あかり小学5年生。堂々たる一歩・・・空手道場で金的蹴りを教わって
あかりは小学5年生。
クラスではいつも隅っこに座って、誰とも目を合わせない根暗な女の子だった。
友達はほとんどいなくて、休み時間は本を読んでいるか、一人でぼんやりしていることが多かった。
お母さんはそんなあかりを見て、心配していた。
お母さん「もっと堂々としてほしいわ。あかりは可愛いのに、いつも下を向いてるのよ。自信を持ちなさい!」
そう言って、お母さんは近所の空手道場に無理やり連れて行った。
護身術にもなるし、姿勢が良くなって堂々とするようになるはずだ、って。
道場に着くと、道着を着た子供たちが元気よく「オス!」と挨拶を交わしていた。
あかりは怖気づいて、お母さんの後ろに隠れた。
でも、もう逃げられない・・・そして体験入会が開始する。
師範は厳しそうな中年のおじさんで、最初に基本の挨拶と姿勢を教えた。
みんなと一緒に「礼!」をするだけで、あかりの心臓はバクバクだった。
そして、初日の練習の後半。
師範がみんなを集めて、真剣な顔で言った。
師範「今日は大事なことを教える。
護身術として、相手の急所を知っておくのは重要だ。
特に女の子たちは、男の人に襲われたときの対処法を覚えておけ。」
道場には男の子も女の子も混ざっていた。
みんな小学生くらい。
師範は黒板に簡単な人体図を描いて、説明を始めた。
「男の人の急所で、一番効くのはここだ。股間の部分。金的と言う。
蹴りが当たると、どんな強い人でも一瞬で戦意を失う。
痛みがすごくて、動けなくなるんだ。」
あかりは顔を真っ赤にした。周りの男の子たちも、なんだか気まずそうに下を向いている。
女の子たちは興味津々で師範の話を聞いていた。
「でも、練習では絶対に本気で当てちゃダメだぞ。
今日はミットを使って、金的蹴りのフォームを練習する。
女の子たちは特に、しっかり覚えなさい。
堂々と蹴れるようになれば、自信がつくはずだ。」
練習が始まった。
師範が持つミットを、みんなが順番に蹴る。
普通の前蹴りだけど、狙いは低い位置。
「あかり、君の番だ。堂々と! 目を合わせて、気合を入れて!」
あかりは震えながら前に出た。
ミットは師範の股間の高さくらい。
想像するだけで恥ずかしくて、足がすくむ。
「オス……!」
小さな声で気合を入れて、軽く蹴ってみた。
ポフッ、という音がした。
「もっと強く! 堂々とだ! 相手が悪い人だったら、遠慮するな!」
もう一度。
深呼吸して、目を細めて……
「オスッ!!」
今度はちゃんと当たった。
ミットが揺れて、師範が「よし!」と頷いた。
周りの子たちが拍手してくれた。
男の子の一人が「痛そう……」とつぶやいて、みんな笑った。
あかりも、初めて少し笑顔になった。
練習が終わって、道場を出るとき。
お母さんが待っていた。
「どうだった? 楽しかった?」
あかりは少し背筋を伸ばして、答えた。
「……うん。ちょっと、怖かったけど……また来る。」
それからあかりは、少しずつ変わっていった。
道場で金的蹴りを練習するたび、堂々とした気持ちが湧いてくる。
根暗な自分を、蹴り飛ばすみたいに。




