暗黒武闘家
妄想って楽しいですよね。
聖女を守る、聖なる騎士になる。
さしあたり、やりたい方向性は決まった。
でも、そのためにはどうすればいいんだろう。
自室のベッドでゴロゴロしながら郁子は考える。
「私たちまだ学生だし、とりあえず財力とかは置いといて。
やっぱり腕力なのかな。力こそパワーとかいう格言もあるし。」
郁子の学校では護身術についても教えていた。
それに郁子もオシャレに無頓着なだけでなんだかんだ
顔はかわいいしスタイルもいいので制服姿だと特に危険である。
実際、変なのにエンカウントしてしまうこともあるのだが、
逃げ足が速いし持久力もあるので今までは事なきを得ていた。
痴漢みたいなのがおさわりしてきたときも、小指をつかんで
反対方向に折り曲げる荒業を迷わず実行して事なきを得ていた。
「私だけなら大声も出せるし、どうにでもなるんだけど。
薬子はあのボディだしいろいろ考えないといけないよなー。
いつか妊娠させちゃったら(させられない)
身重になっちゃうしもっともっと大変だよ。」
郁子に格闘技の心得は特にはなかったが、
格闘ゲームやマンガはけっこう好きだった。
そういや最近やったゲームにこんなセリフあったな。
「体術なら大男にだって負けないよ!」
体格のいい男となんて正直いって絶対に戦いたくないけど、
方向性としてはこのポンコツ忍者みたいなのがいいのかなー。
郁子はシャドウボクシングをするノリで漫画の必殺技も真似していた。
デンプシーロールはやり方がどうしてもよくわからないので諦めたが、
煉獄という空手の連続技はそこそこ繰り出すことができるようになっていた。
現実に打撃を全て当てるのは難しいが、寸止めでも威圧になら使えるだろう。
「あとはー、相手が複数の場合だってあるあるだろうしー。
なんかインパクトがでかい切り札も用意しておきたいよなー。」
単純な腕力で男と戦うのは、はっきりいって無理筋だ。
急所を叩き潰すのが最も手っ取り早い勝利への道だが。
「おちんちんを最短距離で狙う女とかさー。
傍から見たら私の方が変態に見えちゃうじゃん。
そんなの絶対にいやですわ、いやですわ!」
郁子も年頃の女の子なので、たまに思考が暴走する。
「ハサミを両手に持って、ちょっきんちょっきんやりながら。
股間をじーっと凝視して、不気味な暗黒微笑を浮かべるとか。
これでよくね?ここまでやれば大抵のやつは引くだろ。
つかこれで引かないやつなんてなにやっても無理だろ。
よし、これで決定!これでいこう!もう眠いから寝る!」
いつの間にか、聖騎士のイメージとかけ離れた
クリーチャーが生まれてしまっていたのだった。
まあ、ときにはそんな夜もあるよね!(ない)
セリフの引用はロマサガ2のアザミから。
https://www.pixiv.net/artworks/125038942
煉獄が出てくる喧嘩稼業は大傑作です。
読んだことのない方にはぜひオススメ。
https://dic.pixiv.net/a/%E7%85%89%E7%8D%84%28%E6%8A%80%29
イメージソングは、小島麻由美「プレイガーリー」。
https://youtu.be/wjDBcpPSOUs?si=nfCIp_nWGtpLTPBd