第百五十章 イスラムの敵イーリヤ将軍
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◇
山を削り取って何とか曲がりくねった道路を一本通していた、それがラチン公道と呼ばれている。トレーラーならばすれ違うことが出来ないが、バスならばギリギリという位の幅だけしかないので、これを封鎖しようと思えば難しくはない。
だがアゼルバイジャンにあり、アルメニアの利益にかなう道をロシアが管理をしているので、誰一人としてこれに手出しをすることはなかった。しかしその幻想も今打ち破られようとしている。
「ムーブムーブ! 稜線に沿って塹壕を掘れ! 重機を持ち込む時間はない、手で掘るんだ!」
クァトロの下士官が大声であちこちで作業を急かす、言っている本人だって手を動かしていた。マリー中佐の本隊はまだ未着だが、トゥツァ少佐が率いる民兵団がいち早くやって来ている。現地ではブッフバルト少佐が防衛陣地の構築を計画し、皆がそれに従っていた。
中隊単位で次々にやって来ると、それらが固まって作業を行う。まずは塹壕を掘り、掩体を構築し、兵器を設置した。居場所を確保するのが最優先で周辺への偵察はドローンのみで行われている。
「ブナ=マキマ大尉より副司令部、南西外縁一番で『4』番旗確認!」
「ロマノフスキー准将より各位、ボスの入城だ」
回廊の中心部にある集落、二階建の倉庫付大住宅を買い上げて大至急要塞化させた家の前に車列がやって来る。黒地に白の四つ星、ナンバーは『4』が刺繍されている専用旗。目隠しをするだけの目的でベニヤ板で周囲を囲っている、その中で伏撃防護指揮車が停まる。
黒人護衛が人垣を作り外側を向くと、その間を黒の軍服を着込んだ島が歩いた。
「朝の空気は清々しいですな!」
「今日は良い一日になりそうだ」
何の気ない早朝の挨拶を交わして二人が住宅へ入る、時間は午前七時。一時間以内に戦闘団が駆けつけてくる手筈になっている。
「急造陣地ではありますが、まあ何とかなるでしょう」
楽観的な発言というわけではない、さすがに戦車を持ち出しては来ないだろうという前提からの推察だ。相手はアゼルバイジャン軍ではない、テロリストの一団だ。
「直ぐにではないだろうが、イスラム革命防衛隊の後押しを受けている分派組織が一つ、アゼルバイジャン経由でここにやって来るはずだ。こいつはコロラドからの情報でね」
過激派を焚き付けたら大物が釣れてしまった、というのが真実らしい。テロリストネットワークに情報が乗った直後、ここぞとばかりに外部部隊を動かすような指示が出たようだ。いくら速やかに動けと言っても、集合して準備をし、国境を越えてやってくるまでには、誰が指揮しても四十八時間では足りないだろう。
「小官、美女に狙われるなら歓迎ですが、髭面の男に迫られるのは遠慮します」
「そういうなよ、いつも取り分は半分だろ」
笑って椅子に座る。部屋には既に多数の通信機が設置されていて、屋上には長いアンテナが立てられている。なお提供は現地ロシア軍の司令部で使用中だったものを、とある嗜好品現物と交換で提供を受けている。ロシア司令部では倉庫から予備を取り出して使っているとのことだ。
防備が固められているうちに、次々と情報が入って来た。そのなかでも特に耳寄りなものが島へとあげられる。
「ボス、アゼルバイジャン軍からの傍受です。T-72が盗難にあい所在不明が四両だそうです」
サルミエ少佐が無感情に言い放つ。ついついロマノフスキー准将と目を合わせてしまった。
「これまたえらいものを盗まれましたな」
「きっと警備兵は一斉に眠りについていたんだろうさ」
――さて、正面から装甲を抜ける兵器はこちらにあっただろうか。対空兵器は色々あったが、まさか戦車を相手にしなければならないとはな。
T-72とはソ連が生産していた凡そ五十年前の戦車だ。優秀な設計だったため改修が継続され続け、つい最近もまたバージョンアップして生産し続けている。防御面では複合装甲を装備して、成形炸薬もストップ出来る強靭なものになっていた。
もっともアゼルバイジャンで使っているのは最新式ではなく、劣化輸出用のダウングレードされたモンキーモデルであり、対戦車誘導ミサイルや爆破反応装甲、射撃管制装置を排除した鉄の箱に他ならない。だとしても、百二十五ミリの主砲、五百ミリ換算の装甲、五十トン近い質量は存在そのものが圧倒的だ。
「ボス、歩兵携行兵器でジャベリン対戦車ミサイルを持ち込んでいます。あれならば六百ミリまで期待できるでしょう」
「そうか」
脇からヌル少佐が空港で装備の搬入処理をしていたと時に、リストを確認いたので情報を差し入れる。何食わぬ顔できっちりと状況を把握していた。前線指揮をする佐官としての能力に疑いはない。
チラッとサルミエ少佐を見ると「マリー中佐にも通知済みです」との返答が得られた。小さくうなづく。
