刀の秘密
昨夜の事件は、街のいたるところに知れ渡り、騎士団が事態を鎮圧したことになっていた。トムの関与はどこにも記されていない。
「兄さんの活躍がどこにも書かれていないなんて!」
「いや、オレが書かないように頼んだって」
マリーは、学校への道をトムと歩きながら憤慨していた。その様子に苦笑する。ちなみにリルイは、
『りふぉーむする!』と息巻きメイリー達使用人を巻き込んで、ミニチュアの自分の家に何やらしていたのでお留守番だ。そんな登校中に、見慣れた人物を見かける。
「ドレット!エリーゼ!」
「トム、マリーおはよう」
「おはよう」
二人と合流しアカデミーへと向かう中で、当然昨夜の事件の話になった。マリーがあっさりトムが関わっていることを話したせいで、一から事情を説明した。トムと出会ってから驚き続けている二人もさすがになれたようで、すんなりと受け入れた。ふとドレットがトムの腰に差している刀を見る。
「前に見かけた時思ったけど、トムのその刀って魔剣だよな?」
「そうだぞ。さすが、鍛冶貴族の息子」
「なんの魔法が付与してあるんだ?」
そう言いながらドレットは、トムの刀に触ろうとする。しかし、トムがドレットの手首をとらえた。
「下手に触ると気絶するぞ」
「まじでなんの魔法が付与されてんだよ」
「あれ?でも前マリーがトムは魔力を使えないって言ってなったかしら?」
会話を聞いていたエリーゼが首を傾げる。
「それなのにどうやって魔剣に付与させてる魔法を発動させるの?武器に魔力流し込めないと使えないわよね?」
「そうだ。俺は魔力操作ができない。この【白無垢】に付与されてるのは魔力吸収と自動修復だ。この刀の柄を持つと強制的に魔力を吸収されて、自動修復が発動するようになってる」
「自動修復は分かるけどよ。魔力吸収は何でだ?」
あれだけ戦闘にシビアなトムが、持つものでは無いように思える。
「エリーゼが言うとおり、俺は魔力操作ができない。武器に魔力を纏わせるなんて無理だからな、武器の方から吸ってもらってるんだ」
「そこまでする必要ある?」
「刀なんて二、三体敵を斬っただけで使い物にならなくなるからな。こうせざるを得なかった」
トムの刀について話しているうちに、アカデミーの入り口が見えてくる。入口にはナタリアが立っていた。
「ナタリア先生が立っているなんて珍しい」
「何かあったのでしょうか?」
エリーゼとマリーが首を傾げていると、向こうがこちらに気づいたようで、手招きしている。
「おはようございます」
「おはよう。トム、少し良い?理事長が呼んでるの」
「今日はダンジョン学無いと思うんだけど」
「良いから」
ナタリアは、エリーゼたちに挨拶を返し、トムを引っ張って理事長室に連れて行ってしまった。残されたドレット達は顔を見合わせる。
「今度は何やらかしたんだ?」
「「さぁ?」」
三人は、疑問符を浮かべながらも、各自の教室へ歩いて行った。
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