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第六話

 登場人物紹介


 登木 勇太郎  ……青山吹高1年2組。ユウくん、ボリと呼ばれている。

 土筆坂 りぼん ……幽霊。下ネタ発言が多い。

 登木  灯   ……勇太郎の妹。恐がり、金の執着心が薄い。

 安嶋 大騎   ……勇太郎のクラスメイト男。いがぐり頭。

 若槻 妃織   ……勇太郎のクラスメイト女。ギャルっぽい。

 佐俣 啓悟   ……1年3組。男。ちょっとおかしい。

 喜多見 渚   ……1年4組。女。おとなしい。

 翌日の土曜日。

 朝食と掃除を済ませた俺は、

 りぼんを引き連れてある場所へ向かっていた。


「どこへ行くの?」


「まずは情報収集ってとこだ」


「情報だったら、

 テレビとかパソコンとかケータイでやればいいじゃん」


「1年前のことが都合よくテレビで流れていると思っているのか?

 ましては田舎の事件なんて放送してるはずがない。

 それにネットの情報も案外鵜呑みにできないんだぞ。

 やっぱり情報は足で稼ぐのが1番。

 こうして歩いているだけで、

 見えないものも見えてくるかも知れないからな」


「だからって、ただぶらぶら歩いても」


 ぷくーっと一瞬頬を膨らませたりぼんだったが、

 急にしぼませて、ゆでダゴのように紅潮させた。


「もしかしてデート? 