――現場では最早俺を必要としていないのはもう解っているよ。今回は囮が役目だ。
本部構築が順調になされていき、七時三十分には戦闘団の先鋒が到着した、ストーン中尉の装甲偵察中隊と、バスター大尉のハンヴィーM1151の分隊が四つ。対戦車分隊がジャベリンを抱えて先行してきているが、その実中隊を分割してストーンに指揮を預けていた。バスター大尉が原発の居残り責任者になったので適切なところだろう。
それから少し時間差があり、戦闘団がラチン回廊にやってくる。原発には六個の対空、防空分隊とレーダー基地に一個分隊ずつしか残されていない、あとはアルメニア軍が大急ぎでやってきている。
仮総司令部にマリー中佐がやって来る。
「何とか遅刻をせずにすみました」
「五分前行動は社会人の基本だな。これまでの例からすると停戦発効の八時直後に仕掛けてきてもおかしくはない」
通報するのに数分かかっているならば、毎回直後だった可能性はある、狙ってやっているならその線が濃厚とすら言えた。
「ちょっとした大人のオモチャを盗んだようですが、テロリストなどにやられるつもりはありませんよ」
千メートル先の装甲車両を爆散させるようなオモチャだ、これの発見を最優先事項に据えて既に捜索を命令してあった。
「兄弟が部隊を指揮するか?」
ふと気になって隣にいるロマノフスキーへと話を振ってみる。
「それも面白いでしょうが、小官は遠慮しておきましょう。若い者の実戦訓練の場を奪うのは趣味ではないので。それにラチンの第15独立親衛自動車化狙撃旅団の司令部に遊びに行こうかと思ってましてね」
「ならそうしたらいいさ。マリー中佐、戦闘団とトゥツァ少佐の民兵団を全て指揮するんだ」
今回は副司令官副官としてブッフバルト少佐を外した、そのうえで親衛隊とヌル少佐の砲兵は仮総司令部付として残る。サイード中尉はブッフバルト少佐の代理で転出されるが、アサド先任上級曹長は島の護衛に戻された。
◇
M-ATV/EXTに戻ると早速報告が上がって来ていた。ラチン回廊周辺に不審な小集団が集まっていると。
「アゼルバイジャン軍の可能性は」
「軍服姿ではないので、軍ではありません」
通信担当に映像を用意させると、黒い服装の人物が木々の間に隠れているのがちらほらと映っていた。交戦権を主張する為に軍人は軍服を着用する、それが戦争の最低限のルール。
「アララト地区で悪さをしてうちの兵と間違われていたのも、さてはこいつらだな」
黒い軍服で統一しているクァトロ軍兵、部外者として見掛けたら見分けるのは難しい。ならばアルメニアに居た奴らと、ここにいる奴らはどこかで繋がっている。原理主義者と繋がるのは同じ原理主義者か、一部でも話を合わせることが出来る狂信者だろう。
半径一キロ、北東にちょっとした山頂が一つと、それから繋がる山が三つ。南西部にも別の頂点が一つに、七つの山が繋がっていた。S字型にラチン公道が走っていて、北一キロのところにロシア軍の司令部が設置されている街がある。
この公道を走らなければ車両の類は役に立たない、戦車が現れるにしても整地もされていない山岳の森林を折りながらではまともに動くことも出来ないだろう。
「南東外縁三番、砲撃を受けました!」
マスカントリンク大尉の中隊が無誘導のロケット砲撃を確認する、時計は八時を一分過ぎていた。回廊は狭い、その外側から攻撃されて反撃を行うと、アゼルバイジャン軍にあたってしまうかも知れなかった。
「仮総司令部へ通報だ。正規軍を後退させて停戦順守をするようにとまずは話をしてもらうとしよう。総員反撃は不可、防御と回避に専念しろ」
ただしドローンでの撮影だけは継続させて、手を出したのがこちらが先ではない証拠を揃えて置く。何故ルワンダ軍がここに居るのかなどを考えるのは仮総司令部の判断次第、戦闘団はその枠の中で最善を尽くすのみだ。
相変わらずあてずっぽうなロケット砲撃が続くが、一切の返礼はしない。そのうち南にある集落へ攻撃をし始めるようになる。民間人が住んでいる場所なので、警察へ通報されてしまう。
「俺だマリー。アゼルバイジャン軍はラチン回廊より四キロ後退すると反応があった、〇九〇〇を以て圏内の武装集団を双方の敵と認定し、攻撃をする許可を与える」
「もう少しの辛抱ということで。南部の集落で混乱が起こっています」
治安維持を出来るのはアララト地区だけ、ここではロシア軍が様々な権限を持っている。何より回廊内はアゼルバイジャンの領土内だ。
「そちらは気にしなくていい。ロマノフスキーがロシア軍を送るよう指導している、ラチン公道を通行する集団を間違って攻撃するなよ」
「ダコール。前を向いて生きることにします」
あと十分もしたら九時だ、それまでに反転攻勢の準備を行うことにする。山岳歩兵の出番だ、となれば民兵団の連中が実は一番適性があると言っても差し支えない。
