3 噂の館
いつもどうり、短いですが三話目です。
喫茶店から出たユミ達は早速、噂の館へと向かった。しかし……、
「おおっ! これ美味いな!」
「あれも美味しそうよ」
「この焼き鳥美味しい!」
「…………」
この様である。完全に目的を忘れている気がするが私もこの状況を楽しんでいるので、あえて何も言わない。
私は別に噂の館に行きたいわけではない。友達と楽しく遊べたらそれでいい。
「そろそろ、行こうか」
「そうだな、俺はもう十分食べたし」
「僕も食べ終わったから行けるよ」
本来の目的を忘れてなくて少し安心した。この歳でボケが始まると大変である。
「ユミ、何も食べて無いけど大丈夫?」
「(こくん)」
みんなが色々食べている間、私は何も食べて無い。私は元々少食なのだ。また、あまり食べない方が、武術の稽古時にしんどくならなくてすむ。
「朝食も十分とった事だし、館に向けてしゅっぱーつ!」
「おう」
「はい!」
「(こくっ)」
この時、時計を確認してみると11時であった。集合してから、かれこれ3時間も朝食をとっていた事になる。ある意味手遅れなのかもしれないが、かける言葉も見つからないし、そもそも私は話せないので、苦笑いをしただけであった。
王都の外れに行くにつれ、だんだんスラム街が目立つようになってきた。国は別に苦しいわけではないが、なぜか、一向にスラム街が少なくなる気配がない。私は政治に詳しくはないので直接、口には出さない。しかし、スラム街が増えている訳では無いので、国は安定しているようだ。
「ここはいつもと変わらず陰気臭いな」
「ここに居る人も好きで居るわけではないから、そういう事はあまり言わない方がいいよ」
「そうだな」
ツナとジュンがスラム街について話していたがやはり長くは続かない。
「ここの話をしても長く続かないし、早く行こっ」
私と同じことをエリカは考えていたようだ。
「それもそうだな」
「いいよ」
そうして、私達は今日の遊ぶ目的である館にやってきた。
「いかにも何か出るって感じね!」
「とても古そうな館ですね」
私もそう感じた。館の外壁の至る所にツタが張っていて、いかにも何かいそうな雰囲気を醸し出している。しかし、何か違和感を感じるような雰囲気もあった。
「早速、中に入ってみようぜ」
「こういうのは、まずは外壁から見る物ですよ」
「そうか……分かった。楽しみは後にとっておくもんだもんな」
そう言って二人はまず外壁から見て回っていった。
「私達も行こっ」
「(こくっ)」
そう言って(?)私達は外壁を見て回った。
館の側面も確認しようとしたが草木で先に進めなかったので断念した。
「別にこれといった物は無かったですね」
「良し! それなら中に入るか!」
「行こ-!」
「(こくり)」
そう言って私達は館にへと姿を消していくのであった……。
今回でやっと本編のスタートラインに立ちました。
次回はもっと長く書けるように頑張ります。