にぃのいたずら
一花ちゃん回です!可愛い一花ちゃんをお届け出来たらなと思ってます。
朝日がカーテンの隙間から射し込む。
「ん...。眩しい」
「にぃ...。起きて〜?」
かけ布団をちょこちょこと引っ張られる。
「ん?ふぁ〜あ...。あ、一花ちゃん。おはよう!」
「朝ご飯、食べよ...?」
「うん。あれ?花音ちゃんは?」
いつもと違い花音がいないことに気づく。
「花音ねぇは、下にいるよ...?先にご飯、食べてるって」
「そうか。それじゃ起きようかな...」
俺は重い体を起こして、階段を降りる。
リビングに出ると、花音ちゃんが先に朝食を食べていた。
「花音ちゃん、おはよう!」
「....」
花音は無言で朝食を食べ続ける。
「何か怒ってるのか?」
「兄ちゃんなんか、もう知らない!」
花音は昨日のことについて怒っているのだろうか。
「昨日はごめん!兄ちゃんがあんなこと言ったから怒ってるんだろ?仲直り、しようぜ?」
「別にそのことについても怒ってるけど!本題はそこじゃないの!」
机をバンバン叩き起こり続ける花音。
「花音ねぇ、スープ...こぼれちゃう」
こんな所でもマイペースな一花。もうちょっと空気読んでくれないか?
「もう良いよ兄ちゃん。わからないんだったら。別に許して無いけど、もうこの話はおしまい!」
どうやら朝食を食べ終わったらしく、キッチンに皿を運んでいく。
「にぃ...花音ねぇ、怒らせた」
今更ながら状況を把握する一花。
「そんな事より!そろそろ学校行かないと!遅刻しちゃうぞ!」
「ん...。にぃ、制服とって」
くいくいと、持ってきての合図をする。
「はい!あれ花音ちゃんは?」
俺は花音がいないことに気づく。
「さっき、でてってた...よ?」
「そうか...。まぁいい!早く出ないと遅れちゃうぞ一花!」
「ん...。今着替えてる」
二人は準備は整い、それぞれの学校に向けて歩き出す。
「一花ちゃ〜ん!行ってらっしゃい!」
「にぃも、ね?」
ちょこちょこと手を振る一花。その姿可愛すぎだ反則だぞ我が妹よ。
そして歩くこと15分、遅刻ギリギリで学校に着くと下駄箱に神崎がいた。
「神崎にしては結構遅いな?何かあったのか?」
俺は問いかけてみる。
「んーと、電車が遅れてたの」
「すっごいまともな理由だな!」
「だって、優等生だもの!」
神崎は笑いながら答える。
「ところでさ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
「ん?なになに?愚痴は良くあるけど質問は珍しいね」
俺は昨日あったことの一部始終を神崎に話した。
「....んで、こんなことがあったんだぜ?俺は全然悪くないよな?」「あ〜。それはね、完全に市川君が悪いね。市川君は鈍感過ぎだよ」
予想外の返答だった。俺がどんな悪いことをしたって言うんだ!