「戦闘団司令部よりトゥツァ少佐、麾下の部隊を率いて南部集落の周囲一キロ圏内を制圧せよ。回廊より四キロ幅がこちらの交戦可能地域であり、その先は一ミリたりとも弾着は許されない」
「ついに直接閣下のお役に立てる日が来た、どのような困難にでも打ち勝ってみせます!」
フォートスターに連なる住民たち、コンゴやルワンダの難民、助けられることはあっても頼られることは殆ど無かったが、ようやく島の目の前でその恩を返す時がやって来た。時計が九時を示す。
「各兵団に告げる、我等の神の威光を示せ! 山に潜む敵を撃ち滅ぼすぞ!」
塹壕に拠っていた男達が一斉に姿を現すと、黒のクァトロ軍旗を背にし、小銃を手にして山林へと進んでいく。ドローンからの情報を大尉らの指揮所に送り続けると、動く何かを見るたびに兵を送り込んだ。
特にマリーが指揮していたことがあるフォートスター民兵団や、AMCOで活躍したコンゴ民兵団ではなく、今までこれといった返礼が出来ていなかったルワンダ民兵団のウヌージュール大尉が張り切っている。
「行くぞ、潜んでいる奴らなど殲滅だ!」
命を惜しむことが無い兵が団結する。接近を感じた黒い武装集団が銃撃をしてくるが、それに気づいたルワンダ民兵団は肩を怒らせてそちらに駆けてゆく始末だ。ウォーバギーも突進して機銃掃射を行うと、あっという間に南部の山林はクァトロの制圧下に置かれることとなった。
後からやって来たロシア軍は集落を見回って瓦礫を片付けるだけでやることが無くなってしまう。
M-ATV/EXTの中で「敵でも味方でも信者というのはいるもんだな」うーん、と小さく呟く。相手がこちらをどう見ているかの参考になりそうでいろいろと想像してしまった。
ドン!
軽い爆音、何が起こったかは直ぐに報告が上がって来る。
「東部ファタリヤ山中から砲撃を受けました! この軌道は滑空砲です!」
画面上の想定区域は凡そ一キロ三百程度、丁度百二十五ミリの射程内になっている。
「T-72のお出ましだな。向こうは撃ててこちらからでは火力不足、いい場所を選んだものだ」
相手を褒めてばかりではいられない、これを撃破すべく作戦を立てなければならない。四両行方不明になっている、それらが独立して行われた窃盗である可能性よりも、組織的に行われたことだと考えた方が自然だろう。
「ストーン中尉より戦闘団司令部、現在UAVにM4ナパームを積載させ、砲撃元へ向かわせます」
「戦闘団司令部了解」
放置しておいても遠距離攻撃でどうにか出来るか試す、その結果を待ってからでも遅くはない。それこそ五分もせずに東部山中で黒い煙が上がる。化学火災が起こり、燃える戦車の映像がうつされた。このままでは戦車を破壊することは出来ない、だが正規の搭乗員ではないので対処の仕方も解らず、ハッチを開くと逃げ出していった。
再利用されると厄介なので、分隊を派遣して手りゅう弾を車内に放り込んでこさせる。直ぐには使い物にならないが、少し修理したらきっとまた動かすことが出来るだろう。鹵獲するわけにもいかないので、無力化を優先させた。
「北西部一番、ラチン公道とサス山道の交わる場所で戦車二両が走行しているのを目視!」
尾根の道路を真面目に進んできたらしい。今までの相手ならば真っ正面からそれを止めることが出来ずに往生してしまっただろうが、今回そうはいかない。
「二キロ先くらいか、地形的に五百まで寄らないとこちらが見えない。ナパームでは対処できなさそうだ」
「歩兵支援中隊ドゥリー大尉、これより迎撃に向かいます」
それから三十秒程で北西の空に白い煙がたくさん立ち昇る。それが何かと問われたら、煙幕だ。中隊に二台配備されているRG-31歩兵機動車とご存知ハンヴィーM1151五台が進出していく。後方にM-ATV/EXTがついていった。
路上は真っ白で全く見通しが効かない。だからこそ逆に真っ白の部分が道だと解る。公道が交わってから直ぐ南に、小さなギザギザがいくつもある山地で挟まれた盆地が僅か二百メートルだけあり、家が数軒建っている。
山地に歩兵を潜ませ、盆地にもまた発煙弾をばらまいてそこに車両を乗り入れた。歩兵の監視で道路を壊しながら進んで来る戦車の音を確認し、凡その速度で現在地を想定。赤い屋根の民間人には悪いが、それを目安に各部隊に照準をあわせさせた。
歩兵機動車は後ろの二両目にジャベリン対戦車ミサイルを照準させるが、驚くなかれハンヴィーと歩兵は対空ミサイルであるスティンガーの誘導をカットして、水平射撃で撃ちっぱなす荒業を披露する。対戦車ミサイルだと安全装置が掛かり、発射シークエンスがキャンセルされてしまうが、対空ミサイルのスティンガーではロックオンせずに発射も可能だった。
煙幕へ向けて一斉に射撃すると、ジャベリンは二発とも命中、T-72は爆発した。一方で先頭を走っている側、物理的に数本の対空ミサイルが直線的に命中したが、破壊するには至らなかった。だが乗員が脳震盪を起こして意識を失ったらしく、動かなくなった戦車に歩兵が肉薄して爆薬をセット、これを擱座させてお終いになる。
