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思考こそが最強の武器である〜脳内の謎の声に「お前の意思は死んでいる」と宣告された俺が、能動的思考でバグった日常を攻略する話〜  作者: pajiru


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7/10

必死な思い

『とにかく明日4時半にアラームを合わせてしっかり走りに行くんだ』


「わかったよ」


 俺は渋々こいつの言うことを聞きスマホのアラームを4時半に合わせた。


 現在の時刻は午後8時過ぎ。

 寝るには少し早いがもうやるべきことは一通りやり終えてしまった。


 これからどうしようと悩んでいると...


『本を読め。そして勉強しろ。』


 またこいつだ。

「あのな俺はお前の言いなりになんかなってない。お前の言うことだけを聞くなら俺はお前の奴隷じゃないか」


『お前は今なにをしようとした?その伸ばしている右手はどこに向けたものだ?』


 俺は無意識だった。

 いつのまにかベッドにスマホを置いていてそのスマホに手が伸びていた。


『ここから寝るまでの1時間。私はお前に自由の刑を与える。なにをしてもいい。ただ自分の意思を使って行動をするのだ。』


「自由の刑だって?そんなゆるいのでいいのかよ」

 俺は少しこいつの甘さと言うものを感じた気がした。


『あぁ。これでいい。これでこそお前の成長が与えられる。今から1時間好きにするが良い』


 好きにしろか...


 俺は一瞬スマホに伸びていた手を引っ込めて考えた。

 俺がやるべきことは何か。


 動画見るのは違う。ゲームするのも違うか...


 じゃあスマホは使わないとするとこの暇な時間をどう過ごす?


 なにもせずに過ごす?いやそれは勿体無いしな。


 俺は熟考の末学校でいつも読んでいる歴史の本を手に取った。


(結局こうなるのかよ...)


 歴史の本に没頭し気がつけば一時間経っていた。

 スマホを眺めていた一時間とは何か違う。脳が少し休まった感じがする。


「一時間しっかり俺の意思で行動できたぞ」


『悪くない時間だったな。これからもそうするがよい』


 これからもやるのかよ...


『とにかく明日4時半に起きる。そうしろ』


「わかったから」


 俺は本を机に置き、ベッドに潜り込んだ。

 明日は起きれますようにと願って眠りにつくのであった。


 ピピピピピピピ


 俺は右手でまぶたをこすりながら目を覚ました。

(今何時だ...)


 4時半か。

 そういや昨日約束したんだったな。


(あーだるい)


「おい。これからどうしたらいいんだよ」


「おい」


「きいているのか?」


 何度読んだところで返事があんまりない。


 とりあえず顔を洗ってこよう。

 俺は重い足を動かして1階へと向かった。


(流石に両親は起きてないか...)


 まだ4時半と言うこともあり流石に起きていないようだ。


 自分の部屋へと戻り身軽な格好に着替えた。


(なんでこいつは返事がないんだろう)


 俺は疑問に思いつつも走りに行く前に少し歩いた方がいいだろうと思い、玄関の扉を開けた。


(まだ5月とはいえ寒いな)


 昼はもう暑い時期に入ったが朝は俺にとっては少し寒いのである。


 1分ぐらい歩くか。


 走る前のウォーミングアップということで俺は歩き始めた。


 50歩ぐらい歩いた時だった。


『あぁ。目を覚ましたか』


 やっとこいつが返事をした。


「お前なんでさっきまでいなかったんだよ」


『私はここに存在している。過去を振り返る必要はない』


 またそうやって話を逸らしやがって。

 俺は少しわかった気がする。

 こいつがアラームとして機能しない理由。


 そしてそれを隠す理由が。


「お前脳が休んでいる時お前も寝てるんだろ」


『ほう。そこに気がつくとは、少しは成長したかな?』


(誰でもわかるだろ)


 俺はそう思ったもののなぜか心の中が少しだけ満たされた気がした。


「というかここからマジで5km走るのかよ」


『そうだ』


 5kmか。俺が過去に走ったことあるのは1.5kmだけだ。

 結果は7分前後。


 全力で走ったとしてもその程度の実力ということだ。


 しかもそれは1.5kmというだけでその先さらにペースダウンすることは目に見えている。


『とにかく走れ。お前の脳のゴミを全て取り除かなければならない。そして脳みそのアップグレードをしろ』


(そんなんで本当に脳が育つのかよ...)


 俺は疑問に思いながらも走り出した。


 最初の100mぐらいは普通に走れるのだが200mぐらい走るとどんどん辛くなってきた。


(ペースを落とそう)


 俺は流石にこの短距離でばてている自分は危険だと思いペースを落とした。

 そしてなんとか1km地点突破。

 こいつの指令では2.5km先に行ったところで折り返せということだがまず2.5km地点まで辿り着けるだろうか。


 俺は不安を頭に抱えながらもなんとか2.5km地点の目印が視界に入った。


 いつも母親が利用しているコインランドリーだ。

 早朝ということもあってか薄暗い電気がついているだけだった。


 俺はこの地点を折り返しに家まで向かった。

 途中何度も何度も折れかけたがあの日の俺にはもう戻りたくなかった。

 弱い自分を変えたかった。


 その一心でなんとか家まで辿り着いた。


「はぁはぁ」


 なぜか呼吸音がピーピーいって機械のような音になっていた。


 タイムは大体40分ぐらいだろうか。


(家に帰って少し休もう)


 俺は玄関の扉を開けてなんとか家に入ったものの玄関でばててしまった。




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