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推しに襲われるとかあり?



 はぁはぁはぁはぁっ


 山林を無我夢中で走る、きらびやかなドレスに身を纏った令嬢が一人。

何かに追われるように息を切らして走る。


 はぁ、だめ!息がもう続かない!こんなに走ったのは生まれて初めてだもの!


 グレージュ色のありきたりな髪色を振り乱して走るのはそう・・・紛れもなくこの私だ。

後ろから私を追う声が聞こえる!それが余計に私の恐怖を掻き立てた。




 どうして???

私はただ、推しに合いたくてこの世界に来たのに・・・、理由はただそれだけなのに、私が何をしたっていうの?

 どうして私が命を狙われているの?!


 身に覚えのない非難と、突然の追従。

この一連の出来事に、悲痛の叫びが胸に溢れるけれど、半分この足がいつ止まるのか怖くて怖くて仕方がない。今から振り返って無実を証明することがいかに困難であるか、本能で感じ取っているよう。

だけど私はとうとう、蔦に足を挫いて倒れ込んだ。


「待てー!」


 複数の声が遠くで聞こえる。だが、まだ周囲には誰もいない。夜の山林に紛れてこのまま、倒れ込んだまま逃げてしまおう。

私は後方を確認するとそのまま匍匐前進しようとしたその瞬間。


 「待て。捕まえたぞ。」

と頭上で聞こえた。その刹那


 ーザクッ!


 私の頬をかすめた、刃が顔と右手のすぐそばで突き立てられた。

低く、そしてよく通る声で頭上の男はさらに脅迫を続ける。


 「お前が、あの(西の魔女、プレデリアだな)」


(そうよ!私がプレデリア よ。だけど、何?その西の魔女って?!魔女でどういうことよ!)


 反発しようと私は顔を上に向ける。男の顔を確認して、思いっきり罵倒しなけらば気が済まない。そんなわけのわからない言いがかりで、私が今追われているのだとしたら許さない!


 私は食ってかかろうとして彼を見ると、そこには月明かりに照らされ焦点が合わないが、シルエットが明らかに美しい容姿の男が立っている。

 こんな色男が私に何の用だろうと目をかすめながら見つめると、ホワイトゴールドの髪に碧眼、鳳凰の軍服を身に纏った大いなる大御神様がいるではないか!!!!!!!


 「へっ、なぜクロー様がココに!@▲+。!」


 後半は興奮しすぎて自分でも何言っているかわからない言葉が出た。内心唾が出そうなほど美しいその姿が私を険しく見つめている。嬉しすぎる!!


 「俺の名を知っているのか、さすが魔女だな。」


 知っていますまとも!だって私はあなたの大ファンなんです!前前世からのね!!

 どうしてこの世界におられるのですか?私前世はずっとあなたを探していたけど会えなかったのに(ピエン)

・・・と言いたいところだが、私は今刃突きつけられている身。せっかく会えたのに、その瞬間押しに殺されては、(すごくすごく光栄だけど)私がここに来た意味がない。

 まだ推しを目の前で死ぬわけにはいかない。きちんと誤解を解かなければ。


 「あ、あの、魔女・・・?とさっきから言ってますけど、何のことでしょうか・・・?」


 「はっ。とぼけるつもりか?

 おまえがあの魔王を封印から解いた忌まわしき魔女だろう?お前の古屋を怪しい召喚陣を既に確認済みだ。」


 ぎゃーっ!推しが私のあんな汚い家に来た挙句、あの召喚陣を見つけたなんてーーーー!!!!

 恥ずかしすぎるーーーー!

 と叫びたいところだが、きらりと光る目前の刃を見て理性が保とうと咳払いして立て直す。

 

「私は魔女ではありません。決してそのような恐ろしいこともしておりません。」


 事実、疑われるようなものがあろうとも、本当に私はそんなことをしていない。それを推しのアレン・クロー辺境伯様に疑われることが何より苦しい。


 私は、訴えるように彼を見つめた。今は何も否定できる材料がないのだ。

 彼もまた、私の目をしっかりと見つめている。真実を探るように、冷徹に。

 

 束の間、彼が一言放った言葉で私はさらに動揺することになった。

 冷たく荒ぶ山間の風が一旦静かになった。


 「ならば、私に口づけしてみろ。」


 「・・・・・・・・・・・。(へ?)」


 「・・・・、やはりお前は、魔女だな。」


 「・・・・・・・・・!?(ドユコトーーーーーーーーー!!!!!)」


 「お前が俺に口づけできなければ、西の魔女としてお前の首を切り落とす。」


 そう彼が私の前でしゃがみ込んでいうと、顔を直ぐ目の間に近づけた。

私は変な声を漏らし耳まで赤面し、この状況を飲み込むので精一杯だ。

 その間も私に容赦ない熱い視線が注ぐ。


 「い・・・いいんですか?」

私は馬鹿みたいな返答すると、彼からそっと私の方へと近づいてくる・・・・。


 (私、私は、推しに会えるならまだしも、


 まさか、今、き、キスされようとしてるのーーーー?!)




 


 私の心の叫びが月を目掛けてとんど行くように、バタバタと数羽の鳥が一斉に飛び立った。








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