アメリカ軍でも想定だけはしているようで、緊急時には対地攻撃用に使って良いという規定がある。実際に使ったらこうなったという生のデータが、後程ホクホク顔でアメリカ軍が受け取ることは言うまでも無かった。
「もう一両潜んでいるはずだ、探せ」
戦闘団司令部より捜索命令が出される。ドローンが山の上から多くの場所を探すと、黒い服装の人物が度々見つかり全て交戦の末に排除する。それでも一日中探しても戦車は見つからなかった。結局、警戒一割で兵員を休息させることにした。
マリー中佐は仮総司令部へと足を運ぶ。慎ましやかな晩餐は、四つ星が印刷された野戦食とバドワイザーの缶の山。
「ご苦労だ、お前も一杯やっていけ」
面白がって島はレトルトパウチの口を切ったまま、フォークを突っ込んでハンバーグを食べている。トスカーナ少尉の会心作らしく、加熱剤が使用されていて戦場でもアツアツのデミグラスソースが楽しめた。兵には極めて評判が良く、ここ百年で最高の野戦食と呼ばれている。実際第一次世界大戦からずっと通しでみても、確かにこれは最高級の部類だろうなと想像出来た。
「では自分はこちらを」
なにをどうしたらこうなるのか、フライドポテトとベーコンの入ったパウチを開封した。一口食べてマリーの顔色が変わる。
「適材適所とは素敵な言葉ですね」
歩兵を指揮させても真っ先に逃げ出すような少尉でも、厨房で保存食を作らせると世界レベルとは、人事とはとても興味深い世界だと納得しかなかった。
「あまり美味すぎると兵が太るらしいが、うちにはそんな奴は居ないと信じて開発は続けさせよう。ロシア軍のギュムリ基地にも適当に渡したんだが、兵器と交換でもう少しくれないかとの打診があったそうだ」
そういうので兵器の流出をさせるのはどうかと思いつつも、目を瞑っている間に好きにしろとサルミエ少佐には指示をしてあった。
「ファンダメンタリストの百人と戦車三両は排除しましたが、これで終わりとは思えません」
バドワイザーをプシュっとあけて半分を胃袋に収めてしまうと、フライドポテトの残りをつつく。直ぐになくなったので今度はソーセージとブロッコリーが入ったのを開封するが、こちらもレストランで食べるものよりも美味しく感じてしまう。
「停戦は継続されている。現在捕虜交換などの処理がされているから、あと数日ここで囮をしていれば全てが丸く収まる予定だ」
「イランからのお友達はどうでしょう」
「今日の夕刻に、正体不明の集団がイラン北部に集まっていたらしいよ。大きな車両付きで」
「集団でキャンプでもする仲良しクラブでしょうかね」
朝になれば越境をすることが出来る、ラチン回廊に到着するのは明後日の日中だろうか。随分と早いような気がするが、陸路だけでたどり着ける近隣に三日と言われたらそうでもないような気もした。何せ世界中どこでも四十八時間で緊急展開できる部隊が、いくつかの国に存在しているから。
「停戦が既成事実にさえなれば役目は終了だ。明日は陣地構築が出来ると思えば、そこまで悪い状況じゃないだろ」
「うっかりでアゼルバイジャン軍からミサイルの雨が降ろうとも、負けてなどやりません」
「ふっ、頼りにしているぞ後輩」
優しい表情でそんなことを言われてしまい、マリー中佐はどこか嬉しい気持ちになってしまう。結局のところ、人というのは人と接することで自分を満足させているのだと、はっきりと感じてしまった。
◇
貴重な一日を防御陣地構築に割り当てると、アメリカ軍情報局DIAから警告がもたらされた。イランから移動した集団がラチン回廊東に集結していると。アゼルバイジャンはそれを確認していないと突っ放してきた。
「マリー、アルメニア政府から一両日中に共同声明が出される見込みだと連絡が入った」
仮総司令部に出向いてきたマリー中佐は、いよいよ大詰めだと頷く。一旦声明が出されてしまえば、今度はそれを固守するようにと命令が下る、そうなれば大統領を含めて声明に沿った対応を迫られる。それまではあやふやで、あちらが違反したと叫べば無かったことになる。
「現在のところ前線では戦闘が確認されてない、ということですか。自分らが異常なしと送ればそれで済むと」
真実などなんの足しにもならない、いかに事実を形成するかが大切なのだ。アメリカが仲介に入り、ロシアとトルコで平和維持軍を派遣するような流れだ。異常が無ければこれを拒否した国が大国に責められるので、何とか我慢をしたいところ。とはいえ国軍が攻撃を受けて黙っていろとはいかない。
「天気予報では砲弾が降るということだが、死人が出てもそれは事故死になる。補償はする、だが志願を再確認しておけよ」
「別に不満はありません。見返りに得られるのはなんでしょう?」
皆が己の意思でこの場に在る。それはひとえに島の為にと思ってだ、では当の島は何を得られるのかが気になる。
