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第5話

6:50 カーテンの隙間から強烈に差し込んでくる朝日で紫苑は目を覚ました。

「うぁー、、あぁ」

伸びをして、立ち上がる。


紫苑の朝の習慣その一、起きてすぐ腕立て。中学野球を途中までやっていたせいで、この朝一筋トレという癖が抜けない。20回を2セットやったら、

次は腹筋、背筋どれも20×3セットをこなす。


習慣その二、歌を一曲聴く。自分で厳選した良曲で耳に幸せをもたらしてから、紫苑は下に降りていった。


「あ、兄さん、おはよぉ〜〜お風呂にする?ご飯にする?それとも、わ・た・し?♥︎」

「飯にしてくれ」

真顔で紫苑は言った。

妹の沙愛。紫苑が3歳の時、沙愛の両親が交通事故で亡くなった際に紫苑の両親が引き取ったのだ。


つまり、沙愛と紫苑は義理の兄妹。遠い親戚(本当かどうかは不明、多分嘘だと思っている)だと母は言っていた。その頃は紫苑の父も母と仲良くやっていた。時期的に不倫は始まっていたと考えられるが。


多分、沙愛は紫苑が義理の兄であるとは知らないだろう。紫苑もこのことは墓まで持っていくつもりでいる。

顔つきが大人びてきて、沙愛が兄と顔が似てないことに疑問を覚えなければ良いが。


「ノリ悪いなー兄さん、愛しの妹の誘いなのにぃー」

「妹を恋愛対象として見てる奴は、世間的にやばいやつだと思われるからな。ただでさえ両親がいない兄妹だけの家庭なのに、これ以上周りから変な目で見られたまるか」

「まったく、これだから兄さんは、モテナイんだよー。」

「それは悪かったな。」

沙愛はまぁ、世間でいうブラコンというやつだ。こんなんで学校ではどうしてるのか、お兄ちゃん非常に心配だよ。


「兄さん、今日は何時に帰るのー?」

「今日は2日目だからな。昼飯食わずに帰ってくるだろ。夕飯の買い出しは俺が行っとく」

「わかった!よろしく」


いつも通りの2人での朝食。紫苑はこの時間が好きだった。たしかにブラコンであたまおかしい妹だが、紫苑の唯一の家族なのだ。

朝食後、紫苑は皿を洗う。皿洗いと洗濯は2人で交代してやっていた。


7:30 2人同時に家を出る。沙愛はソフトテニス部に属しているが、朝は朝学習があるため、朝練はない。

「じゃあな。また夕方」

「いってらっしゃーい!と、いってきまーす!」

沙愛の中学校は紫苑の高校とは反対方向。紫苑はこの後、紅と一緒に登校する約束をしていた。朝、L○NEきていたのだ。


しかし、入学して2日目の朝というのはこうも気が重いものなのか。リア充共は新たな出会いなんぞ求めて、張り切って学校に来るのだろうか。いずれにせよ紫苑は思い足取りで川村家へむかっていった。

川村家の前には既に紅が出てきていた。

「おっはよー、紫苑ちゃん!!!!!!!!!!!」

紅は朝からびっくりマークが語尾にたくさんつきそうな大きお声で挨拶をかましてきた。

「おはよう、朝からテンション高いな、紅。」


どうしてこうもハイテンションでいられるのだろうか。俺とはなにこ違うエネルギーで動いているのだろう。

この有り余ったエネルギーを変換して電気にできたら、どれだけ日本のエネルギー問題が解消されるだろうか。


「だって、あの人達のなかに行くんだよ?これくらいテンション上げてかないと重圧に押しつぶされるよぉ--」

「あの人達ってあの忌々しき発情猿どものことか?」

「ん?発情猿って?」

「い、いやなんでもない」

「うん?まぁ、いいや。紫苑ちゃんって突然不思議なこと言うとこあるよね。」


うっかり心の声がでてしまった。気をつけなければ。てか、今までも変な発言したことあったのか俺、泣ける。

「そうだな..確かに奴らの中に行くんだものな...よかった同士がいて。俺も嫌だぜ、奴らの中に行くの。」

自分で言っておいてなんだが、入学2日目で学校が嫌だなんてかなりマズイんじゃないだろうか。典型的引きこもりになるパターンだ。

引きこもりにはなりたかない。バイトもあるし、紅を一人にはしておけなおもんな。


そんな会話(負の会話)を続けていたらすぐに学校の正門前だ。通学時間僅か8分。徒歩でこの時間だから自転車を活用すれば2分程度で着くんじゃないだろうか。


校内はまだ人がまばらだった。朝練に励む2.3年生、廊下で雑談している生徒はいたが、紅と一緒に教室に入ると教室には1人しかいなかった。7:45、始業時間まではまだ30分もあった。

「そう言えば...あの人見覚えあるよ...えーっと..」

紅が突然、席についていた先客を指さす。確かに見覚えがあった、確か..そう、昨日、入学式で入学生代表として壇上にたった柊友香という生徒だ。


「君は....通称9.11という爆破テロを知っているか?」

突然、前を向いていた柊が話しかけてきた。いや何この人?頭が良すぎて少しやヴァイ人?どうする?無視する?とも考えた。..でも聞かれたものを無視するわけにはいかない。

「す、少しは..ニューヨークで起きたあの事件ですよね?」

とっさに聞かれて「あの事件」なんていってしまった。知らねーんじゃねーかなどと思われただろうか。

「そう..あの事件、だ。近いうちに似たような事が起こるかもしれない。君も気をつけるんだな。」

そう言って柊は教室を出ていった。


「ねェ..今のどう言う意味?」

紅が不思議そうな声を出す。いや俺も知らねぇし?なに9.11に似たことって、爆破テロおこんの?

「さぁ...ちょっと何言ってるかさっぱりだった。」

「だよねぇ、変な人」

俺も同意見だ、意味がわからない。その時点で俺は柊のことを「成績良すぎて頭おかしくなっちゃった、サイコパスみたいな人」と、認識していた。あ、あと声はイケボだった。これはどうでもいい。

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