に、なんとかしたい。
告白することで二人の関係が
白く塗り替わるかもしれない。
それは私も歓迎はしていないよ。
さらに言うなら、きっと彼の優しさが
私の心に刺さってずっと抜けなくなるから。
でも、友達という安全圏が
こんなにも重くて苦しいなら
今もゆらゆらと揺れている私だけど
そんな関係なんて壊してしまおうか。
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