表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/87

プロローグ

一面が緑の芝生で覆われたとある草原。風が吹くたびに波打つ芝生の中心に、一つの塔があった。神聖さすら感じる白さのその塔は、天を衝かんばかりにそびえ立っていた。不意に塔の一部が光り出すと、そこから一人の青年と小さな光の塊が放り出された。青年は肩まで伸ばした黒髪を後ろで結び、動きやすそうな黒い服装の上に灰色のベストを着て、その上から真っ白なローブを羽織っている。手には刀身が白い刀が握られていた。青年は頭をさすりながら塔を睨みつける。


「いってえ~!もう少し丁寧に追い出せよな!」


そんな悪態をつきながら、草原に仰向けに寝転がる。そんな青年に、小さな光の塊が近づく。


「またダメだったね~」


無邪気に笑いながら青年に声をかけた。光をよく見ると、ピンク色の髪をツインテールにし、全身真っ白なノースリーブのワンピースを着ている小人だった。小人は空を飛びながら、寝転がっている青年のおなかに降り立ち青年に問いかける。


「どうするの?もう一回行く?もう三十一回目だけど」

「いや、さすがにもう無理だな。今の俺じゃ攻略できない。」


青年は立ち上がり、刀を鞘にしまう。小人は青年が立ち上がると同時に、飛び立ち青年の肩に座る。


「これからどうするの?」

「アカデミーに行くしかないな。」


小人は青年の言葉に、花が咲いたような笑顔になる。


「久しぶりにマリーちゃんに会えるね!」

「あぁ三年ぶりだな。」


青年も笑顔になる。二人は白い塔に背を向け、草原を歩き出した。


 一か月後


エルヴェスト王国の王都ヘリル。北にはヘリル海があり、その付近には多くの漁師が住んでいる。そのため、漁業が盛んだ。多くの王国貴族が都市中心部の貴族街に住み、その外側に多くの商店や市場が展開されていて、毎日多くの人が行きかっている。市民は都市の外周部に住み、農業やお店を営み暮らしている。ヘリルの中心には、王族が暮らす王族街があり、王が住まうエルヴェスト城がある。エルヴェスト王国の中でも最も活気のある町である。王都の西には、魔物がたくさん住み着いているトカブの森があるその森とヘリルの間には、トカブの森の一部を含む、広大な土地を占有する建物がある。ヘリル魔術・騎士学院、通称『アカデミー』周辺国からも多数の魔術師・騎士を夢見る少年少女が通う教育機関である。あまりの敷地の広大さに、【学院街】とも呼ばれている。

このアカデミーに通う二人の女生徒が、次の授業に向かうためにグラウンドへ向かっていた。


「なんかいつになく上機嫌だねマリー」


黄緑色のストレートヘアを腰まで伸ばした女生徒が、隣の黒髪を肩で切りそろえた女生徒に尋ねる。二人とも学校指定のブレザーではなく、学校指定の運動着に着替えており、黄緑のストレートヘアの女生徒は剣を、黒髪の女生徒は杖を持っていた。


「今日はね、兄さんが帰ってくるの!」


満面の笑みでマリーと呼ばれた女生徒が答えた。


「マリー、お兄さんなんていたの?」

「三年ぶりに会うの!もう楽しみで楽しみで!来たらクロムにも紹介しますね」


マリーは鼻息荒くクロムに話す。クロムはマリーが転入してきて以来の友人で三年間の付き合いになる。そんなクロムですらここまでテンションが高いマリーを見たことがなかった。マリーは普段とても落ち着いていて、ほかのクラスメイトよりも断然大人っぽい雰囲気を纏っており、クラスの男子のみでなく女子からも人気が高いのだ。


「マリーは本当にお兄さんが好きなんだね」


クロムは知らないとはいえ、マリーにかけてはならない言葉を掛けてしまった。


「えぇ、あんなに素晴らしい人はどこにも居ません!強く高潔で決して驕らずに自分の力の研鑽のためにどこまでも熱心で、必ず私を守ってくださる素敵な人です。四年前私がとある迷宮の転移罠を踏んだときは~~~~~~」


マリーはグラウンドに着くまで、自分の兄の素敵なところを、頬を染めながらしゃべり続けた。グラウンドに着くころにはクロムの魂が口から抜けかけていた。そして、二度とマリーに、お兄さんについての話題をするもんかと心に誓った。まだ話したりなそうなマリーは、渋々と話を打ち切り、グラウンドの中央に集まっている生徒たちのもとに向かう。ちょうど始業の鐘がなり、生徒は整列する。生徒の前に眼鏡をかけた、よく言えばスレンダーな体系の女教師が現われた。



最後まで読んで頂きありがとうございます!

こちらの作品は、二週間に一回更新出来たらしていきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