「まぁ、妹さんの気持ちも汲んであげて。今日もう一回話してみたら?」
「あぁ、貴重なアドバイスありがとう」
これでなんとか今の気まずい空気をどうにかしなければ。
学校が終わり、帰路につく。
帰っている途中で一花ちゃんと会った。しかし、花音の姿はない。
「おぅ一花ちゃん。花音ちゃんはどうしたんだ?」
「友達と...話してた、よ?」
「そうか。それじゃ、一緒に帰るか!」
帰宅時間が同じなことはあまりない。花音ちゃんがいないなら寄り道でもして行きたい。
「アイス食べに行こうぜ一花ちゃん!」
一花ちゃんを誘ってみる。
「こんな季節に、アイスはいい...!それよりもっ!チョコレート...食べたい」
一花ちゃんはアイスが食べたくないらしい。仕方が無いのでコンビニで何か買っていくことにした。
俺はガリ⚪︎リ君を、一花には苺のチョコレートを買ってあげた。
「ん。うまうま。にぃ...ありがと...!」
満面の笑みで感謝される。130円で見れるなら安いものだ。
「どうしたしまして。それより、少し寒いな...」
日は出ていてあったかいものの、風が強い。
「だから、いったのに...。はいっ...!手、繋ご...?」
一花が手を差し出してくる。
「お、おう!」
一花と手を繋ぐ、あったかい。全てを包まれるかのような、優しい暖かさだった。
「あらあら、ねぇちゃん達。仲良いねぇ。カップルなのかい?」
近くを通っているおばあさんが話しかけてきた。
一花のほっぺたが赤くなり始める。
「あのっ!俺と一花は兄妹で!別にカップルとかじゃないですよ?!」
俺は必死に否定する。
「にぃと、一花...はっ!兄妹で...。カップルじゃ、ないっ...!」
一花も頑張って否定している。
「あらあら!そうだったのかい!ごめんねぇ、手繋いでるもんだからカップルなのかと思っての〜」
そう言っておばあさんは反対側に歩いていった。
気まずい空気が流れる。
「花音ねぇが居なくて、よかった...」
一花が小声で呟いた。
「ん?何か言ったか?」
「なんでも、ないっ...!」
花音に続いて一花までおかしくなってしまうのではと考えていると、家についていた。一花は家に着く5分ほど前からずっとそわそわしている。なぜだろうか。
「にぃ...。早く開けて...!」
一花が急かしてくる。何か急ぐ事情も特にないはずだが...。
「どうかしたのか?」
「良いから!早くっ...!」
とても焦っているようだ。
「わかったわかった!今開けるから!」
俺はポケットを漁り、鍵を探す。なぜ急いでいるのかわからないが、ちょっといじわるしたい気分になった。
「あ、あれ?無いな...。たしかバックに入ってたはず!」
「〜〜〜〜〜〜〜!!」
一花が足踏みをして、声にならない悲鳴をあげている。
「あ!あったぞ!え?これじゃ無い?!」
わざと鍵を見つからないふりをして、いじわるしてみる。
「......」
一花は急に黙ってしまった。
「よしっ!開いたぞ!あれ?どうしたんだ?一花ちゃん?」
「にぃ...。一花...」
一花は今にも泣きそうだ。
「一花...。おもらし、しちゃった...」
「?!」
そこでなぜ一花が急いでいたか意味がわかった。トイレに行きたかったのだ。
「う....。うぅ....」
一花がぐずりだした。
「うえ〜ん!!あぁぁぁぁぁぁ!」
一花は玄関先で大声で泣き出した。
「ごめん!ごめん一花ちゃん!兄ちゃんが悪かった!ほんとぅにごめん!だから!軒先で泣かないで!兄ちゃん捕まっちゃう!」
下半身が濡れた中学1年生、そこに盛りな高校2年生が泣くのを黙らせようとしている。事件の臭いがプンプンするぜ!
「とかしょーもないこと思ってる場合じゃない!早く家に入ろう!な!」
どさ、荷物が落ちる音がする。
「兄ちゃん、何しているんだ?」
ゴミを見るような目で見つめてくる花音。
「あ....」
やっべーみられちまった。
「なぁ一花。どうしたんだ?こいつに何されたかいってみな?」
「にぃが、一花のこと...」
一花は説明している途中で黙ってしまう。
「お前、最っっ底だな。クソ兄貴」
とんでもない言葉が聞こえた気がするんだが?!
「花音ちゃん!それは誤解だ!誤解なんだ!」
「言い訳は後で聞いてやるよ。一花を着替えさせて風呂に入らせなければいけないからな。殺戮ショーも、そのあとだ」
花音ちゃん、激おこだよ...。
「はっ、はい。申し訳ございません...」
そして一花と花音は風呂に入っているという訳だ。
俺は何してるかって?妹達の着替えを持ってきて、一花ちゃんの...。そのおもらしおぱんつを洗おうとしている。
「しかし、見事な縞パンだな」
「死ねクソ兄貴」
声に出てた。
花音のかなりキツイ罵倒に傷心しながら、ちょうど洗い終わり干しに行く。
「変態クソ兄貴!タオルもってこい!」
なんか俺の扱いが更にひどくなってないか?!