 ユウくんったら情報収集とかオブラートに格好つけて、

 私とイチャイチャしたかったのね」


「いや、当てもなく歩いているわけはない。

 これでもちゃんと目的地へ向かっているんだ」


「交番?」


「違う、図書館だ」


「ああいう静かな場所、イマイチやだな」


「『図書館では私語は小さな声で』。

 これは常識だけど、

 りぼんの声は誰にも聞こえないし、見えないから普通でいいよ」


「ふーん、それより菜の花きれい。白いチョウチョも飛んでる」


「春だからな」


「ねえ、あそこの山のふもと、桜咲いてるよ。

 帰りに寄っていこうよ」


「わかったから」


 今のりぼんを例えると、

 菜の花にたわむれるモンシロチョウ。

 まるで昨日の現実を忘れているような雰囲気だった。



 そして俺たちが図書館に着いたときは、

 昼前に差しかかったいた。

 木造の建物で田宝村の知識が、

 ぎっしりと詰まって貫禄かんろくが備わっていた。


「ここからはあんまり喋らないからな。喋っても小声だ」


 危なっかしいりぼんのことなので、

 更に念を押してドアも開けると、

 左手に受付の長机があり、

 司書らしき人が座って書きものをしている。


 俺も利用していいんだよな? 村民だし。

 ペコリと軽く頭を下げて中を見渡した。

 テーブルで勉強している学生や、

 新聞をパラパラとめくっているお年寄り。

 土曜だけど人はまばらだった。


 さてと、目的の場所はっと。

 更に注意深く見ると、

 光沢のある様々な定期刊行物がそろ った雑誌コーナーの横に、

 資料検索のために使われるパソコンが3台あった。

 残念ながら3台とも埋まっている。


 空くまで違うのを探してみるか。

 当てもなく室内をぐるぐる探ることに。

 頑丈な本棚をすり抜けると埃の匂いがした。

 引き締まった本の背表紙を眺めるだけで頭がくらくらする。

 普段利用しないだけあって、

 身体が拒絶反応を起こしているのだろうか。


「一体何の本探しているの?」


 りぼんが不思議そうに言った。

 周囲を確認した俺は小声で、


「本ではないよ。

 1年前の事件のこと。

 全国で話題にならなくても、

 地方の新聞や夕刊に載ってるだろうって」


「でも1年前の新聞なんて置いているわけないじゃん」


「予想ではパソコンの中に入っている。

 使用中だから空くまで時間を潰しているんだ」


 そんな俺の目に止まったのは、

 田宝村の歴史という分厚い本だった。

 暇つぶしにと抜き取ってページをめくる。

 かなり年期のはいっているものであり、

 少々中身が黄ばんでいた。


 まいっか。

 その本を持って日当たりのいい窓際の席に腰を下ろした。

 その2つ左隣には、

 セーラー服を着た黒ロングメガネの地味な中学生女子が、

 本を立てて読んでいる。

 できるだけ差し支えのないようにしよう。


 田宝村の歴史……。

 稲作に重宝されているからその名が付いたらしい。

 昔、この村が大飢饉に襲われたとき、

 ある旅人が一粒の金の米を田んぼに投げ込んだところ、

 たちまち枯れていた稲穂が、

 すくすくと元気を取り戻し村人たちの命を救ったような。


  ……幻想的な話だな、こりゃ。


「ねえ、あの子見てよ。

 休みの日なのにセーラー服だよ。

 変だよね、おかしいよね。

 きっと『今日が平日だと思って登校してきたら、

 学校やってませんでした』、

 ってパターンだよ。

 泣く泣く帰宅できないから、ここで時間を潰してるみたいな」


 半笑いを浮かべるりぼんに、

 ポケットからメモ帳とボールペンを出して書いて見せる。

 静かにしろ。


「大丈夫だって。

 私の声なんかユウくんにしか聞こえてないし。

 しかしあの地味子、

 優等生タイプだけど嫌われぼっちだね。

 本が友達ってやつ。

 ブックカバーしてるけど、

 中身は絶対官能小説だって。

 頭ん中でエロエロ妄想してるんだよ。

 神聖な場所で参っちゃうよね」


 りぼんは自分で言ったことにウケたらしく、

 ゲラゲラと手を叩きながら大爆笑した。

 いくら聞こえてないしろ失礼だろうが。

 ちらりと気になって本を顔に向けたまま、

 彼女を流し見るとピクピクと眉を痙攣けいれんさせている。


「地味子がなに読んでるか見てくるね」


 ふわりとりぼんは、

 肩越しから顔を覗かせて図々しくも音読し始める。


「ベッドに私の身体を放り投げ、彼は覆い被さった。

 優しくするから……。

 彼の息は荒く厚く弾んでいる。

 服越しに彼の手が私の胸に……」


 おい、止めろ、生々しいぞ。


 すると彼女はバダンと大きな音を立てて本を閉じ、

 立ち上がって図書館の出口へ行ってしまった。


「あーあ、山場だったのに」


 がっかりするりぼんは、俺の背後にカムバック。


「おとなしくしてろ」


 周囲に誰もいなくなったので小声でかつを入れた。


「ユウくんの視線がいやらしかったから逃げちゃたんだよ。

 あーあ、ヒマだな。

 こういう肩苦しいとこ好きじゃないんだよね。

 早く調べ物済ませて桜見に行こうよ」


 りぼんは手にかかる子供のように駄々をこねる。

 確かに俺も一定の姿勢を保ちながら本を読んでいると、

 目にも肩にも疲れが襲ってきた。

 家だったら寝そべってやれるんだけど。

 パソコンが空いたかも知れないから見てくるか。

 再度様子を見ても埋まっていた。

 しかも別の人。

 館内では人気スポットのようだ。


 さてどうするか? 

