No.1
少しずつ光が差し込んできて、ふと気がつくと森林の中を立っていた。
辺りからは森林ならではの匂い、水の流れる音。そして様々なところから聞こえてくる生き物の鳴き声などが聞こえてくる。
大きく息を吸い、吐き出す。
( 最近森林浴もしてなかったな。それにしても空気が美味しい。)
おっと ここでのんびりとしていたいのはやまやまだがとりあえず、今は街を目指さなければ。
貰った『アイテムボックス』を見てみると簡易な地図が入っていたので取り出し、
ここから一番近い街を探すと、およそ50km北に行くとベスト王国の首都があるみたいだ。
「じゃあ早速目指すとするか。」
「「「「ぎぇぇぇぇぇぇ。」」」」
「あー やかましい。猿もどき。」
ただいま絶賛逃走中。
北に向かって歩いていたのはいいのだが、猿もどきの群れと出会ってしまったので逃げているのだがしつこすぎる。
仕方がない、殺るか
向きを反転して猿もどきと向き合い、ダッシュ。先頭の猿もどきの頭を掴みそして、砕く。
元々俺の握力はコンクリートの地面を軽々抉り取るくらいの力がある。
異世界のモンスターの頭であっても猿もどき
くらいの頭なら砕ける。
「うきゃぁぁぁぁぁぁ。」
近くいた猿もどきがいきなり水球を出してこっちに発射してきた。
「これが魔法か。 そういや俺ってどうやって魔法を使うんだ?」
疑問に思いながらも水球をよけつつ、猿もどきの頭を足を背骨を砕いていく。
みるみるその数を減らしていくと脇の茂みから先ほどまでの猿もどき達とは大きさが異なる猿もどきが出て来た。
「おそらくボスか、かかってこい。」
「ヴァァァァァァ」
口から水流ブレスを発射してくるが 遅い‼︎
近づき 全力で殴る。
ここで俺は一つ間違いを犯していた。
俺の全力はだいたいトラックがぶつかってきたくらいの力だったから大丈夫だと思って全力で殴ってしまった。しかしそれは間違いだった。
この世界に来てから、筋力が異常に上がっていることに気がついてなかった。
パァン
ボス猿もどきの上半身が消え、そのまま50mくらい、木々などもまとめて粉々に消えてしまった。
「おいおい.........嘘だろ⁈」
しばらくの間、硬直したまま動くことが出来なかった。
あの後、猿もどき達を回収し 歩きを再開している。歩きながら色々と試した結果 、
どうやらあらゆる身体能力が上昇しているみたいだ。
気づかなかったが聴力や視力なども軒並み上昇しており、ただでさえ人外と言われていた俺はさらに人外になってしまったようだ。
まあ、そこまで気にしていない。
それよりも、
「魔法が使えない......。」
さっきから魔法を使おうと頑張っているのだが変化がない。
ここまで悩んだことが無いためちょっぴり新鮮な感じである。
この世界の基準がわからないので何ともいえないが、剣と魔法の世界と言っていたぐらいだから魔法は使えないと不味いだろう。
「しかし本当に使えないな......そうだ。」
忘れていた。アレを使おう。
まさかこんなに早く使うことになるとは。
「『地獄の携帯』」
プルルルルル ガチャ
「はい 閻魔大王です。ご用件は何でしょう?」
「こちらフウスイ。問題発生。」
「フウスイさん どうかしましたか?」
「魔法が使えない。魔法の使い方を教えてくれ。」
「魔法ですね。えーと、その世界だと......発動させたい魔法名を唱えると出来ますが。」
「その魔法名とかがわからないのだが。」
「すみません、入れ忘れていたみたいですね
。すぐに魔法名一覧表を届けに行くので待っていて下さい。」
「頼んだ......。」
しっかりしてくれよ 閻魔大王。