No.16
フウスイ達が部屋に戻りホッとため息を吐く伯爵。その顔には安堵の表情があった。
「無事に彼が依頼を受けてくれて良かった これで心置きなく話し合いが出来るの。」
「それにしてもパッとしない青年でしたが...本当にギルドや他の関係者と話し合うほどの価値がありますのでしょうか?」
「ある 儂には分かる。彼がどれほどの力を秘めておるのかは分からんが何としても味方にしなければならないほどの力じゃ。彼と良き関係を持っておって必ず損ではない。」
「伯爵がそこまでおっしゃられるのであれば我々も全力で力になる所存でございます。」
「うむ、皆には迷惑をかけると思うが頑張って欲しい。よろしく頼むぞ!」
「「「はい!」」」
部屋に戻り幻人にスカーレットの影に入ってもらった。俺自身この世界でどの位強いのかまだよく分からないが称号に神々が畏怖する者とかいうものがあるから多少は通じるレベルと想定している。
そうなると問題はスカーレットだ。スカーレットは炎神の加護があるとはいえ身体はそこまで鍛えてないな。不意打ちや奇襲で対応出来るとも限らないし念のために幻人にサポートして貰おうと考えている。サポートいらないこともあると思うが。
「そういえばスカーレットは得意とする武器は無いのか?」
「.........一応武器は扇子という物を使っていました。」
「扇子!?」
「はい......えっと......はるか東にある東ノ国という国で作られている物の一つです。私の場合炎神様の加護を貰った時に能力の制御用に扇子を授けていただいた扇子を使っています。」
「そうか......その炎神の扇子って今出せるか?」
「はい.........こちらが炎神様から渡された扇子です。」
炎神がスカーレットに渡した扇子。 それはとても美しかった。燃える様な紅蓮色をしており所々に焔の紋章が浮かび上がっていた。更にうっすらと扇子自体が熱をもっているようである。 美術品としても一級品と言っておこう。
「これは............流石神が授けた物なだけあるな。」
「はい...この扇子が私の炎を制御を助けてくれています、それに持っているだけで心が軽くもなっている様に感じたりもします。」
「ちょっと持ってくれスカーレット......天眼発動。」
・炎神の扇子
破壊不可能 神具
炎神がスカーレットに渡した扇子。現在は炎の制御補助の役割だが本来は炎神の炎が使える様になるマジックアイテム。
その炎はいかなるものをも焼き尽くし破壊する。全ての炎の元であり、生物に繁栄と崩壊をもたらした原初の炎。忘れる事なかれ己を持たぬ者にこの炎は扱えぬ。己を忘れる事なかれ 忘れる事があればその時汝 破滅するだろう。
「なるほど よく分からん。」
「.........もしかして鑑定をされたのでしょうか?」
「あぁ 問題あったか?」
「い...いえ 神々が与えし物などは鑑定不可能だったので......。」
「普通に出来たけど......それはそうともう寝た方が良いぞ 明日は早めにここを出発して森を目指すからな。」
「......了解しました。」