 このまま無言の威圧いあつをかけるか、

 郷土資料でも眺めて時間を潰すか、

 諦めてで行くか。


「もう諦めて帰ろうよ。

 どうせ昔に記事なんか見ても大した情報載ってないって」


 りぼんも言うことも一理あった。

 事件の後ろ髪を掴めたらいいなってくらい安直な考え。

 ここは諦めるとするか。


 りぼんに頷いて図書館を出た。

 そう考えると、ここに何しに来たのかわからない。

 時間の無駄だった。



「うわぁ、きれいだね」


 そして俺たちの向かった先は、

 山のふもとにある桜並木。

 5分咲きではあるが、

 雪のように風に舞う花びらはいつ見ても、

 ファンタジーの世界に足を踏み入れた感覚に陥ってしまう。

 りぼんは子供のようにはしゃぎながら、

 時にはダンサーのように、くるりとターンを決めながら並木道を楽しんでいた。


「ほらユウくん、歩くの遅いよ。早く」


 そんな姿に釣られて自然と笑みを漏らすにはいられない。


「お昼はどこで食べるの?」


「頂上に広場があるからそこで摂るよ」


 来る途中に駄菓子屋があったので、

 あんパンと紙パックのカフェオレを購入。

 田宝村にはコンビニはないものの、

 駄菓子屋のレトロな雰囲気は好きにならずにはいられなかった。


「とーちゃく」


 散歩がてらに山の広場に着いた。

 桜の木は生えてないものの、

 辺りは緑一色の芝生が茂っており、

 土曜日だけあって家族連れか知らないけど、

 何組かがレジャーシートを敷いて食事を楽しんでいる。


「あそこにベンチがあるよ? そこで食べようよ」


 りぼんが指したところは、

 村の風景を一望できる先端部分。

 丸太の柵が交互に組まれており、

 その辺りの地面は土だった。

 意外にベンチには先客はおらず、

 食事には打ってつけのスポットだろう。

 ベンチに腰をかけて、

 紙カフェオレの口を開けてストローを差し込む。


「ここからの景色もきれいだね、

 ユウくんのお部屋から見えるアングルもきれいだけど」


「まあな」


「ちょっと、食べながら話さないでよ。

 せっかくのシチュエーションが台無し」


 柵越しに黄昏れていたりぼんが、

 首だけを振り向いてクレームを垂れ流す。


「りぼんはいいよな、

 腹は減らないから飯を食わなくてすむし」


「そんなことないよ。

 私だってユウくんが美味しそうに食べてるのうらやましいんだから」


 意外にも謙虚な返事だった。

 「へへーん、いいでしょう」っていうのかと思っていたので、

 これまたびっくり。

 そしてゆっくりと歩み寄り、俺の右横に腰を下ろす。


「この姿だと視覚と聴覚くらいしがないの。

 何も食べられないし、風や桜の匂いもわからない。

 そしてユウくんにも触ることができない……」


 さっきの元気と裏腹に、

 しゅんと落ち込んでしまった。

 幽霊だからってメリットばかりではないようだ。

 気まずい。

 りぼんのことを考えて言うべきだった。


「俺だっていつも匂い嗅いでるわけないし、

 嗅覚衰えてるから心配ないって」


「もう、慰めになってなーい」


 頬を膨らませた後、

 ふふふと意味深いみしんに含み笑いを浮かべた。

 そして俺の顔を覗く。


「ユウくんは何か思い出した?」


「思い出すのは、りぼんのほうだろ」


「小さい頃、遊んだ私との思い出」


 そういうことか。


「いや、何も思い出せない。

 っていうか、

 今まで生きてきて、あんまり良い思い出ないな。

 修学旅行でバスに置いてきぼりにされたり、

 タクシーの跳ねる水を被ったり、

 妹にアゴでこき使われたり……」


「ぷっ、そんなの生きていれば大したことないじゃん」


 口元を隠してクスクスと笑っている。

 ぶっちゃけ内心傷ついてるんだが。


「最悪だなって感じた1日の中にも、

 ラッキーとかツイてるとか奇跡がいくつもあったはずだよ。