「そうだな。対テロリストの旗印として、世界デビューでもするさ」
「全ての結果は努力の上に成り立つべきですね。姐さんは何と?」
この場には居ないが、渋い顔できついことを言われるだろうなと想像してしまう。それが結局島のことを想ってのことだから、何とも言いづらいが。
「やりたいようにやれって言うさきっと」
微笑すると幾度となく言われてきた台詞を口にする。小さな揺れと爆発音が聞こえて来た、マリーは敬礼する。
「仕事の時間が来たようですのでこれで」
島も敬礼をすると、後輩の背を見送った。出入り口でサルミエ少佐とすれ違い、家の外ではアサド先任上級曹長と目を合わせた。東側の斜面に掘った穴にM-ATV/EXTが駐車していて、そこへと乗り込む。
「東の山林から八十一ミリ迫撃砲での砲撃です!」
ということは凡そ三キロから四キロの範囲内に進出してきていることになる、そこはラチン回廊内でアゼルバイジャン軍が不在ということになっている。相手をいくら倒してもそれは治安維持の執行でしかない。
「八十一ミリでは倒壊しない、待機だ」
無駄な反撃をしない、新兵が恐怖で慄くこと位はあるだろうが、古参兵は土壁に背を預けてあくびをかみ殺している。準備砲撃で重砲が姿を見せない限りは放置するつもりだ。
「東中央前線ビダ先任上級曹長より戦闘団司令部。眼前にウッドランドパターンの歩兵集団、三部隊で五百人弱、CQ 311らしき小銃を装備しています」
CQ 311とはアメリカ軍の使用しているM16ライフルのコピー品で、中国が海賊版を生産して各国に売りさばいている代物だ。何せ数が必要なイラン軍、性能が悪いと解っていても値段の都合で購入することになったいきさつがある。正規軍ではマシな物を使い、準軍事組織ではこれを採用していた。
「所属を確認出来るか」
「軍旗も国章もありません。あれは所属不明の民間武装集団という括りでしょう」
毛色が違う砲弾が降ってくるようになる、それが半世紀以上前の七十五ミリ砲からのものと判明するまでには少し時間が掛かってしまった。かつて第二次世界大戦で使用されていた代物をどこからか引っ張り出してきたらしい、牽引砲の類だ。
「南東前線ムーア曹長! 敵が前進を始めました!」
山の麓に穴を掘って、そこから外を見ている。戦争を求めてシリアに入り、小規模なものを幾度か体験してそれなりに自信を持っていたのが愚かだと知った。世の揉め事のなんと壮大なことか。
「防空ドローンが撃墜されているので、高度をとらせる」
ストーン中尉が独断でそうさせる、高度が上がれば小銃では射程外になり被害が激減する。弾丸のエネルギーが失われてしまい、撃ち上げだと意外と威力が出ない。かといって動く目標を狙撃中で狙うのは骨が折れる。が、相手は見逃さなかった。軽機関銃で周遊するドローンを執拗に狙ってくるではないか。
「損失が大きいので西の空へ退避させる」
ドローンの群れがまとまって頭上を離れていく、今までは無かった補助装置なのでこれといって不安はない。木陰を利用して歩兵が少しずつ近づいてくると、グレネードで攻撃をし始めて来た。このころようやくクァトロも反撃を始めた。
「戦闘団司令より下命。各車、機銃掃射開始、歩兵は榴弾で反撃を行え」
七・六ニミリと十二・七ミリが一斉に連射された、同時に四十ミリグレネードがあちこちから発射される。敵は慌てふためいてその場に伏せるか、後退していった。やはり民兵の域を出ないのか、数は多いがさほど脅威を感じない。そこから二時間程、膠着状態が続いてしまう。
「はて、やつらこの程度か?」
マリー中佐がぼそっと感想を漏らすと、個人のチャンネルにビダ先任上級曹長から連絡が入る。
「中佐、奴ら全然やる気を出して来ませんが、わざわざ国境を越えてまで何をしにきたのやら」
「装備も数もまあまあ揃えてきてるんだ、何と無く遊びに来たわけじゃなかろうよ」
「それにしてはあまりに勢いがありません。何か企んでいるんじゃ?」
「このあたりでは午後からは雨が降るってことだが、関係あると思うか」
十日に二度はそれなりの量が降る、気温はさほど暑くも寒くもない。雲がかかれば衛星が使えないので、その兼ね合いだろうか。
「仮にそうだとしたら、今のうちに反撃をしておかないと機を逸する可能性がありそうですが」
そんな話をしている内に雲が厚くなってきて雨がぽつりぽつりと降り出した。だがさしたる量でもなく、傘が無くても心配がない程度で地表を濡らしていく。太陽が遮られ、じめっとした空気が次第にひんやりと感じられるようになった。
昼を過ぎて少しすると変化が訪れる。
「こ、これは!」
辺り一帯が少しずつ靄が掛かって来る。霧の発生だ。視界が悪くなっていき、ついには隣の部隊が見えなくなってしまう。
「戦闘団司令部より各位、警戒を厳にせよ!」
――くそ、こういうことか!
