学園の魔法授業
「じゃあ、まず騎士志望の子と魔術師志望の子に分かれてください。騎士組は一対一の演習を魔術師組は二人一組で防御魔法と攻撃魔法の練習をしてください。」
女教師はテキパキと指示を出す。そこに悲しそうな顔をしたマリーが駆け寄る。
「ナタリア姉さん、私は誰と組めばいいですか?」
「あなたねぇ、学校では先生でしょ。いくら従姉だからって」
ナタリアはあきれたようにため息をついた。
「すみません。ナタリア先生、どうすれば良いですか?」
マリーが頬を染め俯きながら、言いなおし再度尋ねるた。
「また余ったの?しょうがない、私とやるわよ」
「ありがとうございます!」
ナタリアは再度ため息をつき腰から杖を抜いた。マリーは嬉しそうに笑い杖を構える。
「いい加減、クロムさん以外の友達も作りなさい。私だって、いつも相手してあげられるわけじゃないんだから」
「すみません、なんかみんなに避けられてしまっていて」
ばつが悪そうにいマリーは顔を伏せる。
「あーもう、わかったから杖を構えなさい。あなたから攻撃でいいわ」
「はい!」
ナタリアはタイマーをセットし胸から下げる。マリーはナタリアがタイマーをしまったのを確認し、短杖を向ける。
「アクアショット」
杖の先から拳ほどの水球が勢いよく放たれる。ナタリアは杖を横に向ける、魔法防御姿勢だ。
「ウォール」
ナタリアが唱えたと同時に水球がナタリアの体の前で何かにぶつかったようにはじけた。
続けてマリーは、いくつもの水球を作り出し、ナタリアにぶつけるが、すべてナタリアの前の見えない壁に阻まれる。水球が壁にぶつかる度に金属同士がぶつかるような音がする。
その様子は周囲の生徒の注目を集めていた。
「おい、あれ見てみろよ」
「うわー、マリーさんの魔法って初級の水魔法だろう?何であんな威力と速さになるんだよ。」
「かなり圧縮して打ち出してるみたい、さすが学年一優秀な生徒ね」
口々に話す生徒にナタリアが気付き、叱りつける。
「コラ!みんなも集中しなさい!」
ナタリアはマリーから視線を外しながらも、四方八方から飛んでくる水球を防いでいく。
「ナタリア先生も、あれをノールックで防ぐとかさすがだよなぁ」
誰かがそうつぶやいたとき、その生徒の後頭部に魔力玉がパァンという炸裂音を響かせ命中した。
「みんなちゃんとやりましょうね。」
ナタリアは先ほどよりも優しい声音と優しい笑顔だったが、目の奥が全く笑っていなかった。
「「「はい!」」」全員が軍人のような見事な敬礼をし、ペアと向かい合う。
「全く・・・」
ナタリアは前を向くと、マリーが大きな水球を作っていた。ナタリアは焦りの表情を浮かべ『ヤバッ』と思い。先ほどよりも魔力を籠め、防御を固める。
「アクアドラゴネス!」
マリーが叫ぶと、大きな水球から五匹の水の龍が出現した。五匹の龍はナタリアに向かってくる。ナタリアは短杖を一匹の龍に向けると、短く詠唱する。
「エアリアルトリガー」
詠唱と同時に空気の弾が龍の頭に飛んでいき、炸裂する。同時に龍の頭がはじけ飛ぶ。ナタリアは追ってくる龍たちを避けながらその頭に空気の弾を打ち込んでいく。先ほど自分のペアと向き合った生徒たちも思わずまた注目してしまう。
ナタリアが全てさばき切ったところで、ナタリアの持っていたタイマーが鳴る。
「全員休憩!三分後また再開します!」
ナタリアは生徒たちに呼びかけた。その足でマリーのもとに向かって行く。
「マリー、トムが帰ってくるからって張り切り過ぎよ、詠唱無視で中級上位魔法放つなんて」
ナタリアはあきれたように声をかけた。
「すみません。でも結局ナタリア姉さんに対処されてしまいました」
マリーは肩を落とす。
「あなたは十分成長してる。トムだって褒めてくれるわよ」
ナタリアはマリーの方に手を置き励ます。
「そうでしょうか?」
不安そうな瞳をナタリアに向ける。ナタリアはその額にデコピンする。
「なんて顔してんのよ。大丈夫よ、私が保証する。ほらクロムさんが呼んでるわよ。水飲んでらっしゃい」
遠くからマリーを呼ぶクロムが見えた。マリーの顔から不安の色を消えクロムのもとに走っていく。ナタリアは従姉の後姿を微笑みながら送り出した。
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