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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

勇者 魔王 姫 村人  ゆうしゃ・まおう・ひめ・むらびと

作者: 電波ネイル

久々に短編を書きました。

よろしくお願いします。




僕はごくフツーの男子大学生だ。


顔もフツー、運動能力もフツー、頭の良さもフツー (多分ね)。


少し変わってることといえば僕はすごくモテる。


……男から……ね。

もっと詳しく言えば、おっさんから。



電車の中で僕のヒップとおっさんの手のひらがハードコミュニケーションするのなんて日常茶飯事さ。

そしてそれをいつもおっさんが助けてくれる。


ほら、今もね。


何これ?

すげー泣きたい。

けど泣くと、おっさんどもは僕を見て頬を染めやがるんだ。


泣くもんか。

今日は泣かない。


だって今日は初めてできた彼女と

遊園地での初デートなんだから。


愛しい彼女と遊園地の前で待ち合わせさ。



早く来て彼女を出迎える。

ああ、なんて幸せなことだろう。

彼女が来た。

可愛いな。ふふふ、自然と笑いがこみあげる。


彼女が一言


「最低。帰る」


……思考が停止しかけた。

ていうか失神するところだった。


「えっ? これから僕達デートだよね?」

「……後ろにいるの何? 私のこと集団で笑い者にでもしようとしたの?」


へっ? 僕は後ろを見た。

幸せそうな顔をしたおっさんどもが僕を囲んでいた。


「今日は平日でしょ!!

なんでここにいるの!!

なんで僕を囲むの!!」


あっ僕がモテるからか。


てか勘違いすんなよ。

僕はおめーらとデートしねーから。

幸せそうな顔すんな!!


「おめーらがここにいたら……」


平日だから遊園地にいるのは学生くらいのもの。

それなのにこんなにおっさん連れていれば、僕はデートドッキリを仕掛ける最低な人間に見えるだろう。



彼女が翻して僕から遠ざかる。

待って。これは違うんだ。


「ねえ、ちょっとまっ…」

「話しかけんな!」


「お前なんか、おっさんどもとデートしてりゃいいんだよーーー 絶縁だバカヤローーーーー」


あーーーーーー

そんなこと言わないでーーーー


おっさんどもが僕を抱えて

遊園地の中に連れていくよーーーー


「たすけてーーーーーー」


彼女の耳には届かない。

彼女の後ろ姿が目に映る。


あっ、そのイヤホン、ノイズキャンセリング使ってるな☆


僕は泣いてないよ。

メンタルは普段からおっさんに鍛えられているからね。

これは違うよ。この目に溢れるのは汗だよ。本当だよ。


「うわーーーーーーん」


おっさんどもは僕を連れて遊園地の中を進んでいく。


チケット代は払ってくれたみたい。

さすがおっさんである。


大声で泣いてる僕を広場へと運ぶ。


周りの客は離れていく。

大きな広場は貸し切り状態だ。


当たり前だ。

こんなおっさんの塊、誰だって避ける。


僕はその中心で掲げ上げられているけどな!!


おっさんどもは泣いてる僕を胴上げしてる。


ううっ。


「おわりーーー」


号令をかける。

するとおっさんは僕を立たせて、

周りを囲うように円を作った。


ダメモトでやった命令をおっさんが聞いてくれたことに戸惑いを覚えていると、


おっさんどもはパンフレットを広げて読み出した。


えっ?


おっさんどもがチラチラ僕を見てくる。


……まさか


僕の命令待ち?


心なしか、おっさん達すげー楽しみにしてるみたい。


わかるよ。


だってたくさん見てきたもん。

おっさん達の表情。


そうか。

皆、遊園地を楽しみたいんだね。


わかるよ。

僕もだもん。



彼女と楽しみたかったんだよ

僕はよーーーーーーーー



よし逃げよう。


テキトーにおっさんどもを散らばせて帰ろう。


「鬼ごっこすんぞーーーーー」


「「「イエーーーー」」」


「僕が鬼をやるぞーーーー」


「「「イエーーーー」」」


「皆、散れーーーーーーー」


「「「フーーーーーー」」」



狙い通り

おっさんどもが散らばっていった。

何十人ものおっさんが走る姿は胸にくるものがある (虫酸)。


何、今の合いの手。

時代のギャップを感じるんですけど。



……


さて帰るか。



ヒューーーーー



ん、音がするな。



ヒューーーーー



影が大きくなってる?