山間の盆地は空気が溜まりやすく、陽が陰れば湿度が上がっている状態で霧が出やすい。今の今まで乾燥した場所でばかり戦って来ていたので、全く想定していなかった。
「て、敵が接近してきます!」
兵の誰かがそう叫ぶ、見当も付けずに取り敢えず敵が居るだろう前に向かい小銃を乱射した。一種の恐慌状態に陥ってしまう。
「こ、航空攻撃だ!」
防空ドローンが西によってしまったせいで、東の前線にUAVが突っ込んで来るのを阻止できなかった。最前線が乱れる、指揮官の怒号が飛び交い近接戦闘が発生した。敵味方入り乱れると、最早支援も出来なくなる。
「北東前線ドラミニ上級曹長より指揮所、防衛線を後退させます!」
「中央前線も第二線へ退くぞ!」
ビダ先任上級曹長も塹壕を捨てて一つ後ろへと戦線を下げた。だがムーア曹長は勝手が掴めずにその場を守ることに固執してしまう。
「いかん! キラク先任上級曹長、二個分隊率いて増援に向かえ!」
「ラジャ キャプテン!」
ドゥリー大尉の命令でキラク先任上級曹長率いる歩兵支援分隊が、ディスプレイに表示される青い点目指して進んだ。何せ視界不良のせいでおいそれと射撃できない、同士討ちは古来より忌避される行為だ。
「戦闘団司令より下命、東の盆地へ向けてナパームをぶち込め! 炎上させて霧を払うんだ」
火災の熱で霧を消し去る、そんなことが出来るならばと一部ではガソリンを目の前にぶちまけて火をつけた。少なくとも燃え盛っている部分に敵は来ない、それだけでも充分な効果を見込める。
あちこちで盛大な炎の柱が連なっている、それ以前に肉薄された部分は白兵戦が行われていた。命中率など気にしていられない「総員着剣!」ビダ先任上級曹長の号令で本部中隊は銃剣を装着する。それを皮切りに、全ての部隊で銃剣を装着し始めた。
恐ろしいことに混在しているのを承知で迫撃砲も榴弾砲も撃ち込んできた。まるでかつてのソ連のように、味方の被害は考慮外と言わんばかりに。聖戦で戦死すればムジャヒディンは極楽へ行ける。宗教と軍と、最悪は手を繋いでやって来た。
「南西中央フィル先任上級曹長より戦闘団司令部。こちらにも敵が出ました!」
何故アルメニア方面から敵がやって来たのか、少し考えてからナヒチェヴァン自治区から迂回してきたということに気づく。待っていたのは霧だけでなく、この迂回部隊だった。
「くそっ! そちらは防備が薄い、耐えてくれよ」
――せめて砲撃だけでも阻止出来れば。だが手が無いぞ。
いっそ夜中になれば霧は晴れる、だがまだ数時間は昼間が続いてしまう。ムーア曹長の部隊がキラク先任上級曹長と合流、相互に支援を行い前線を後退させることに成功した。
「聞こえるか、こちら『ベルリン』の自動車化狙撃大隊だ、貴軍の北西部の防備を受け持つ!」
不意に戦闘団司令部に通信を入れて来たベルリンとは、ラチン回廊に駐屯している第15独立親衛自動車化狙撃旅団の名誉連隊名称だ。その昔、ベルリンへの進出を行ったことから勲章と共に連隊名を与えられたことに由来する。
「ルワンダ軍戦闘司令マリー中佐がベルリンに感謝する! レオポルド中尉、公道を経由して時計回りで南西部へ行け!」
「サーイエッサ! 総員乗車だ、場所を移るぞ!」
ロマノフスキー准将がこういう時のために待機させていた部隊を出動させるように要請した。駐屯地から一キロちょっとしか離れていない、防衛に出るのはいたって普通の事。それとは無関係に駐屯地の酒保に匿名で米ドルの寄付があったらしい。
じりじりと後退しているうちに、次第に霧が晴れていく。確保している戦線がギザギザでいびつになっているのが明らかになった。突出して防衛しているのはビダ先任上級曹長とドラミニ上級曹長の二部隊で、互いの死角を補い守りを成立させていた。
正攻法でこうまで苦戦したのは物凄く久しぶりの事、マリー中佐は悔しそうに唇を噛んでいる。未だに砲撃が止まらずに、仮総司令部にまで何度も砲弾が飛んだ。それで倒壊することはないが、いつまでも押されているわけには行かない。
東の山林で小さな火災が起こる。一つ二つではない、次々に白い煙が細く立ち昇る。何かが起きている。
