授業の下準備
アカデミーには複数の廃棄地区が存在する。そのほとんどは危険だと判断され使われなくなったものだが、他にも使用者が減ったからと廃棄された場所がある。それが、アカデミーの隅っこに存在する【大広場】だ。東京ドーム一個分ほどのスペースだが、以前は多くの生徒がここで自作魔法や自身の鍛錬に使っていた場所だった。授業の二日前トムはここを訪れていた。
「まじかよ・・・・・・」
「ボーボーだね♪」
雑草が伸び切り、大広場を覆いつくしていた。
「廃棄地区になったとは聞いてたけど、どうすっかな」
アキラがため息をつきながら肩を落とす。
「燃やしちゃえば?」
リルイが可愛い声で、スゴイ過激な事を言う。しかし、それがいちばん手っ取り早いと思ったトムは【白無垢】を抜き、草をかき分け広場の中央へ行く。
「【かがり火】」
その雪のように真っ白な刀身が赤く染まり、剣先に小さく炎がともる。
「【炎回陣】」
呪文を唱えながら刀を一回転振り回す。炎がトムの周りから沸き上がりトムを中心に炎の竜巻が舞い起こる。竜巻はどんどん広がって、広場の草を焼き払って行った。
「この灰も吹き飛ばすか【辻風】吹き飛ばせ」
そう言いながら今度は緑に染まった【白無垢】を横なぎに振る。強風が起こり灰をふきとばした。そして、そこには多くの学生の鍛錬の場、昔の【大広場】が出現していた。
ライラは理事長室で優雅にお茶を飲んでいた。窓から見える学園の風景を眺めながらお茶を飲む。この時間が好きだった。いつもと変わらない風景を眺めていると、天を突くかのような炎の竜巻が起こった。飲んでいた紅茶が気管に入りむせながらもう一度窓の外を見る。錯覚だと願いながら。しかし、現実は残酷で竜巻はまだあった。というよりどんどん大きくなり、その存在を主張していた。
「あの方向は確か大広場・・・・・・トムね。はぁ、あの甥っ子は」
そう言いながら、笑みを浮かべながら炎の竜巻が起こる学園の風景を眺める。その光景にかつての賑やかな学園を思い出しながら、また紅茶に口をつけた。
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