 不幸のインパクトが強すぎて見落としていただけだって」


 言いたいことがわかるような、わからないような。


「今こうして、

 ユウくんと何気ない話をしているのも小さな奇跡なんだよ」


 すうーっと立ち上がったりぼんは、

 俺に背を向けて歩いたと思えば、

 くるりと回ってはにかんだ。


「奇跡ねぇ……」


 手に持っていたあんパンは、

 無意識のうちに三日月になっていた。

 味は覚えていない。


「ねえ、それ食べ終わったら鬼ごっこしようよ?」


「却下だ。

 そこまでガキじゃない。

 それに食後は安静にしてないといけないんだ」


「ぶうー。なんかおっさん臭いぞ」


 少し頭を捻ればわかるレベル。

 りぼんと鬼ごっこなんて……。

 傍から見たら奇声を発して走り回る、

 通報レベルの俺の姿しか浮かび上がらない。


「これからの予定は別にないし、

 ここでゆっくりしてるから、ぶらぶらしてこいよ」


「腰が重い。

 ぐーたらしていたらナマケモノになっちゃうんだから」


「はいはい」


 敢えて反論はしなかった。

 りぼんはふてくされたような顔をして、

 ふわふわと消えていった。


 ようやくひとりか。

 残りのあんパンを口に放り投げ、

 カフェオレで流し込みゆっくりと目を閉じた。

 風と共に運んでくる青葉の匂いは、

 どことなく嗅覚を優しく撫でて心地よい。



「ユウくん起きてよ」


「ん?」


 目をこすって見開くと、りぼんが必死に連呼していた。


「うわぁ、幽霊!」


「寝ぼけないでよ、

 幽霊だけどさぁ、

 それよりもう夕方。

 帰ろうよ」


 現状を確認すると、

 俺はだいぶ眠っていたらしい。

 辺りは人もけてしまい、

 青葉のじゅうたんもオレンジ色に染まっていた。

 ケータイを取りだして時間をチェック。

 4時42分。

 日が暮れる時間帯だ。


「もう、全然目を覚まさないから死んでるのかと思ったよ」


「人を勝手に殺すんじゃない。

 ここ数日悪霊に取り憑かれていたから、

 疲労がピークに達していたんだよ」


 ベンチから立ち上がって首を左右にコキコキと鳴らした後に、

 両手を挙げて背伸びした。

 柵越しの風景は1本の電車が、

 夕日を浴びてカタンコトンと走っている。

 もし平日だったらあの時間帯の電車に乗っていたんだろうな。


「ボケッと黄昏れてないで帰ろうよ」


「そうか、ようやく自分の家に帰る気になったか」


「そうだよ、私たちのお・う・ち」


 気持ち悪くウインクをしてきやがった。

 やはり自分の家に帰る気にならないのか。

 敢えてきツッコミを入れずに、

 ドラム缶半分くらいの大きさのゴミ箱に、

 あんパンの袋と紙パックカフェオレを捨てて出口の歩道まで進む。


「待ってよぉ。ユウくんのテレ屋さん」


 りぼんはどこまでもプラス思考だった。



「夕暮れの桜もきれいだね」


 来た道と一緒なので、帰りも桜並木を経由していた。


「個人的には不気味なんだが。

 もうちょっと村の名物スポットとしてライトアップすればいいのに。

 それどころか提灯ちょうちんすらないのか? 

 花見シーズンだぞ」


「暗いほうがムードが出るでしょ。

 恥ずかしいから電気を消して……。

 いやーん、ユウくんのエッチ」


「アホか!」


「あれ、ユウくん。あの子って?」


 寸止めしたりぼんの目先を追うと、

 昼間図書館で見かけた黒ロングメガネのセーラー服の女子だった。

 1本の桜の木に手を添えて、

 じっとこちらを見ている。


「間違いないよ、官能地味子だって。

 こんなデートスポットにひとりで来て寂しい女」


「あっちから見たら、俺もひとりだぞ」


「ユウくんはセーフなの。

 私とカップルだから。

 地味子はアウト」


「さすがに、その名前はないだろ」


「私のネーミングセンス、バカにしてるの? 

