異変発生
マリーはクロムと並び、水を飲み終え、ナタリアの元へ戻っていた。
「そういえば、お兄さんは今日のいつ頃帰ってくるの?」
クロムは、ふと気になったことをきいてみた。
「昼過ぎにここに来ると言っていたわ」
「え、ここに来るの?」
クロムは予想外の答えに思わず聞き返した。
「えぇ、叔母様に頼み事があるとかで来るって言っていたわね」
「へぇーどんな頼み事だろうね」
「さぁ?多分迷宮がらみだと思うけど」
「へ?迷宮?なんで?」
「兄さん探索者なの」
「え!そうなんだ!」
マリーとクロムは他愛もない会話をしながら、歩いていると突然、中等部のグラウンドと高等部のグラウンドを仕切っている並木の向こう側が光始めた。二人はあまりのまぶしさに思わず目を伏せる。
「な、なに!?」
クロムとマリーが叫ぶ。光が収まると二人はナタリアの元に駆け寄る。
「今のはなんだったんですか?」
「わからないわ、高等部のグラウンドみたいだけど、魔法実験するなんて話は、聞いてないんだけどなぁ」
そうつぶやきながら、ナタリアは教員用通信魔道具を取り出し高等部と連絡を取ろうとした時、
ギェェェェェェェェエエエエという鳴き声が聞こえたかと思うとゴブリンやオーク、他にも多種多様な魔物が無数と言えるほどに並木から現れた。
「何でアカデミーに魔物が?!」
生徒たちはありえない事態に取り乱し、パニック寸前の中ナタリアは冷静に指示を出す。
「全員校舎の中へ!」
ナタリアは迫りくる魔物たちに短杖を向け詠唱をする。
「我が引くは、幾千の火炎、その力宿す弾有せし銃の引き金、フレイメルトリガー!」
詠唱終了と同時に、たくさんの赤い魔方陣がナタリアを中心に展開される。その魔方陣から炎の弾が放たれる。その結果は、火の海だった。無数にいた魔物は無残にも焼け焦げ、校庭に屍の山を築いていた。しかし、まだ魔物の勢いは衰えない。次から次へと並木から、新しい魔物たちが出てくる。ナタリアが魔法で魔物を殲滅している間に、生徒は避難していた。『これは、召喚魔法?』ナタリアは、迫りくるトカゲのような魔物に風穴を開けながら考えていると、気配を感じ咄嗟にその場を飛びのく。すると、校庭の砂の中から大きな鮫が現われた。ナタリアは驚きをあらわにしながら、その鮫の頭を魔法で潰す。
「なんで砂ザメなんているのよ!砂漠にいる魔物でしょ!」
ナタリアは声を荒げながら見回すと魔物たちに囲まれていた。『この数と種類の多さはまずいわね』ナタリアの頬を嫌な汗が伝う。すると水の柱がナタリアの周りにいる魔物を吹き飛ばした。
「ナタリア姉さん手伝います。」
ナタリアが後ろを振り返ると、杖を構えたマリーと訓練用のガントレッドを着けたクロムがいた。
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なるべくはやく更新します