大体なんでも斬る聖女
フォッフォッフォッフォッ。
よく晴れた日の昼休み。
郁子は二本のハサミをいじくりまわしていた。
これ、どう考えても聖騎士が持つ武器じゃないよな。
どちらかといえばホラーとかの猟奇的な人が使うやつじゃん。
私の方向性、間違ってるのかなー。
「郁子、どうしたの?ちょっと様子が変だよ。
どうしてハサミを二本も持ってるの?
大丈夫?おっぱい揉む?」
めずらしく休み時間に薬子が話しかけてきた。
「わーい!おっぱいボヨヨンでち!…じゃなかった、
いや、これはほら、あれだよ。古き良き時代の特撮にさ、
ウルトラマンってのがあってね。なんかそれに出てくる
バルタン星人ってのは両手がハサミなんだって。
私もさっきYouTubeで知ったんだけどさ。だからね、
そういう一発芸でもやれば先生たちがよろこぶかなって。
フォッフォッフォッ。」
「郁子、どうしたの?頭でも強く打ったの?
大丈夫?おっぱい揉む?熱でもあるんじゃないの?」
こういうとき薬子の行動は迅速で大胆だ。
光の速さでおでことおでこをくっつける。
「わっ!やっぱりすごい熱あるじゃん。
保健室に行って安静にした方がいいよ。
担任の先生には私から報告しとくから。
大丈夫?一人でもいけそう?」
「えっ、マジ?知恵熱でも出ちゃったのかなー。
大丈夫、一人でもいけるから。あとおっぱい揉ませて。」
人目があるのでおっぱいは揉まなかったが、
郁子はフラフラのフットワークで保健室に向かう。
あっ、そういえば保健室にはすげー先生いたじゃん。
なんかヒントもらえるかも。あとおっぱいも揉めるかも。
「先生、おひさー。ちょっと熱あるからベッド貸してー。
あと相談したいこともあって。それにおっぱいも揉みたいな。」
「いきなり現れて何を言ってるんですか。
あなた疲れてるのよ。とりあえず横になりなさい。」
彼女の名はシスター紅葉。シスターでありナースであり
国語の教師でもある才媛である。懺悔室のキャリアを活かし
生徒の相談にも親身に応える誰もが崇める聖女であった。
「それで、相談というのはなんですか?
ささいなことでも構いませんよ。何でも話してごらんなさい。」
「じゃ、遠慮なく!ところで俺のハサミを見てくれ。こいつをどう思う?」
「なんですか、物騒な。なんで二本なんですか。
バルタン星人なんですか?フォッフォッフォッ。」
「先生やっぱノリがいーね!いや私ね、いざというときは
この二本のハサミでね、大事な人を守ろうと思っててさ。
でも、ハサミはしょせんハサミだし。こんなんでいいのかなーって。」
「ありきたりなことを言いますけど、大事なのは心です。
獲物ではありません。私だって魂が荒ぶっていた時期には、
釘がたくさん刺さったバットを振りまわしていたものです。
でもね、大事なのは何のためにその武器をぶんまわすか、ですよ。
己のちっぽけなプライドではなく、大事な人のために力を振るう。
立派なことですね。その気持ちさえあれば、間違えることはありませんよ。」
「先生って釘バットとかぶんまわしてたの?マジおっかねーな。
聖女に金棒ってやつ?そんなことわざ聞いたことないけどさ。
でも、ありがとう!私にもよくわかったような気がする。じゃあ寝るね。」
「ゆっくりおやすみなさい。釘バットの件は他言無用ですよ。」
先生の答えは、きっと正しいんだろう。正しいんだろうけど、
それならハサミやバルタン星人である必要も別にない気もする。
まあいいや。急ぎじゃないんだし、ゆっくり考えればいいよね。
おやすみー。
私はVTuberさんのガワについてはあまり関心がないというか、
中の人がこんなに優れた演者なんだからもっとかわいくしてあげたらいいのに、
とか思うことが多いんですが、クレアさんだけはガワも中の人の
パーソナリティやパフォーマンスも全部込みで大好きなんですよね。
やっぱりリアルガチ聖女だからなんでしょうか。本当にすごい方だと思います。
https://dic.pixiv.net/a/%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%82%A2
イメージソングは、フィッシュマンズ「Pokka Pokka」。
てぇてぇてぇてぇてぇてぇてぇ。
てぇてぇてぇてぇてぇてぇてぇ。
てぇてぇてぇてぇてぇてぇてぇ。
てぇてぇてぇてぇてぇてぇてぇ。
えー。
https://youtu.be/q4V72ZJEWII?si=imASBo6E49WGe9ZR