008 似てないようで似ている双子
投稿忘れてた
急に事務所の社長から呼び出された。何事かと思いながら、俺らは事務所に向かった。
呼び出されたのは、朝の9時頃。笑音のお姉さんは仕事できていない。どうやら、マネージャー等のスタッフ達は昨日の夜に話はしているらしい。だとすると、なんの用だろうか。
「やぁやぁ、よく来てくれたね。」
「社長、前置きはいいので本題に。」
「あぁ、そうだね。」
どうやら、昨日に話を聞いているらしい涼夜が話を進めさせる。まぁ、俺も早く知りたいしな。
「まぁ、話は早く済ました方がいいだろうからな。ということで、端的に言えば、この事務所に新しい同業者が増えることになった。と言っても新人じゃあない。聞いた事あるやつもいるかもな。というわけで、こいつらだ。」
そう言うと、社長室の横の方の扉から2人の男性が出てきた。
アイドルそのものだった。それほどまでにオーラがあった。深みも色味も何かも似た髪と瞳。でも、何処か雰囲気が違う気がする。というか、どっかで見たことあるような……………?
「みーんなー、初めましてー!!」
「いやいや、兄さん、ライブじゃないんだから。」
「ま、そうなんだけどさ、キャラ性ははっきりしといた方がいいじゃん?」
「そうだけど…………」
目の前でその2人はコントのような事を始めてしまった。片方が兄さんって言っていたし兄弟か?
「じゃあ、改めて始めまして。鹿真 逢好咲と、」
「鹿真 鏡。こっちが兄で僕が弟。そして見たとおり、双子。」
「基本は、ソロをメイン活動にしているけど、書類上は双子のアイドルデュオユニット、ストーリーアーカイブスとしてがメイン活動になっているの。」
「でも、基本好むものが違うから、ソロ。」
鹿真………………ストーリーアーカイブス…………って、あぁ、思い出した。結構有名どころじゃん。
「えっ、えっ、ストアカ?確か、今まで何処の事務所にも所属していなかったんですよね?」
そう、動揺した様子で2人に尋ねたのは笑音。ていうか、ストアカって略するのか初知りだな。
「縁あってね。正直いって自分達だけで全部やるのって結構大変なんだよ。打ち合わせに、ステージ抑えたりとかさ。だから、事務所に所属しようかと思ってた時に社長にスカウトされてね、ちょうど良かったからさ。」
「兄さんに頼りっきりだった僕も悪かったけどね。」
俺は、この会話で大体の2人の関係というかキャラを理解出来た気がする。兄の方は、一見落ち着きなく要領を得ない感じだが、その実は、頭もよく、事務や交渉ができるくらい有能なんだろう。弟の方が、冷静でそう見えるが、兄ほどではないと言ったところか。
「あっ、一応皆についても情報は仕入れているよ。えぇーっと、夢歩君だったっけ?」
「あぁ、はい。」
そう、急にこっちに対して尋ねられたので多少困惑してしまった。
「ライブ映像何個か見せて貰ったけど、凄いね。声もパフォーマンスも。声は低く響く心に訴えかける声だ。パフォーマンスも基礎がしっかりしているから安心して見てられる。そして、自分の、曲の世界観がちゃんとあってそれを伝えれている。そういうのは、僕らの得意分野だけど、君も侮れないよ。」
「ありがとうございます。」
こうやって、褒められるのは余り無いから素直に嬉しいし、自分の強みというのを改めて客観的に知ることが出来る。
そんなことを思っていると、
「でも、あんまり型にとらわれないようにした方がいいよ。僕らは、そういう『キャラ』で売っている。でも、君は違う。イメージはあるだろうけど、挑戦しなければマンネリを生むだけだ。僕らでさえ、工夫しているしね。以上、軽いアドバイス終わり。」
「ありがとうございます。」
普通に参考になる話を聞けた気がする。参考にしていこう。
「じゃあ、僕からは笑音ちゃんに。先日の野外ライブ見させて貰ったよ。仕事の都合で僕だけだけど。ま、アイドルだね。可愛く歌って踊る。その中に君なりの強さも感じた。君らしさを感じたよ。ただ、どこかに迷いがあるでしょ?案外、自分の体を思い通りに動かそうとしてもさ、心が邪魔するもんなんだよね。そうゆうの克服すれば、もう心が楽しいで1杯になって、パフォーマンスも今よりも自分色に満ちて出来るはずだよ。」
「ありがとうございます。」
的確なアドバイスだな。おそらく笑音もそういう自分の心には気づいていたはずだからな。
そういえば、涼夜が静かだなと思い辺りを見回すと電話をしていた。ちょうど終わったらしくこちらに戻ってくる。
「逢好咲さん、鏡さん、明後日事務所所属発表についての段取り確認をしたいそうで、局に来て欲しいらしいです。」
「了解。俺と1つしか違わないでこれだけマネージャー業が板に付いているっていうのは有能だな。どうだ、俺らの担当にならないか?」
「いえ。未熟者の私は夢歩のマネージャーだけで手一杯ですので。」
「ははっ、ナンパ失敗。」
なんかそう言われると少し嬉しいな。まぁ、俺も涼夜を渡す気は無い。絶対にだ。
「でも、悪いね。急遽頼んじゃって。」
「いえ、僕はただ窓口になっただけなので。急な事務所所属発表でも調節してくれるのはそちらが今まで気づきあげてきた信用ですので。」
「兄さん、割と局の人とかに好かれやすいから。」
昨日あっただけなのに、もう連携が取れてる。涼夜も双子も凄いな。
「暇なら見学にきなよ。俺らのパフォーマンス、見せてやるよ。」
「勉強、勉強。」
俺も笑音も予定が空いているということで、来週の収録に見学に行くことになった。本人たちが勉強として呼んでくれたんだ。しっかりと学ばないとな。