「ドローンが砲兵陣地を攻撃しています!」
双眼鏡を手にしている観測兵が視認したことを無線で知らせる。ストーン中尉は防戦一方でそれどころではない。
「アルメニアを守るために遠路やって来られたルワンダ軍の勇士よ、私はブカニャン退役上級大将だ。ステパナケルトの盾は貴軍への後方支援を行う」
「ルワンダ派遣軍司令官イーリヤ中将です。ブカニャン上級大将の助力に最大限の感謝を示させていただきます」
「貴官とは後程じっくりと語り合いたいものだ」
「どうぞ小僧へご教示の程を」
サルミエ少佐が手配した補充ドローンを受け取ったバスター大尉が、戦地真っ只中へ飛ばすわけにもいかず思案していたところでステパナケルトの盾を思い出した。そちらへ空輸した後に、ブカニャン退役上級大将らは自力で設定を行い、敵を見付けると空爆や自爆を行った。
砲撃が一気に弱まり、南西部の防衛も目途がつく。仮総司令部への奇襲も無いと解れば後は前へ出るのみだ。
「戦闘団司令より下命。ドゥリー大尉はストーン中尉と共に南西部から敵を突破しろ!」
「ダコール コンバットコマンダン!」
「ハマダ大尉は北東からビダの左袖をかすめて進出だ!」
「イエス ルーテナントカーネル!」
中央でビダとドラミニが踏ん張っているうちに、両翼を突出させて包囲殲滅を図る。グイグイと地歩を得て、戦闘車両が南東部へ食い込んでいく。
ハマダ大尉の歩兵支援中隊、ハンヴィーM1097を六両とM-ATVを二両抱えている。このハンヴィーは対空仕様になっている、代わに対地ミサイルはついていない。そのハンヴィーが突如爆発した。
「どうした!」
ハマダ大尉が飛び散った車両を見て眉を寄せる、地雷を踏んだわけでもなさそうだ。
「せ、戦車です!」
なんと見つからなかったT-72がこんな場所に隠れていた。部隊の火力は組み合わせが悪く、スティンガーと十二・七ミリ、四十ミリグレネードしか持ち合わせていない。いくら撃ちっぱなしでスティンガーを使っても、正面装甲を抜くことは出来ない。
「盆地北東部にT-72出現! 火力が不足し対抗不能!」
機銃を連射しながら装填が終わって二度目の主砲が発射された。ハンヴィーのタイヤが吹き飛んで、ひっくり返る。
「射界から外れろ、散開するんだ!」
仕方なく前進を取りやめて、デコボコの地形を利用して射線から外れるようにする。すると急にT-72が静かになった。理由は簡単、こいつは俯角が取りづらく射線が極めて狭いのだ。逃げ回れば被弾する可能性は減るが、包囲が出来なければ中央のビダらが抜かれてしまう恐れがあった。
一か八かで駆け抜けることも出来るが、それでは被害が立て続けに出てしまう。にっちもさっちもいかない、陽が暮れて来る、もうすぐ雲がかかった空も暗くなるだろう。
「トリスタン大尉着陣! T-72の傍から離れろ! 十、九、八……発射!」
「中隊緊急退避!」
UH-60からAGM-114K ヘルファイア II対戦車ミサイルが放たれると、T-72があっという間に爆散した。対空兵器があると撃墜待ったなしなので、さっさとブラックホークが戦場を離れる。
「敵を包囲した! 蹂躙しろ!」
所属不明の戦闘部隊、それを大きく包囲したクァトロ部隊が射撃を集中させる。目視で、熱センサーで、或いは範囲を決めて絨毯爆撃のごとくグレネードをぶち込んでいく。
「本部の予備兵を投入する、俺について来い! レオポルド中尉、サイード中尉、残る敵を殲滅するぞ!」
装甲戦闘車中隊を押し出して、左右に本部の軽装甲中隊と高機動車両中隊が続く。迂回部隊は火力が低いようで、ストライカー装甲車を撃破できずに後退していく、そのうちそれが敗走に切り替わった。軽快なハンヴィーが背を向ける歩兵を次々と仕留めていくと、戦意を失い離散していった。
「総員に告げる、我々の勝利だ、鬨の声をあげろ!」
――辛くも勝利した、といって良いのか? 助けがなくば危うかったが、それでも兵は満足に戦ってくれた。
太陽が完全に姿を消してしまう。仮総司令部の防衛に任務を切り替え、その日の晩を迎えると、国際放送で停戦処理が共同声明で発表された。
