No.5
「とりあえず『闘気』と『金剛体』のコンボは凄いな。」
このスキル達だけで無双出来そうなのだが、
他のスキルもえげついな。
『破壊と再生の眼』ってなんだ?
とりあえず近くの壁を見て壊すつもりで睨むと
ドコォォォォォン
壁が粉々に砕け散った。辺りが粉塵に包まれ
たので慌てて距離を取る。
どうやら壊したいと思いながら睨むと、壊せれるらしいな。お次は再生だ。
砕けた壁を治したいと思いながら睨むと
時が巻き戻っているかの様に壁が修復されていく。
破壊も再生もかなり強力だな。
この眼は使い方に注意しなければ.........。
「次は『闘気』だな。」
『闘気』に関しては力を込める必要がない。
ただ、戦うという意思のみで使うことが出来る。
『闘気』を出して最初の感想は
「かっこいいな......。」
体から赤黒いオーラと瑠璃色の火花があちこちから出ている。
中二病患者が泣いて喜ぶこと間違いなしだな。
そういう俺も軽く興奮している。無論俺は中二病を拗らせてはいないが、男である。
男ならかっこいいものには憧れるのは仕方がない。
いつでも使えるので、そろそろやめにしておくとしよう。
『金剛体』はどうやら常に発動中みたいなので確認の必要なし。『創造魔法』もまた今度確認。
さて 一番気になっていた,『血塗れの幻影』
の確認でもするとしよう。
まあ、大まかには分かっている。
血を消費して幻人とやらを作り出せてその幻人は命令をよく聞く、いわば召し使いもどきを作り出せるスキルだな。
しかしどの位血を消費するのかな?
試しに爪で手を切ってみると普通なら血が流れてくるのだが、血が流れなくて、傷口から黒いもやがで出来ているみたいだ。
このまま放置しておこう。
「......フゥ 危なかった.........。」
放置し過ぎて血を消費しすぎたのだ。
危うく出血死するところだった。
クラクラの状態の俺は地べたに座り込み、休憩している。
そんな俺の前を立っている明らかにモンスター認定されそうなミイラ姿こそ、幻人だ。
予想していたより遥かに大きい。
2m以上はあるだろう。指が鉤爪状態で、声は出せないみたいだ。
「よし大丈夫だ。 えっと......幻人1号 俺の影に入っておいてくれ。」
幻人1号は何故か敬礼をした後俺の影に入っていった。一体何処で覚えたのだ?
『アイテムボックス』に入っていた、金貨数枚を持ってぶらぶらしていると、不穏な空気がするところに来てしまった。
不穏な空気なのかは知らないが、感じるし聞こえてくる。
絶望と悲鳴の雰囲気が、声が聞こえてくる。
俺が着いた場所、それは奴隷商の店だった。
「奴隷か......一人くらい欲しいところだな。」
この世界の常識などが全くない今、奴隷を買って色々な情報を聞くのが得策だと判断したからだ。そう思い、俺は店に入った。
店の中は綺麗に掃除されており、椅子が並べられてある。ここで待っていろということなのだろう。
椅子に座ってしばらくすると、
ドコォォォォォン
近くから破壊音が聞こえてきて、壁が壊された。
そちらの方を向くと、痩せ細った体に、頭に狐耳。狐獣人で間違いないだろう。
その狐獣人は紅蓮の炎を纏いこちらを睨んでいた。
「俺って実は運が悪いのか?」