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ニューオンリーワン  〜ImbalanceSong〜  作者: 好音 コルヴォ
第一曲 始まりと変化 
5/9

004 歌と姉妹

「ふわぁーーー………………」


 仕事入れすぎた……

 たしか前も復帰直後は入れすぎた気がする。

 涼夜にも止めらた気がするが、知らないな。あいつも止める気あんましなかったし。

 そんな俺は、今は2週間分の疲れを癒すために事務所で仮眠をとっていた。


「夢歩、起きてるか。そろそろ帰るぞ」

「んあ?あぁ、起きてるぞ。」


 俺は、そう言いながら寝ぼけまなこを擦りながらソファから起きた。

 俺は、部屋から出てエレベーターに向かった。

 廊下を歩いていると、いつも学校で見たことある顔の女性が反対から歩いてきた。隣は、確かお姉さんだっけ。


「あっ、夢歩君だ。今日は、寝てたんじゃなかったっけ。」

「寝てたよ。帰るところ。」


 正直まだ眠い。だが、帰らなくては行かんのだ。いつまでもは居座れないし。


「あっ、こっちは私のお姉ちゃんね。」

「やっぱりか。絡んだことは無いけど、この事務所の看板の1人だってのは知ってるからな。初めまして。明図楽 夢歩です。」

「あっ、こちらこそ初めまして。言月ことげつ 海璃かいりです。いつも、うちの妹がお世話になってます。」




「お姉ちゃん、そろそろ帰るよ。」

「問題ない。」

「問題ない、じゃない。今日は、オムライスだよ。」

「ほんと?わかった。すぐ帰り支度するから待って。」

「了解。」


 そう笑いながら、軽く敬礼のようなポーズを取って言った。

 お姉ちゃんは家事が壊滅的にできない。特にレッスンとかが忙しかったりしない限り、我が家では私が作ることになっているのだ。

 オムライスはお姉ちゃんの好物の1つ。特に、私が作るのが好きと言われるのはとても嬉しい。

 という訳で、お姉ちゃんは急いで支度を終わらした。この人は、しっかりと監視しとかないと、いつまでもレッスンをしている。

 そうゆうところも、尊敬できるところではあるんだけど心配でもあるんだよね。

 という訳で、エレベーターに向けて歩いていたら、まさかの夢歩と会った。

 今日は、少々仕事でもして寝るとか言っていたような…………

 今はまだ15時だ。寝てたはずだよね?


「あっ、夢歩君だ。今日は、寝てたんじゃなかったっけ。」

「寝てたよ。帰るところ。」


 あー、だから眠そうなんだ。ちょっと可愛らしくなっている。そう言えば、夢歩君、お姉ちゃん知ってるのかな?


「あっ、こっちは私のお姉ちゃんね。」

「やっぱりか。絡んだことは無いけど、この事務所の看板の1人だってのは知ってるからな。初めまして。明図楽 夢歩です。」

「あっ、こちらこそ初めまして。言月 海璃です。いつも、うちの妹がお世話になってます。」


 こりゃあ、余計なこと言いそうだな。私は慌てて、余計なこと言わないでと止めた。

 とりあえず、4人でエレベーターに乗り、帰ることにした。


          ◇ ◇ ◇


「はい、お姉ちゃん。オムライス出来たよー。」

「ありがとー。」


 そう言って、食卓に出来たてのオムライスを置く。もちろん、自分の分もだ。

 今日は、両親は仕事で忙しいので帰りが遅い。


「いただきます。」


 そう短く言うとオムライスを嬉しそうに口に運ぶ。

 私もいただきます、と言うとオムライスを食べ始めた。

 あ、そう言えば


「来週、私の学校来るんだよね?」

「……んっ。お邪魔します。」


 お姉ちゃんは、口に入れているオムライスをちょっと急いで飲み込むと、いたずらっぽく笑って答えた。

 私の学校では、半ゲリラ的に体育館でライブを行っている。

 何故、そんなことが出来るのかというと、どうやら涼夜君のお父さんと学校の校長が同級生で友達だったかららしい。

 一応このライブの目的は、公に出ることに慣れたりなどが目的である。

 今回は、仕事の都合で夢歩君は学校を休むらしく、ライブも不参加らしい。

 夢歩君とは、事務所や仕事の中では同期という扱いを受けることが多いが、夢歩君の方が1ヶ月ほど事務所に入ったのは早かったり、仕事なども多くしてたりなど、私よりも社会で活躍してる。それに関しては、普通に尊敬できる。


「夢歩君は出ないんでしょ。少し残念だな。」

「うん。なんで、残念なの?」

「いや、生の歌声とか聞いてみたかったなと思ってさ。」

「あー、わかるかも。」

「まぁ、やっぱり?お姉ちゃんとしては、笑音の歌声が1番なんだけどね。」

「それを言ったらお姉ちゃんの方が凄いよ。」

「ありがとう。」


 これは、完全に本心からの言葉だ。中学に入った時にはお姉ちゃんはテレビで段々と見るようになってきていた。その時から、お姉ちゃんは私の憧れなのだ。

 最近は、私も認知されてきてはいるけど、まだまだだと自覚している。


「そう言えばさ、今度ライブあるじゃん?本当に来てくれるの?」

「まぁ、あまり公言してなかった身としては出るのはどうかなとも思ったけど、せっかくのお姉ちゃんの誕生日だからね。」

「さっすが私の妹。よしよし。」


 そう言って、私の頭をわしゃわしゃと撫でてくる。少し、照れくさい。

 ライブというのは、3ヶ月後にあるお姉ちゃんのバースデイライブのことである。

 自分の実力で挑むために、海璃の妹だとは公表していないし、明言も避けている。でも、今回はお姉ちゃんにお願いされ渋々了承したのだ。

 正直言うと、一緒にステージに立てるのは、とても嬉しいのだけれど。

 そんなことを思いながら、オムライスを口に運んだ。

















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