百六十五話 「いつかの光り」
優しさに
「クラスの人全員と友だちになりたい」と
小学生の頃本気で思っていた。
でも、その願いは叶うことはなかった。
ボクはからかいがいがあると
学生生活のほとんどをいじめにあったから。
オトナたちは、助けてくれなかった。
いじめっ子たちは火を吹くドラゴンだった。
ボクは『戦う』という選択をしなかった。
背中に翼はないけど、三階の教室の窓から
グラウンドまで高く飛んで出れた。
でも本当は心の中に入って、泣いていた。
あれは、どんな感情の涙だったんだろう。
ボクはそれから少し大人になった。
他の人には見えない痛みはあるし
心の中や本当の気持ちはその人以外には
わからないということもあると知った。
それでも、ボクは優しくありたい。
ボクが辛さをとれないかもしれないけど
とまり木ぐらいにはなれたいいなあと思っている。
光りになりたいなんて思い上がらない。
心を照らす小さな明かりになれればいい。
ボクは回復魔法を使う『魔法使い』だから。
でも、光りにはずっと憧れている。
言葉遣いも気にするようになった。
「おいしいしね」のような言い方は使わなくなった。
語尾が「◯ね」になっているから。
人が何を嫌だと思うかはわからない。
どんな事があっても、大人になっても
考えは曲がらなかった。
ボクは人を照らしたい。
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