ラブ・アゲインスト・ザ・ドラムマシン
ちぇけらあっ!(出来らあっ!)
いつものように、郁子は自室のベッドでゴロついていた。
なんかノリでバンド組むことになっちゃったし。
こうなったからには今後の方向性でも検討するか。
このバンドの骨格は、なんといっても薬子のドラミング。
驚異的なテクニックだし、とにかくこれが中心軸になる。
その上で、私はなにをやるべきか、だよなー。
ベースで簡単なフレーズくらいなら弾けるけど。
まず聴くのが好きだからおさわりもしてみてるだけで、正直いって
そんなに上達したいっていう情熱があるわけでは、ないんだよねー。
弦がふとましくて指が痛くなってきちゃうしさー。
そうなると、なんか別のパフォーマンスをした方がいいのかしらん。
今日うまくいったのはスキャットだったし、やっぱりボーカルかな。
私あんまり目立ちたくないし歌だけっていうのも怠惰な感じするけど。
ポエムけっこう好きだしラッパーみたいなのがいいのかなー。
あとそれはそれとして、管楽器のラッパも吹いてみたいわね。
郁子は話すと性格が明るいのであまりそうは思われていないが、
読書が好きで素養としては文学少女といっていいタイプだった。
家柄としては庶民なのだが、おとなしくて基本は育ちがいいので
逆に動画サイトでは普段はあまりエンカウントすることがない
オラついたタイプの人たちを眺めて刺激を得るのが好きだった。
そういうわけで、ヒップホップにはそれなりの造詣があるのだった。
単純に不良が荒ぶる様子が面白かったし、そんな荒くれた人たちが
たまにしおれて神に救いを求め歌うとき。郁子は素直に感動していた。
よし、ひとまず私はラッパーになろう!
フリースタイルとかはまだ全然無理だし、
韻にこだわりとかはあんまりないけどさ。
なんか思ったことなんかを素朴にポエミングすればまあ形にはなるやろ。
薬子がドラムだったのがラッキーだったよね。ドラムとポエムだけでも
立派に成立しちゃうもんね。あと足りないものはゲスト呼べば解決だね。
今後の活動の予定までは特になかったが、ここに
一人のMCが、マイクを握る決意をしたのだった。
イメソンは、ヌジャベスとシンゴ2の「Luv (sic)」。
とりわけpt1~3がオススメですね。要チェックや!
和訳付きの動画もありますので、それがベストです。
https://youtu.be/M4rgc3PMqWM?si=YqyNRZ7yPTLj3yhx
ちなMC郁子はだいたいこういうイメージですわよ。
https://www.pixiv.net/artworks/123762714