上を見上げると大きな鉄塊。



なむあみだぶーーーつ。


死を覚悟して極楽浄土を願った瞬間、

彼らはやって来た。

三人のおっさんは僕を助けてに来て

そして四人仲良く潰された。






☆☆☆


目を覚ますと、目の前におっさんがいた。


初めて見るおっさんだった。


「あんたは偉いのー」


おっさんに褒められた。


「あんな大きな落下物で死者が四人とは驚きじゃ」


あ、僕やっぱ死んでたわ。

あと、こいつおっさんじゃねえ。

ジジイだわ。



「それも全部あんたが広場から人を退かしたおかげじゃ」


「そーだよねー」


「あんた、ワシの話聞いてる?」


「僕もそうだと思ってたんですよ」


「……」


「それで話は終わりですか?」


「……あんた、異世界で人生やり直す気はないか?」


「それって、まさか、あの……」


「もったいぶらんでええぞ」


「異世界転生ですか?」


「そうじゃ!!」


「異世界に転生?


嬉しくねーーーよ


バーーーーカ


僕はリア充一歩手前までいったんだぞ

現実世界さいきょーだぞ」



突然、首の後ろに衝撃が走ったかと思った。




☆☆☆


再び目が覚めると

僕は辺境の地としか思えない場所にいた。


薄暗い。生臭い (銀杏臭)。目の前には岩肌が一面に広がっている。


これ無理。日本人がいていい環境じゃねーよ。てか人類無理でしょ。


僕以外誰もいない。

てかここ生き物住んでないでしょ。

ジジイ、こいつ。

僕が何したっていうんだよ。




やべえ。

泣きそう。

頑張れ僕。

メンタル最強だろ。


ダメだ、ダメだ。

……涙が。


「うわーーーーーーん」



その時、黄色と漆黒の閃光が走る。


どごーーーん


爆音とともに

鎧を着たおっさん二人が僕の前に現れた。


「かっけーーーー、その鎧どこで手に入れたんですか?」


「「目が覚めたら着てた」」


二人のおっさんはそう言うと互いに目を合わせた。


「てか今どうやってここまで来たんですか?」


「「愛の力で」」


そう言うと、またおっさん二人は見つめ合っていた。


おっさんラブ OLか

需要ねえだろーな。


少なくとも僕にはない。



二人がもみくちゃになっているところ、

また何かが近づく音がする。



パカッパカッパカッパカッ



音のする方に目を凝らすと

大量の馬車がこちらに向かって来ていた。声もする。


「姫様おまちくださーーーーい」


おいおい。

まさか、


早くも姫様と遭遇かい?


異世界も捨てたもんじゃないな。


僕の目の前で止まった馬車から人が出てきた。


なんか、タンスの中の匂いがする。


あっ。

僕わかっちゃいました。


「初めまして、姫です」


やっぱりおっさんでした。

ドレスを着ているおっさんはレアです。なかなか会えません。




「フォッフォッフォン」


天から声がする、まさか……


「ワシじゃよ」


「このジジイ、現実世界に戻しやがれーーー」


「こんなにも早く四人が出会うとは思ってもみなかったわい」

「あんたらはさっき遊園地で死んだ者たちじゃ」

「それぞれ、勇者、魔王、姫、村人に転生したのじゃ」


「なんだってーーー。ここは村なのか? 村の定義は何なんだ‼ 答えろジジイ」


「ワシはいつ君のことを村人と言ったかね?」


「僕は勇者か! やったぜ!!」


「勇者じゃないぞ」


「魔王か! やったぜ!!」


「……違うぞ」


「僕が姫かよ! かぶってんじゃん! あいつ誰だよ! 自称姫の何なんだよ! お付きのあいつも誰だよ!」


「知らぬが仏じゃ」


「あの、仏とか言うと設定ブれるんで止めた方がいいっすよ」


「……」


「ジジイに問う! どうすれば現実世界に帰れる」


「与えられた役割でその世界をより良くするのじゃ。 それが出来たら帰してやろう」


「わかった」


「軽いのー」




「皆、しゅーごー」


四人でしばらく話し合う。

おっさんとの会話は非常に素早く進む。


それが逆に普段何をしているのかを聞けなくさせる要因でもあった。



「よしっ、さっきの通りやるぞーーー」


「「「イエーーーー」」」


この合いの手のノリはピチピチの僕には正直キツイです。



1 魔王 (おっさん)が横になる。


2 姫 (僕)と勇者 (おっさん)が手を繋いで魔王 (おっさん)に足を乗っける。


3 村人は三人 (うちおっさん二人)の近くに立つ。


4 魔王 (おっさん)が魔法で大きな岩を四人に落とす。


5 皆、仲良く潰される。


6 死んだら土壌の栄養になる。


fin.



「「「「……」」」」←死亡済み


「まぁ、うん。いいよ、それで」




☆☆☆


僕達は異世界でやるべきことをやって、現実世界に帰って来た。




僕はなんとか彼女と復縁することができた。



僕は今、幸せでいっぱいだ。



僕は今、彼女といる、この時間を大切にしてこれからも生きていきたい。











---キャスト---


僕 (大学一年生♂)

彼女 (大学一年生♂)


おっさん (たくさん♂)


謎のジジイ (♂)



---END---





ありがとうございました。


普段はシリアス書くので

たまにこーいうの書くと違和感アリアリになります。

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