干し終わり、タオルを持って行くと妹達が素っ裸で脱衣所に立っていた。
「あっ」
思いがけず見てしまった。
「さっさとタオル置いてどっかいけ変態!!」
「すみません!本当にすみません!」
俺は謝りながら急いで立ち去る。
「にぃ、へんたい...」
なんて一花ちゃんが追い打ちをかけてくる。一花ちゃんにまで言われたら死んじゃうぞ俺...。
風呂から上がり着替えをした花音ちゃんからの説教タイムである。
「さぁ、変態。言い訳を聞いてやろう」
「それじゃあ、まずあの時の状況を説明しますね!!」
あの時の状況を余さず説明してい
く。
「要は、変態クソ兄貴がいじわるして鍵を開けなかったから一花があんな目にあったのか?」
「そうでございます花音様」
今逆らったら絶対に殺される。社会的にも、物理的にも。
「ふん!それじゃ一花には謝っときなよ?」
花音は赤らめながらそういっただけだった。
あれれ?鉄拳制裁はないのかな?
「これで終わりですか?花音様」
花音はあさってを見ながらぼぉ〜としている。
「ふぁ?!あぁ、そうだよ!一花には土下座でもなんでも許してもらえるまでなんでもすることね!」
「かしこまりました花音様」
説教タイムが終わり、俺の部屋から出て行こうとする花音。
「そんなことなら、私にやってくれれば良いのに...」
「何か言いましたか花音様?」
小さい声だったので聞こえなかった。
「なんでもない!!」
ばたん、花音は俺の部屋を出ていちゃ。
それから一花には30分程土下座し、なんとか許してもらえた。
そして自室でくつろいでいる時だった。
こんこん、ノックの音がする。
「誰だ?入ってきて良いぞ?」
そして入ってきたのは花音だった。
「あの、兄ちゃん?兄ちゃんってさ...」
「なんだ?何か聞きたい事があるなら聞いて良いぞ?」
呼び方も普通にしてもらえている。どうやら許してもらったようだ。
「兄ちゃんって、[あーゆープレイ]が好きなのか?」
顔を紅潮させながら聞いてくる花音。おいちょっと待った。
「[あーゆープレイ]ってなんだ?」
「えっ!!いじめたりするのが好きなのかって...うぅ」
どうやら俺のことをサディストと言いたいようだな。
「兄ちゃんにそういうシュミは無いぞ?!多分...。ただ魔がさしただけだよ」
「そうなのか...」
なんでちょっと悲しそうなんだよ...。
「あともう一つね、聞きたい事があるの」
「おう。もう何言われたって動揺しないぞ」
俺はもう心の準備はできている。
「好きな人、いる?」
割と普通な質問だった。
「あぁ、居るぜ!花音ちゃんも一花ちゃんも大好きだ!!」
俺は胸を張って答える。
「そ!そーゆー好きじゃない!」
「そんじゃ、どんな好きなんだ?説明してくれよ」
「え、えと。一緒にいるととっても楽しくて、考えただけでドキドキしちゃう人!!って友達が言ってたよ」
友達からの受け売りなのかよ。
「そうか、俺にはそんな人居ないな。それよりもお前の好きな人って誰なんだ?俺にも質問させてくれ」
俺はこのことが昨日からずっと気になっていたんだ。早く知りたい。
「そっ!それは...」
黙り込んでしまう花音。
しばらく沈黙が続く。
「恥ずかしくて言えないよぉぉぉぉぉ!!」
なんて叫びながら部屋から出て行ってしまった。
「あ、すごいナチュラルに逃げられた。まぁいいか」
寝る準備をして、電気を消す。
明日はどんなことがあるのだろうか。そんなことを考えながら俺は眠りについた。
一花ちゃんどうでしたか?可愛いかった、面白かったなんて言って貰えるととても嬉しいです。