◇
ロシア軍がラチン回廊だけでなく、アルツァフ共和国に駐留することが追加されて状況が変化した。アゼルバイジャンを後援していたトルコも停戦を飲み、これからは争いを起こさない方向で進めるようにと声明を出す。イランはそ知らぬふりを続けていた。
アルメニアは実効支配していた領地の多くを失い、ナゴルノカラバフとその北東の街シュシャだけを残して全てを返還することで合意。五年後に破棄が無ければ自動更新ということで平和維持軍を受け入れる。双方深い傷跡を残して戦争は終了した。
敗北協定を結んだとしてアルメニアの閣僚は多数が辞任に追い込まれてしまう。そんな中、少数でステパナケルトを守り、シュシャの奪還を阻止したブカニャン退役上級大将が英雄として祭り上げられる。辞任のせいで空席になってしまった大臣ポストに暫定的に収まると、次期内閣で国防大臣に就任するとの声が聞こえてきた。
ロシアへの報告で、ドレコフ少将の類まれなる支援で戦争が終結した、そのように持ち上げるとクレムリンも形式上ドレコフ少将を遇しないわけには行かず、中将に昇進しカフカーズ軍管区司令官に任官した。
ルワンダ派遣軍は原発を防衛した功績を表彰される。だがラチン回廊での戦いで治安維持を行ったのはベルリンだという形になっていたので触れられることが無い。真実を知る大統領が与えることが出来る勲章だけを携えて、島はルワンダへ戻ることになる。
キガリ国際空港で待っていたのはニャンザ警視長だった。満面の笑顔で大統領府への道を完全封鎖して先導する。一般市民にとっては迷惑でしかないが、沿道で国旗やクァトロの軍旗を振っている者が多かった。
――隠していたわけじゃないが、俺が帰る日時を知っていて動員を掛けた奴がいるな。
隣に座っているエーン大佐をチラッと見るが無反応だ。まあどうでもいい、そう思いなおして前を向く。
大統領府では黒ぶち眼鏡をかけた初老の人物が待っていて、にこやかに迎え入れてくれる。執務室まで肩を並べて一緒に歩く。
「いやイーリヤ君、今回も素晴らしい働きだったようだね」
「自分は大して働いていません。殆ど部下の功績ですよ」
真実そうだったが、部下が働くかどうかは上司次第とも言えるので「そうかそうか」と頷くばかり。部屋に入ると差し向かいで座る。
「アルメニアからはくれぐれも感謝を伝えるようにと言われている。ルワンダの威信を高めたことは紛れもない事実だと、私は確信しているよ」
「原発を守ることは出来ましたので、その部分だけは功績を受け取ります」
あくまで控えめに申告した。そんなことはいつものことで、アフリカでも中東でも、南米でもことを小さく報告している。過大に報告され、ミスは隠そうとする輩が多いのは世界共通のこと。そんな中、慎ましやかに遠慮している人物を見付けると、相応の評価をしてやりたくなるのが人情だ。
「我が国から中将へ与えられるものは少ない、国内での不逮捕特権に免税措置くらいしかない」
「お構いなく。やりたいことをしてきただけですので」
超法規的措置で不逮捕特権を得たとしても、弾丸が当たれば死んでしまうし、糾弾されれば名誉は失われてしまう。
「アメリカより通達があったよ。君の国際指名手配を取り下げるように、各所と調整をしたとね。これで自由に島龍之介として好きな場所に行けることになった。ルワンダはいつでも門戸を開いているのを覚えておいて欲しい」
アメリカとロシアが協力をしたら世界中の殆どの場所で影響力を発揮できる。イスラム教の強い国を避けておけば恐らくはもう悩まされることはないだろう。
「行くのかね」
「はい。自分にはまだすべきことがありますので」
立ち上がると敬礼する。島龍之介、ルンオスキエ・イーリヤ。この名前がついに原理主義者たちの監視下におかれてしまい、今回の活躍でブラックリストの五位に躍進する。トップは言わずと知れたアメリカ大統領が固定だが、いよいよ有名人になってしまった。
――俺はこの道を選んだ。自らの意志を貫き通すまでだ!
レジオネール戦記・遺産編 終了




