頼み
部屋に入ると、草原が広がっていた。見渡すと丘の上にログハウスが見える。トムとマリーはその家の玄関まで来るとドアが勝手に開いた。
「来ると思ってたよ、お茶を入れたから中へおいで」
中から現れたのは、先ほどまで戦っていたレーラーだ。トム達は言われるがままに中に入り、席に着いた。
「変わりないようで安心したよレーラー」
トムとマリーは紅茶に口をつけながら、目の前のダンジョンボス談笑し始めた。
「しかし、マリーほんとうに強くなりましたね、最後の手はしてやられました」
「いえ、そんな・・・・・・たまたまうまくいっただけで」
レーラーに褒められたマリーは、照れた顔を隠すように紅茶をグイッと飲んだ。
「それで今日はどんなようなんですか?」
「あぁ、忠告だ【苦痛なき世界の会】が本格的に動き出した。あいつら、ダンジョン核を潰す気らしい」
「トムと度々、小競り合いを起こしている集団の噂は聞いていましたが、そんなに厄介なのですか?」
「最近の連中の動き方が妙なんだ。気を付けといてくれ」
「分かりました気を付けておきましょう。そうだ、私から一つ頼み事をしてもいいですか?」
「なんだ?」
「このダンジョンを使わないのであれば、所有権を放棄していただきたいと学園長殿に伝えていただけますか?誰も来ないダンジョンというのは、あまりにもさみしくて、もう学園が使わないのであれば、一般に開放してほしいのです」
「分かった伝えておくよ」
そういうとトムは立ち上がり、出て行こうとする。しかし、マリーは座ったままだ。
「私はもうすこしレーラーと話してから帰りますね」
「そうか」
にこやかに言うマリーにトムも頷いて、家から出て行った。
ログハウスに残ったマリーは、レーラーに全てを話した。そしてあることを頼む。
「なので当日はダンジョン最奥まで通してほしいんです」
マリーの真剣な目をみて、昔のトムの目を思い出した。父を探すためにダンジョンに潜る決意を決め、幾度と自分に挑み続けた少年の目とそっくりだった。
「仕方ないですね」
「ありがとう!レーラー!」
思わず抱き着くマリーの手をほどきながら心の中で呟いた。
『この兄妹にはいい薬になるでしょう』
レーラーはマリーを座らせ、おかわりの紅茶を注いであげた。
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