No.2
待つことしばし 『アイテムボックス』に
魔法名一覧表が届いた。
便利過ぎやしないか?
魔法名一覧表を見てみると魔法名がズラリと書かれている。 お馴染みの『火球 』や聞いたことのない魔法名なども数多くある。
中には『最後の晩餐』 『滅亡の顎 』など
危険な香りがする魔法まである。
この魔法名一覧表の最後にはこう書かれていた。
・この世界の魔法は魔法名を唱え魔力が足りていれば誰でも発動出来ます。
恐らくフウスイさんの魔力ならどれでも発動出来るでしょう。
ふむふむ、俺の魔力は結構あるらしいな。
それにしても、異世界に来たのにステータスとかは無いのだな。
魔力切れとかは感覚で覚えろということか。
では、早速
「『火球』」
掌から直径50cmくらいの火の玉が出て来た。それを岩に向けて放つと岩が砕けた。
「おー 異世界初の魔法だな。
そろそろ目的地に行きたいし、『身体強化』。 」
体が仄かに光りだし、力が漲る。
「よし行こう。」
ダッシュすると地面の土が吹っ飛び、邪魔な木の枝が風圧でへし折れる
一気に時速400kmくらいの速さじゃないかな。
『身体強化』恐るべし。
あれからしばらく走っている。
途中モンスターに襲われそうになったが体当たりで潰しておいた。(回収済み)
殺したからには何かに役立てねば、着いたら売ってしまうとしよう。
いくらになるかわからないが、数が多いからある程度の金額になるとだろう。
そんな感じで考えていると、視界が開けて彼方に壁がそびえ建っている。
昔、アニメで馬鹿でかい壁が出てきたのだがそのアニメの壁と同じ高さだ。
間違いないだろう、あれがベスト王国の首都だ。
俺はそのまま走り、検問を受けて首都に入ろうとしている人々の列の最後尾に加わった。
「どうしよう。 ものすごく暇だ。」
30分くらいたっただろうか、早くも俺の我慢は限界に達していた。元の世界なら本でも読んで時間を潰すのだが、生憎今 本を持っていない。仕方が無いので周りを見ているのだが、飽きてきた。
( 何か面白い事でも起こらないかな......。)
そう考えていたのがフラグだったのかもしれない。あるいはたまたまだったのかもしれないのだが、検問をしている方から悲鳴が聞こえてきた。
悲鳴が聞こえてきた方を向くと、まさしく恐竜と呼ぶのに相応しい生物が暴れている。
恐らく馬車を引かせていたのだが、何かの拍子で暴走状態になってしまったのだろうか。
とにかく、暴れまくっていて、
足元は血の水溜りが出来ている。
3人くらいは犠牲になっている量だ。
これが小説とかならば主人公が助けに行ったりするのだろうが、
俺は助けない。 ただ傍観しているだけだ。
俺は勇者でなければ英雄でもない。
主人公でもなければお人好しでもない。
めんどくさいことはしない,自分のメリットになることしかしない。
人として最低だろう。だが俺は決めていることがある。それは
もう善意で誰かを助けたりはしない。