桜の木の下で、
いつもの見切り発進。どこまで書けるかは気分次第。
―あぁ、またか
それがはじめて彼女を見て時の感想だった。
―また、この感覚だ。
どこかへ行った時、一度も来たことがないはずなのに既視感を感じることがよくあった。所謂デジャヴというやつだろう。正夢を見やすい体質なのかと思っていたが、それにしては見過ぎだろうと思うほどに度々あった。
既視感を感じるたびに、何故だが懐かしくなったり、悲しくなったりするものだから、(こんなことを口にすると中二くさく、恥ずかしいから口にはしないが、)自分は同じ人生を繰り返しているのではないかと思ってしまう。
彼女を見た時もなぜだか懐かしく感じた。
彼女をはじめてみたのは、高校の入学式の日。オレは方向音痴なものだから、迷子になって遅刻しないように早目に家を出たら、どうやら早すぎたようで教室には誰もおらず、暇だったので校内をぶらぶらしていた。そしてたまたま立ち寄った体育館裏の満開の桜の木の下に、彼女は立っていた。
まるでありがちな少女漫画のような出逢い。そこで恋に落ちれば完璧だ。
彼女は俺に気づくと微笑んだ。
そのとき、花の咲くような笑顔だったら俺は確実に恋に落ちていただろう。
だけど彼女の笑顔はとても切なそうで、今にも泣き出しそうだった。
その顔を見た時、何故だが俺まで泣きそうになった。
―ああ、またか
―また、彼女を救えないのだろうか。
割と私も既視感を感じるけれど、美少女も美少年も現れてくれないからただの気のせい。