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第1話

「こいつはどうだ」

「問題ない。一般人ランクAに分類される」

「じゃあこいつだな。能力も身分も申し分ない。」

「了解した」

「人類の進歩のためにも多少の犠牲は必要だ。」

瞬間、あらかじめセットされていたPCのプログラムにより計画が開始された。

「さぁ、世界を変えようか。」



4月9日、世間では入学シーズンと呼ばれる時期だ。ここ、区立東山第二高校もその例にそぐわず、入学式の日だった。文字通り、雲一つない春爛漫といった快晴である。


大通りの横にある桜並木も今が満開。入学シーズンに桜が満開などということは、ここ数年なかったと記憶しているが今年は違った。


弱くも強くもないちょうど良いと言える日差しが新入生の入学を祝っているようだ。と、いうのは言い過ぎだろうか。そんな中、桐藤紫苑は学校の正門をくぐるところだっと。

「よぉ、紫苑、久しぶりだなぁ。」

「まだ二週間しかたってないだろ?亮、受かってよかったな、受験」

斎藤亮、中学の時同じクラスだったやつだ。なにかと紫苑に話しかけてくるが、正直、鬱陶しいことも多い。


区立東山第二高校は偏差値55が合格基準とされているが、中3の8月時点で偏差値40弱だった亮がここにいるのは神々の怠慢か、神々の気まぐれのどちらかだろう。

「今日から花も恥じらう高校生だぜェ~紫苑。」

「そうだな。かってに恥じらっていてくれ」

「なんでだよ~、一緒に恥じらおうぜ~」

「遠慮しとく」

「まぁ、なんでもいいけど、可愛い子さえいれば。」

「お前ほんとそればっかだな、入試、ギリだったんだろう?人の倍はやらなきゃついてけねーぞ」

「えー、なんでだよ!まずは彼女だろう?どんな子がいるかなー。」

「中学の時5人にフラれてまだ懲りないのな。お前のその精神力だけは賞賛に値する。」

「まじ!ほめてくれんの?」

こいつの《三ヶ月で5人にフラれる》というのは記録だ!とかいって男子の間では盛り上がっていたものだ。女子には惹かれまくっていたが。

紫苑はこのことを聞いたとき亮を避けようかと考えて、実際に行動にも移したのだが、どうしたことか今もこうして会話をしている。

「あー、うんすごーい、すごーい。」

「馬鹿にしたな!紫苑!!

見とけよ、俺に一週間で彼女ができても腰抜かすなよ!」

「それは期待して待ってる」

偏差値は頭の良さに比例しないと思って いたがその通りだ。こいつと話していると頭が悪くなる。


やはり、こいつといてもメリットはない。やっぱり友達やめるべきだろうか?

「人多いなー、これ、全部新入生?」

「だろうな。全校生徒2400人、区立にしては生徒数多めだしな。まだまだいるだろ」


玄関には500はいるだろうか、とにかく人口密度が高い。皆、知り合いやら友人やらを見つけて楽しくおしゃべりしている。

「やぁー紫苑ちゃん!」

「おお、紅か。早かったな。」

川村紅。紫苑の近所に住んでいる紫苑の幼なじみ。150cmにみたないであろう身長、平らな胸、肩で切りそろえられた髪、一見小学生と見間違えられそうだ。

「うん!あっ、紫苑ちゃん私と同じ3組だよー。」

「そうか、知ってる人がいて良かった。」

「知ってる人ってなによーっ!わたし達の仲でしょう?☆」

「誤解を招くような言い方をするな」

なにがわたし達の仲だ。

でも、この紅はすぐ男に取り入りそうな雰囲気を醸し出してるのに、そうでもないららしい。

むしろ中3の時男に告られた時には全速力で逃げたそうだ。しかもその告った男子というのが亮。だから亮は紫苑と紅が一緒にいるときは無口になってしまう。

「えっーとお、、、、田中君?あれ、鈴木君だっけ?」

そして、興味のないものには関心を示さず、人の名前もろくに覚えないのが紅であった。

「あ、、えっと..斎藤です..」

告白までしたのに名前すら覚えられていない亮が多少不憫ではあるが、スルーしておく。

「アッー!斎藤君だ!思い出した!」

思い出すほど時間たってねーんだよなぁ、いいのか?亮涙目だぞ?


「俺は3組で紅も3組で、亮は何組?」

「まってて、見てくるっ!」

小柄を活かして紅は群衆の中をスルスルとかけていった。

「紫苑ー俺泣きてぇよ。。。」

「そうだな、好きだった女の子に告白して返事をもらう前に走って逃げられて未だに名前覚えてもらってないんだもんな、気持ちは察する」

「い、いちいち声にださなくてもいいだろっ?ま、周りの目がっ!」

言われて見回してみるとそのとおり、近くにいた生徒から亮に冷たい視線が向けられていた。

「すまん..」

「ただま〜、斎藤君もわたし達と同じ3組だよー」

紅が明らかに残念そうな顔をして言う。亮のことが嫌いなのかどうかはわからないが、少し露骨すぎる。

「本当?よっしゃ今年も宜しく!紫苑!」

「あ、ああ、そうだな」

亮と距離が遠くなった気がしたが気のせいだろう。














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