 これでも考えて考え抜いて辿り着いた答えなんだからね」


 そんな俺たちは彼女を避けるように通過しようとした。


「……私の名前、地味子ではありません」


 俺の足は貼り付けられたようにビタ止まりした。

 おかしい、何かがおかしい。

 俺は地味子なんて口にしていない。


「地味子は地味子で役場に申請したから、変更はできません」


 抵抗もなく反論に出たのはりぼん。

 そして彼女は俺に脇見もくれずに、

 りぼんの正面に移動して、


「図書館ではお静かにできないのですか? 悪霊さん」


「神聖な場所で官能小説読んでるのが、

 いけないんですよーだ」


 べぇーと舌を出して子供のように挑発を仕向ける。


「読んでません! 

 あなたが勝手に解釈かいしゃくしただけでしょうが!」


「そーだっけ。わかんなーい」


 肩をもつつもりはないが、

 彼女がそこまで言い張るんなら、

 きっとりぼんのイタズラに過ぎない。

 いや、そんなことよりも。


「あの、地味子さん」


「あんだと!」


 彼女の怒りゲージに油を注いでしまったようだ。

 額には青筋が幾千も生えている。


「もしかして、りぼんの声も姿も聞こえてるのかなって」


 激昂げっこうしている彼女に、

 さすがに弱気になって腰が引いてしまった。


「見えてますし聞こえているから、

 話しているのですよ。バカ!」


「ユウくんをバカにしても、

 私をバカにするのは許さないんだから!」


 おい、りぼん。フォローになってないぞ。


「だから何でりぼんの姿が見えるの?」


「近寄らないでください! 

 理由は1つしかありません」


 冷静を取り戻そうとしつつ、

 言葉遣いに荒さが減ってきた。

 理由は1つ。

 その言葉を復唱する。

 要するに彼女は霊感が強い。

 これはチャンス、味方にすれば心強い。

 だが、今の状況からすれば厳しい。

 まずはりぼんを説得しよう。


「図書館の件はお前が悪い。

 心を入れ替えて謝罪しろ」


「ちょっとユウくん、

 地味子の肩をもつの? 

 散々バカにしてきてるのよ」


 今にもかみつきそうな状況。

 聞く耳持たぬってことか。

 仕方ない、ここは彼女に一歩引いてもらおう。


「あの、ここは……」


「話しかけないでください」


 鼓膜が破れるくらいの鬼の一喝。

 りぼんより手強い。


「ちょっとユウくんに向かってその口の利き方はなによ!

 地味子のくせにあり得ないし」


「あなたの存在自体あり得ません。

 成仏してください」


 ふたりの目先には、

 パチパチと熱い火花が散っている。

 修羅場と化してきた。

 だがここで、めげる俺ではない。

 ケンカ両成敗に踏み切ることに。


「ふたりとも、ガキじゃねえんだから、

 つまらないことで、いがみ合ってんじゃねえよ!」


 無理やりふたりの身体を引き離そうとした。

 右手にはりぼん、

 左手には黒ロングの彼女。

 当然ながら右手の感触はない。


「どこ触っているのですか!」


 左手にはムニュっと柔らかい感触が。

 それを忘れるかのように、

 彼女の右ストレートが俺の顔面を直撃。


「いてっ!」

 咄嗟とっさに情けない声を上げてしまったが、

 ぶっ倒れるくらいの衝撃はなかった。


「ユウくん、大丈夫?」


 優しくりぼんが寄ってきた。

 それに比べて、


「この痴漢! 

 変態! 

 スケベ! 

 全人類の敵!」


 言い草に腑に落ちるが、

 怒りの矛先は俺に向けられた。

 作戦成功、

 自己犠牲をしてケンカを止めることができたぜ。


「鼻血、鼻血出てるよ」


 俺は人差し指で鼻の下をこする。


「血? うわあああああああああああ!」


 身体中の力が抜けて、目の前がホワイトアウトしていく。


ここまでお付き合い頂き、誠にありがとうございます。


次回投稿予定は、1月27日の予定です。



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