あら?最近、仕事できるじゃない!
ガサゴソガサゴソ……
「あ~ぁ」
いい加減、止めてくれねぇか。と思う事がある。
なんでも会社に偉いのが視察に来るので、職場の整頓や掃除をしとけと。もちろん、残業代はねぇけれど。それはどうでもいいけれど。
「溜め息をつかないでください。昔と違って、4人ほどですから」
「暇人共め」
昔はその人数が3倍はいたからな。配達の現場の人手不足に対して、3倍の人数で監視に来てたからムカつくんだけどな。
いつになっても、お偉いさんとやらは現場にやってきて、食堂の飯など、最近の同僚の話しなど。世間話をして帰っていく。それだけだとまだ助かるんだが、余計な口出しが面倒だ。現場をよく知らないのが多いし。最近、それで笑ったことは『この仕事ってどーいう仕事なんですか?』って、監視に来た奴が言う始末だったからな(成り立ての監視さんだったけど)。何しに来たんだ、テメェ。
「いらねぇ紙の処分だ、どーこのなら、ペーパーレスに励め」
「はいはい。矢木さん」
社員全員が2分ほど時間を使えば、ちゃっちゃと終わる。
「ん?なんすか、これ」
そんな整理整頓中、新人さんが見つけてしまったものがある。
中身はただの苦情の紙なんだが
「矢木さん、実さん。これ、なんですか?」
新人さんも聞いてない話である。大分、昔の事であり、……それを今の今までとっておくのは、ヤベェ客なのは周知なこと。
新人が紙を持って来ると。
「お、懐かしいなぁ」
「うわぁ~…………有りましたね。そんなこと」
「……物凄いこと書いてあるんですけど」
ギャップにビックリすると思うし、今はそーじゃなきゃいけないという状況だ。
「そのお宅ね。マスク着けて配達するんじゃねぇーって、凄い昔に文句を言いに来てたの」
「不審者だと思うだろうがーってな」
そんなんでクレームをあげて、課長クラスに対応させるって、……今じゃ考えられねぇな。
◇ ◇
会社の整理整頓がてら、クレームの紙にして、中々捨てられない紙と情報である。
ぶっちゃけの迷惑は相手側が非常に問題じゃね?って事である。
「最近、そーいう案件は減ったな」
「たぶん、煽り運転だのSNSの大幅な普及で止めたんだと思いますよ」
これ書いてる人も半分以上はストレス解消だからだ。
誰かに何かをぶっちゃけたい事はよくある事がし、健康的なことだ。ただ、ぶつける相手や存在をちっとは考えて欲しいと思う。
開かずの間に近いような、しょうもねぇクレームが書かれた紙が……だいたい9年分あるのだろうか?ファイリングされた代物があるのだ。この中には新人時代の実や矢木の2名が起こしたクレームもあるが、もう仕事を止めてしまった人達が起こしたものまである。
「木下さんと山口部長以外、全部は知らないかと」
「あの2人が同期に近いらしいからな」
実はこれが1つだけではないらしい。
そんな古い出来事でも知っている人間が現場にもいるらしいくらいだ。いい加減、捨てたいところだが……。こーいうのは忘れた時に来るだので、上からは捨てないで欲しいとのこと。
「これとかはまだ面白いぞ」
『2013年、○月×日、当日に欲しい荷物があるので、今後ははみ出してもいいので、ポストに入れろ』
いや、普通じゃん。そう思うのだが
『2014年、○月×日、荷物が傷付くのでポストに入れるのを止めてください』
…………。
『2015年、○月×日、欲しい荷物なんだからポスト入れてください!!不在票切るな!!』
…………………。
『2016年、○月×日、荷物があああぁぁぁっ!!このポストは6万円もするんだぞ、下等生物ううぅぅっ!!想像力もねぇのか、バーカ!!』
躁鬱のようなクレームと方向転換をしまくる。ちなみに全部、同じ家の出来事であり……。
「なにやばいって、こいつの家というか事務所。法律事務所で弁護士だからな。偉いらしいんだよ」
そりゃあ、今日欲しい荷物もそりゃああるし。どーでもいい荷物もある。ちなみに現在になっても
「あの全然入らないポスト使ってるんだよな。ホント、止めて欲しいんだよ」
「ですね。8年位前から買い替えたら?って言ってたりもするんですけれど、中にある金具のせいで荷物が傷付いてるんですよね」
2018年ごろから無くなっただろうか。仕事がその辺りから来なくなったからか、事務所宛の荷物はめっきり減った。歳も歳だったしな。知らんけれど。
「あ、これもヤバイですね」
『カタログをポストに入れてんじゃねぇ!!床に置け!!』
DMを入れるなって話しであるが、……。それを決めるのは、受取人なので配達員はそれで金をもらっているので、こちらに連絡されても困るんだが。
『配達員首にしろ!!直接来て、本人が謝罪の土下座をしろおぉっ!!二度と来るんじゃねぇ!!』
そんだけで?
「ちなみにこれ作者な」
「雨の日だったから、ポストに入れたんですよね」
それで納得しないわ、態度悪い扱いなので。土下座しても許さないで、お皿を頭に叩きつけられたりされるレベル。
「でも、最近。死んだ?のかな……」
「香典届けてましたからね」
そんなことを書けるのも、当人がもう死んだからである。
ただ、家そのものは残っており、残りのご家族もいるため、要警戒の家としてこちらは認識せざる終えない。
「これとかも理不尽過ぎるな」
『左手で荷物を渡すとか、マナーがなってないです!!』
どーしろってんだよ!!ホントに渡しただけでそんな申告対応するのかよ!?当時の理不尽さが、今振り返っても意味が分かんねぇレベル。
態度が悪いという申告は具体的な話を聞くのが、当然なのだが……7割ぐらいは、それは別に良くない?って思うことがある。
その中で最悪過ぎると思っているのは、
『私の前で鼻呼吸をしてるんじゃねぇ!!呼吸機つけてる、私を愚弄するのか!!?』
呼吸してる……というか、息がちょっと荒いだけで、そーいうクレームをもらうこともあった。それ生物全員に言える事じゃないか?
◇ ◇
「最近はホントにそーいうのが減ったよな」
その分だけ、仕事ができるように思われたり、理解されているようなところもある。ぶっちゃけ、未だにクレームを言ってくる奴は警戒中だし、消えるまで解除はされないが……。最近はその数が増えていない。良識的な客が増えたと言える。
「というか、一々会社に連絡しなくなったというのが、正しいかと」
「だな」
良い仕事は良いお客様からだろう。
ぶっちゃけ、仕事のレベルは昔から変わっていません。お客様が変わってきたというのが印象です。